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ハイペリオンの没落 みんなのレビュー

  • ダン・シモンズ (著), 酒井昭伸 (訳)
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みんなのレビュー5件

みんなの評価4.5

評価内訳

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5 件中 1 件~ 5 件を表示

紙の本ハイペリオンの没落 下

2010/02/14 23:00

衝撃のクライマックスを刮目して相待つべし!

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yjisan - この投稿者のレビュー一覧を見る

 連邦の予想に反して、アウスター艦隊はFORCE(連邦軍)の防衛網を易々と突破した。無防備な〈ウェブ〉諸惑星は無差別攻撃によって次々と破壊されていく。滅亡の淵に立たされた連邦。シュライク教団の予言通り、人類は〈最後の贖罪の日〉を迎えようとしているのだろうか? 動揺する連邦首脳部に対し、〈テクノコア〉から派遣されたAI顧問官は戦局打開の切り札となる大量破壊兵器の提供を申し出る……だが夢見るサイブリッド、ジョセフ・セヴァーンは戦争終結のため奔走しているうちに、この戦争の真相が、究極知性プロジェクトをめぐる〈テクノコア〉内部の暗闘と深く関わっていることに気づくのであった!
 一方、惑星ハイペリオンでは、ついに時潮が崩壊し、〈時間の墓標〉が開いた。シュライクは完全に解き放たれ、時空を自由に操り始める。離ればなれになった巡礼たちを待ち受ける運命とは・・・? 彼等の願いは叶うのか??
 

 ミステリーにホラー、歴史小説、サイバーパンク、戦記、恋愛小説、スペースオペラ、ファンタジーと、あらゆる物語の要素を詰め込んだ一大巨編の(一応の)完結編。広大な宇宙と悠久の時間と深遠な神話を背景に紡がれる物語の豪華絢爛さは筆舌に尽くしがたい。圧倒的な構想力・構成力・文章力には恐れ入る。

 不死の呪いをもたらす聖十字架に秘められた真の役割は? 未来からやってきた謎の女、モニータの正体は? 〈速贄の樹〉の本当の姿とは? 消滅の時が迫ったレイチェルの運命は? ブローンが宿した子供はどうなるのか? 連邦が宇宙の蛮族と蔑むアウスターの目的は? 〈ウェブ〉内で隠然たる勢力を誇る森霊修道会の思惑は? そしてシュライクは何のために存在しているのか?
 下巻、特にラスト200頁では、これまで積み残されてきた謎が次々と解明され、また驚天動地のどんでん返しの連発。疾風怒濤の展開の後に待ち受ける感動のシーン。そして、エピローグが古典的な「大団円」というのも嬉しいじゃありませんか。これだけ大風呂敷を広げておいて、きちんと伏線を回収して綺麗にまとめる技量は凄い。スケール感とシーンの美しさだけで言えば日本の光瀬龍だって引けを取らないと思うけど、物語を収束させる力はシモンズの方が数段上。


 先行SF作品からの膨大な引用をきちんと消化して自家薬籠中の物としているのも見事。未来を予測し誘導する〈テクノコア〉の所在はどこだ?というアプローチや人類との共存を望むAIの存在は、アシモフのファウンデーション・シリーズを思わせるし、究極知性と神の問題は、クラークからギブスンに至るまで、長編SFの王道とも言える設定だ。タイムトラベルが生んだ奇跡の出会いという筋書きも『夏への扉』を意識しているように思える。
 SF映画との関係で言えば、『スターウォーズ』顔負けの格闘シーンあり、『ブレードランナー』を彷彿とさせる灰色のハイテク社会での人間と人造人間のラブロマンスありと、何とも賑やかだ。未来での最終決戦の帰趨を握る男の元へ、未来から破壊者と守護者がやってくるところなんざ、まるで『ターミネーター』ではないですかい? 人間を飼い殺しにするコンピュータなんてのも「いかにも」な設定で、実際に『マトリックス』に採用されることになる。
 使い古された設定、ありがちな大道具小道具を手当たり次第にかき集めてきて、一分の隙も無く配置したことで、シモンズは恐ろしく重厚長大な、今まで見たこともないSFを創り出してしまった。この空前絶後の壮大な未来史は『エンディミオン』へと続いていく!!

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紙の本ハイペリオンの没落 上

2010/02/13 16:37

マクロの物語とミクロの物語のタペストリー

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yjisan - この投稿者のレビュー一覧を見る

 未来から時間を遡行して出現する謎の遺跡〈時間の墓標〉を擁する惑星ハイペリオンを宇宙の蛮族・アウスターの侵略から守るべく、連邦首星タウ・ケティ・センターからFORCE(連邦軍)無敵艦隊が出動した。この突発的に起こったかに見える戦争は、実は〈テクノコア〉による人類支配に懸念を感じた連邦CEOマイナ・グラッドストーンが、ハイペリオン併合のために意図的に仕組んだものであった・・・! グラッドストーンは、〈テクノコア〉の人格復元プロジェクトによって19世紀イギリスの詩人であるジョン・キーツの肉体と人格を与えられたサイブリッド、ジョセフ・セヴァーンの「夢」を通じて、巡礼たちの動静を探ろうとする。
 一方、ハイペリオンでは、連邦の密命を受け、また各々の思惑によって巡礼に参加した男女が、ついに目的地〈時間の墓標〉に到着した。彼等は1人、また1人と、〈苦痛の神〉シュライクと邂逅する・・・・・・


 傑作SF『ハイペリオン』の続篇。異なる境遇に生まれ異なる目的で〈時間の墓標〉を目指す巡礼たち個々人の物語に焦点を当てた前作に対し、本作では狂言回しとして「神の眼」を持つバイオロイドたるジョセフ・セヴァーンが加わり、巡礼たちの苦闘のみならず連邦中枢での政治情勢も同時進行的に語られていく。前作では断片的に提示されただけであった銀河連邦史が徐々に明らかにされるところが興奮を誘う。前作のおさらい的な説明も多く、読者に親切な作りとなっている。

 それにしても壮大にして緻密な舞台設計には、物語が進めば進むほど感心させられる一方である。〈テクノコア〉に依存した結果、快適な生活と引き替えに活力を失った連邦と、〈テクノコア〉の軛から脱して独自の進歩を遂げるアウスターを対置するという構図は、アシモフのイライジャ・ベイリもの(ロボット長編3部作)の影響を受けているのだろうか? また、作中で繰り返し語られる「人類の進化」「神」というテーマはクラークを意識しているように見受けられる。SFというジャンルを丸ごと再構築した野心作、という世評に恥じぬ構想力である。

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紙の本ハイペリオンの没落 上

2005/07/11 23:22

とりあえず作品の全貌が見えてきます、、、。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kokusuda - この投稿者のレビュー一覧を見る

前作「ハイペリオン」のすべての謎が解明される解決篇と銘打たれて発表された作品です。
しかし、謎が謎を呼ぶ展開だった前作の謎がすべて解明されたわけではありません。
とりあえず、普通の続編、後編ではなく別バージョンか、姉妹篇、補間篇というべきでしょうか、、、。

辺境惑星「ハイペリオン」の謎の遺跡「時の墓標」へ向かう巡礼たちを夢見る者がいた。
画家のセヴァーンと自称しているが、なぜか連邦の最高指導者に招かれていた。
ハイペリオンで放浪集団「アウスター」との戦争を控え大変な時期なのに、なぜ、、、?

ハイペリオンに端を発した戦争は瞬間転移網で結びついた200の惑星世界「連邦」へ拡大していく。
独立人工知性群「テクノコア」は「連邦」へ支援を申し出た。
半径数光年の人類を抹殺する超大量殺戮兵器を提供する、というのだ。
つまり、戦地に残された一般人を犠牲にして「アウスター」に完全勝利しろ、と、、、。
追い詰められた連邦は超大量殺戮兵器の使用を決定する。

200の惑星世界で構成される連邦、独立した存在でありながら連邦を支援するテクノコア、
接触を拒む謎の人類集団アウスター。
謎の遺跡「時の墓標」の封印が開く時、各勢力の思惑と人類の未来をかけた運命が動き出す、、、。

作品的に面白いのですが伏線が多すぎて少し判り難くなっています。
謎を解明しても別の謎に置き換えただけだったり、伏線の結末が暗示されるだけだったり、、、。
イェーツやキーツの詩、禅問答やキリスト教の教義、人工生命や人工知能についての用語などを知らないと
読んでいてツラそうだな、と思う個所もありました。
普段の会話には登場しないであろう用語が多々ありますし、、、。
シモンズ氏が勢いで書き飛ばしてしまったのでしょうか?
解かる人だけ解かれば良い、と開き直ったのか?
実は次回作への伏線、という見方が正しいような、、、(笑

前作とと合わせて2000ページを一気に読むことを奨めたいのですが金額的、時間的、体力的にキツイ(笑
でも、読んだ後に報われた気分になることは確かです。

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紙の本ハイペリオンの没落 下

2001/04/21 08:35

重厚華麗な一大SF絵巻

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:螺旋 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 アウスタ−の襲来に「連邦」の栄光は脅かされ、テクノコアの野望に人類の尊厳は揺ぎ始める。未来から過去へと連なる時の奔流に謎の遺跡「時間の墓標」の扉は開き、宇宙の命運を左右する闘いの渦に、6人の巡礼達が飲み込まれていく。
 
 28世紀の銀河に繰り広げられる人類の興亡を、六つの物語に託して描いた「ハイペリオン」の、謎と興奮に満ちた面白さが続編にも持続するか否かが注目だが、作者は、前作で広げきった大風呂敷に、更なる文様と豊かな色彩とで新たなを意匠を施し、高々と掲げて、これでもかこれでもかと言わんばかりにはためかせて見せる。

 巡礼達の運命というミクロから、連邦の存亡というマクロへとステ−ジを移して、物語は時間も空間も自在に飛び越え、良く言えば自由奔放、悪く言うなら傍若無人、生も死も思いのままに、疾風怒涛の大展開。いくら何でもそりゃないだろうという突っ込みを封じ込む腕と度胸は大したもの、作者はこの大長編を鮮やかに仕切ってみせる。

 「どこでもドア」ならぬ「転移ゲ−ト」の設定で空間的な制約を解消し、キ−ツ人格の「サイブリッド」という万能なキャラで視点の自由さを獲得する離れ業。物語的な制約を一挙に解除し「何でもあり」状態を成立させた作者の、ご都合主義的展開もそうと感じさせぬ強引な説得力。拡散するエピソ−ドの数々を、連邦CEOマイラ・グラッドスト−ンの苦悩で繋ぎ、キ-ツ人格で統合させ、連邦対アウスターの見事な無制限一本勝負へと結実させていく。全く大した読み応えなのだ。

 「ハイペリオン」シリーズは、エコロジカルさをベ−スにした豊かな情景描写と、SFな大道具小道具の魅力も豊富な大作だが、活躍するキャラ達はといえば、強さと威厳に溢れたマイラ・グラッドスト−ンはまるでエリザベス一世のようだし、ブロ−ンが聖母なら、レイチェルと父親の肖像は聖母子像の反転のようであり、シュライクが「ドラゴン」の別名なら、シュライクに挑むカッサ−ドの闘いは当然ドラゴンスレイヤ−のそれに重なる。といった具合で、大時代な設定にふさわしく古典的な色彩が濃い。

 全編を貫くロマンティシズムの香り。血わき肉躍る超絶的展開。謎と答。興奮と悲哀のクライマックス。余韻に満みちたエピロ−グ。「ハイペリオン」の醍醐味を支えきるには、この大時代な設定こそ確かに必要なのだと納得できる。
 前作に劣らぬスケ−ルとパワ-で描かれた絵模様は、極彩色も鮮やかな大風呂敷、というより、重厚にして華麗な一大SF絵巻というべきだが、「剣と魔法の国」の物語にSF的重装備を施したハイブリッドなファンタジ−、と言うこともできそうだ。

 前作同様、翻訳が特筆物のすばらしさ。 気がつけば、大風呂敷は見事にたたみこまれておりました。

∫∬螺旋式∬∫

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紙の本ハイペリオンの没落 上

2001/03/21 22:54

未曾有の物語に身を委ねよう

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:旅歌 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 言わずと知れた大傑作『ハイペリオン』の続編である。時間経過からいえば続編なのは間違いないが、読み終えた率直な気持ちは訳者が巻末解説でおっしゃっておられるように、『ハイペリオン』と一対を形成する片割れを考えた方がしっくりとくる。前作で散りばめられた幾多の謎に翻弄された読者は、全ての謎に回答が得られることを期待してこの物語に臨むことでしょう。ところが、またしても期待は裏切られるのだ。どう読んでも、明快に理解できない点がかなりある。SF小説を読み慣れている読者ならば、断片をつなぎ合わせてそれなりの納得ができるのかも知れないが、いかんせん硬直した脳味噌を有するハードボイルド読みには理解の及ばない個所が多々あった。

 この物語を読むと、『ハイペリオン』が単なるSF小説に留まらない物語として、いかに優れた美点を備えているかがとてもよくわかる。SF小説であることは間違いないが、重要な登場人物にスポットを当て、どちらかというと人間を主眼に描く姿勢が貫かれているから、読者はSF小説を意識せず物語に没入することができるのだ。残念ながら、『ハイペリオンの没落』はそうはいかない。SF小説を読み慣れていない旅歌が、両手を上げて降参するシーンの連続だ。それもキーとなる部分がすんなりと染み込んでこない。感覚として肌で感じればいいだけなのかもしれないんだけどね。

 もっと率直に言っちゃえば、かなりSF小説を読み込んだ読者でも、この物語を理解するのは至難の技じゃなかろうか。バックボーンとなる洋の東西を問わない広範な哲学及び宗教に関する予備知識や、具体的なモチーフである詩人ジョン・キーツに関する予備知識と文学的理解…。才人ダン・シモンズが仕掛けた物語の醍醐味が常人に味わえないのはつらい。もっとも、この手の焦燥感はSF小説を知っていようがいまいが関係なく読者全員に降りかかる。この物語に限ったことでもないしね。旅歌の場合はそれ以前の問題で、SF的言い回しやSF的観念、SF的哲学としか言いようのない渦に飲み込まれて、SF的思考あるいはSF的読解を要求されて固ゆで卵型の粗雑な脳髄はパニック寸前であったのである。

 ここまで読み返してみると、しきりと旅歌は自分は馬鹿だ馬鹿だと繰り返して、言い訳に終始しているように見えるな…(^^;;;。実際その程度の旅歌でありますが、それでも相当に楽しめる内容であったことはキチンと報告しておきましょう。宇宙大戦争のスケール感に素直に身を晒して、ため息をつくだけでもこのシリーズの愛読者になる資格は充分だから。あるいは、悲運のCEOマイナ・グラッドストーンに感情移入するもよし、美形のサイブリッドで物語の語り部であるジョゼフ・セヴァーンに身を焦がすもよし、人類の辿る数奇な運命とAIの関係に哲学的示唆を読み取るもよし。ともかく、さまざまな読み方のできる物語だ。この搦手の物語を深く追求するのも楽しみのひとつであろうが、あまり頭でっかちににならずに素直に波乱万丈の物語を堪能すればそれはそれでよろしいのではなかろうか。

 『ハイペリオン』でほの見えた対立の構図が、実はもっともっと複雑に絡み合っていることがわかってくると、時系列の果てしないタテヨコナナメに翻弄されつつ、あらゆる側面があらゆる輝きを伴って読者の前に忽然と姿をあらわす。緩急自在の作者の筆が、ときにじれったく感じることもあるだろう。冗長とさえ感じる読者もあるかもしれない。だがしかし、とにかく身を委ねるのだ。心を平らかにして、作者が仕掛けた惑星ハイペリオンを巡る未曾有の物語に身を任せてみてはいかがだろうか、例えば永劫の大河を下る小さな艀のように。

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