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電子書籍

泥棒バーニイ みんなのレビュー

  • ローレンス・ブロック (著), 田口俊樹 (訳)
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紙の本

泥棒はクロゼットのなか

紙の本泥棒はクロゼットのなか

2003/12/17 01:33

盗め!

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:すなねずみ - この投稿者のレビュー一覧を見る

小粋な泥棒探偵バーニイ・ローデンバーが、大好きなのである。
まずは彼の前口上から。

<他人様のものを自分のものにするときは、いつも心をくすぐるものがある。いかにも不埒なことだ。それはわかっている。私だって悩んだときがあるにはあった。でも、いまはどうでもよくなった。私の名はバーニイ・ローデンバー、こそ泥だ。盗むことが好きなのだ。ただ、それだけのことだ。>

バーニイという男、とにかく、軽やかなのである。どんな状況でも、深刻さの欠片も感じさせない。こんなふうに生きたいものである、ほんとうに。
そして、田口さんの翻訳がまた軽やかで洒落ている(個人的には、今の日本人翻訳家のなかではこの人がナンバーワンだと思う。田村義進さんも好きだけど。翻訳本ギライの人は、この二人の訳したものを読めば、かなりの確率で「翻訳嫌い」が治るはず)。

<「“男は誰も愛するものを殺すのだ”」とナイスワンダーが割ってはいった。「“その男たちに聞かせたい。臆病者はキスで殺し、勇者は剣を選ぶということを”そして、歯医者はメスを使うということを」
「しゃれてるね」とトドラス。
「オスカー・ワイルドだ」
「気に入ったよ」
「最後の、歯医者云々を除いてね。オスカー・ワイルドはそんなことは言わなかった」
「そりゃそうだ」
「おれの詩を足したんだ」
「わかった」
「ぴったりくるような感じだったからね」
「わかったってば」
 ジリアンはいまにも悲鳴をあげかねない、と私は思った。>

ブロックは最近「ローレンス・ブロックのベストセラー作家入門」という本を書いたけど(この本もとっても面白い。なにしろ、大いに笑える。どんな人であれ、買って損はしないと思う)、そこにはこんな一節がある。

<さきざきの計画を立てたり、小説全体のことを心に描き始めると、私はきまって恐怖で痺れたようになる。この世に完全なものなどないし、考えられるかぎり、そんなものは作り出せないと堅く信じている。しかし毎朝起きて、その日タイプライターのまえで過ごすあいだに起こることだけに精神を集中できるかぎり、私としてはうまくやっていけるようなのだ。その結果、本はうまい具合に形になっていく。
 一日ずつの積み重ね。これが私には効くようだ。そして、影響を及ぼせるのは今やっていることだけだということがわかれば、ものごとはずっと処理しやすくなるのだ。>

どうにも引用だらけで、見苦しい。これは「書評文」ではない。
まあ、それはそうなんだろうけど、「こそ泥」バーニイ・ローデンバーに倣って、こんなふうにひたすら盗んでみるのも悪くはない。ブロック自身「創造的な盗用」を勧めているしね。

最後にバーニイ・ローデンバーの話に戻ると、このシリーズは決して斬新なトリックやら大どんでん返しやらで読ませるものではなくて、とにかくその場その場、一瞬一瞬を目一杯に楽しめるような作りになっていて、どこから読んでも(それこそほんの一節だけをパラパラ眺めていても)、なんだか仕合せな気持になれるのである。それはブロックが「影響を及ぼせるのは今やっていることだけだ」ということを、本当に「腑に落とした」形で理解して書いているからなのだろう。

このシリーズを田口俊樹さんの翻訳で読めることは、ひとりの日本人として、なんとも仕合せなことである。うん。

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紙の本

泥棒は選べない

紙の本泥棒は選べない

2002/08/26 16:31

泥棒はルパン三世?

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:AK2 - この投稿者のレビュー一覧を見る

留守宅であるのを確認して泥棒に入ったら、そこには死体。
唖然、呆然とする間もなく、警察が踏み込んできた。
そんな時あなたならどうする?

「そもそも泥棒なんてしない」…ごもっとも。
でもお話の中ならいかがでしょう。
こんなジレンマとピンチに陥った、泥棒さんのその後、が気になるでは
ありませんか。

ましてその泥棒さん、鍵開けの腕は上々、暴力は大嫌い、女には甘くって、
そのうえちょっとお人よし。
かの有名なモーリス・ルブランさんの「怪盗ルパン」みたいな、いやいや、
アニメの「ルパン三世」みたいなキャラクターなのだから、思わず「頑張れ」
と応援したくなっちゃいます
(「バーニイ」という名前もウサギみたいで可愛いし)。

そもそもこの本を知ったのは、タイトルの付け方がリリアン・J・ブラウンさんの
「シャム猫ココ」シリーズと似ていたから、というだけだったのですが、ユーモアと
機知に富んだ文章の楽しさ、という点でも似てました。

固ゆで卵(ハードボイルド)ならぬ半熟卵(ソフトボイルド)な
歯ごたえ(語り口)なので、気楽にあっさり味わえます。
どうぞ美味しく、召し上がれ(シリーズ作品だからオカワリも有りですよ)。

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電子書籍

泥棒は選べない

電子書籍泥棒は選べない

2015/08/17 00:43

早すぎた新しい怪盗紳士像

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Mikk - この投稿者のレビュー一覧を見る

※ミステリのレヴューにつきネタバレを慎んだ結果、具体性が無い点にはご寛恕頂きたい。

本書は泥棒を生業とする主人公が殺人事件を解決する物語であり、いわゆる「怪盗紳士もの」に分類されると思われる。
しかし主人公バーニィの武器は、他人になりすます変装術や、奇抜なアイテム等ではなく、鍵を開ける技術のみである。
また、彼は他の怪盗が持つ「伊達男」的要素も持ち合わせていない。
そんな彼が鍵開けの技術と、NYの一市民として可能な行動を駆使して事件を解決に導く様は、怪盗の持つイメージからかけ離れている。
その時々に自分がとれる手段を模索する彼の姿は、一歩間違えれば泥臭くなりかねない。
しかし本書を読んで感じるのは泥臭さではなく、爽快感である。
巧みな筆致によって、彼をドタバタコメディの世界ではなく、ミステリの枠内に収める作者の手腕には称賛を禁じ得ない。
ダークヒーローではない、「根明のイカした泥棒」という新しい怪盗紳士の物語は実に痛快である。

さて、本作はローレンス・ブロックによる泥棒バーニィ・シリーズの一作目にあたる。
日本ではスカダー・シリーズ(『八百万の死に様』など)で高い評価を得ている作者であるが、泥棒バーニィ・シリーズの方はやや知名度が落ちる。
私見を述べさせてもらえば、これはミステリ・犯罪小説の評論家たちにスカダー・シリーズが持つような「暗さ」を愛好する方が多いためではないかと思われる。
ハードボイルド系の探偵ブームが一段落した現在ならば、バーニィのようなキャラクターが再評価されるのではないだろうか。
特に古典ミステリもハードボイルド小説もノリが合わないと敬遠されている方には、ぜひ本書の小気味良い雰囲気を味わって頂きたい。

最後に、評価として本書には4点を付けさせてもらったが、これはあくまで後の作品と比べると粗が目立つと感じたためであり、やや意地の悪い評価だったかもしれない。
既出のレビューで書かれている通り、この作品の時点で既に軽妙な語りは健在であり(これは訳者の腕によるところも大きいと思われる)、十二分に楽しめる一冊である。

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紙の本

泥棒は詩を口ずさむ

紙の本泥棒は詩を口ずさむ

2001/07/12 17:22

泥棒シリーズ

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:松内ききょう - この投稿者のレビュー一覧を見る

 泥棒生活をかいま見られる気の利いた会話、コミカルな描写が、「800万の死にざま」などの彼女のもう一つの代表的シリーズとは好対照を為している。「詩はちょっと…」と後込みするなかれ、詩を含めて、本の魅力、本好きの謎にせまる本作品は、単にミステリ好きの人以外の心もきっと満足させてくれるはず。

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