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電子書籍

フィリップ・マーロウ みんなのレビュー

  • レイモンド・チャンドラー (著), 清水俊二 (訳)
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みんなのレビュー6件

みんなの評価4.4

評価内訳

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6 件中 1 件~ 6 件を表示

紙の本

長いお別れ

紙の本長いお別れ

2017/08/30 07:19

不器用

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ペンギン - この投稿者のレビュー一覧を見る

マーロウは不器用なんだ。きっと。仕事はできるけれど、組織の理論で行動できない。お金儲けや安定した生活にはあまり興味がないらしい。

損したと思うとき、うまく立ち回れなかったと思うとき、ご機嫌取りに失敗したとき。マーロウを思い出そう。彼なら決して落ち込まないし、後悔もしないだろうから。

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紙の本

プレイバック

紙の本プレイバック

2015/11/22 09:27

闇のなかのただの足音さ

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:saihikarunogo - この投稿者のレビュー一覧を見る

>誰だというのかね。誰でもないよ。闇のなかのただの足音さ。

『プレイバック』のなかで、一番、私の印象に残った一節だ。
 訳者の清水俊二は、あとがきで、『プレイバック』はフィリップ・マーロウものの長編小説群のなかで一番短く、異色で、謎が多いと指摘し、そもそも、タイトルがなぜ『プレイバック』なのかということからして謎である、としている。私も同感である。
 この小説は、その内容よりも作者よりも、次の「名文句」が有名ではないだろうか。

「男は、タフでなければ生きられない。優しくなければ、生きる資格がない」

 出典を知る前から、この「名文句」だけを、テレビや新聞などで、私も覚えていた。
 1988年に亡くなった清水俊二氏は、この「名文句」をどう思っていただろう。
 この「名文句」は、一晩一緒に過ごした彼女を、別の男のところに送っていくときの会話に出てくる。清水俊二訳の『プレイバック』では、次のようになっている。

>「あなたのようにしっかりした男がどうしてそんなにやさしくなれるの?」と、彼女は信じられないように訊ねた。
>「しっかりしていなかったら、生きていられない。やさしくなれなかったら、生きている資格がない」

 私が思うに、「男は、……」のほうは、男らしい男たるものはかくあるべし、と述べている。
 一方、清水訳の「しっかりしていなかったら、……」のほうは、余人は知らずこの私フィリップ・マーロウは、これこれこういう人間で、これ以外の生き方はできない、と述べているように思う。
 この一節の前半は、やくざや警察と渡り合う探偵稼業一般の事実だ。後半は、マーロウが、やれやれ、それで一文の得にもならないどころか損することさえあるけれど、やめられないし、やめたら自分でなくなってしまうんだよ、と言っているように思えるのである。
 マーロウの「やさしさ」は、たとえば、次のようなものである。
 村上春樹訳だが『大いなる眠り』では、下半身不随で温室かベッドでしか過ごせない老人のために、たばこの煙を吹きかけてあげた。

>私は腰を下ろし、無意識に煙草を探りかけてやめた。老人はその仕草を目にとめ、微かな笑みを浮かべた。
>「吸ってかまわんよ。煙草の匂いは好きだ」
>私は煙草に火をつけ、煙を思い切り老人に吐きかけた。彼は野ネズミの巣穴を前にしたテリアのようにくんくんと匂いを嗅いだ。微かな笑みが口の両端の影になった部分にまで広がった。

 この老人を安らかに「大いなる眠り」につかせるために、マーロウは依頼された内容以上の仕事をした。そして、こんな述懐をする。

>どんな汚れた死に方をしようが、どんな汚れたところに倒れようが、知ったことではない。この私はといえば、今ではその汚れの一部となっている。……(中略)……しかしあの老人がそうなる必要はない。

 清水俊二訳『高い窓』では、高い窓のある部屋で為された犯罪にとらわれていた娘を救い出した。これも依頼の内容とかけ離れたことだ。十日間、街を離れて、彼女の故郷の両親の家に送り届けた帰りに、こんなことを思う。

>自分が詩を書き、とてもよく書けたのにそれをなくして、二度とそれを思い出せないような感じだった。

 そしてもちろん、酔っぱらって妻の車から放り出されたテリー・レノックスを拾い上げたことから、『長いお別れ』が始まったのだった。

>私はドアがしまるのをじっと見つめた。模造大理石の廊下を歩いて行く足音に耳をかたむけた。やがて、足音がかすかになり、ついに聞こえなくなった。私はそれでも、耳をかたむけていた。なんのためだったろう。

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紙の本

長いお別れ

紙の本長いお別れ

2015/11/17 16:24

さよならをもう一度

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:saihikarunogo - この投稿者のレビュー一覧を見る

>「さよなら」
>彼は向こうをむき、部屋を横ぎって出ていった。私はドアがしまるのをじっと見つめた。模造大理石の廊下を歩いて行く足音に耳をかたむけた。やがて、足音がかすかになり、ついに聞こえなくなった。私はそれでも、耳をかたむけていた。なんのためだったろう。
 人が死ぬ時も、こんなわかれかたをするのだろう。冷たくなった手を握って、瞼や口元を見つめて、耳を澄ましている。なんのためともわからずにそうしている。
『長いお別れ』というタイトルはいい。「お別れ」という言葉に、いかにも、<悲しくて、さびしくて、切実なひびき>がある。
>「ほんとのさよならは悲しくて、さびしくて、切実なひびきを持っているはずだからね」
 「はずだからね」と言わなければならなかったことが、一層、悲しく、さびしい。
 タイトルがただの<お別れ>ではなく、<長い><お別れ>になっているのはなぜだろう。フランス人の言い回しだとして、マーロウはこんなことを言っているのに。
>さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ。
 わずかのあいだの「死」に<長い>を付けたら、それはほんとうの「死」になってしまう。永遠の別れになってしまう。
 マーロウは、結局、あの女と同じことを彼にしたのだ。あの女は言った。
>「私たちが持っていたものが失われてしまったのです。もうとりもどすことができなかったのです」
 だけど、それが本心だったとは思えない。それが本心なら、そもそも、何も起こらなかった。マーロウも、本心は、違ったと思う。
 前に、私は、『大いなる眠り』と『長いお別れ』とは、対になっているとレビューに書いた。拙文を引用する。
――『大いなる眠り』は『長いお別れ』と対になっている感じがする。どちらも、「死」を連想させるタイトルだし、探偵の友となる人物の置かれた構図が似ている。偉大な父親と、美しく放埓な娘二人、父親がひょっとしたら娘よりも好意や愛情を持っているかもしれない、娘婿。その娘婿が姿を消す。『大いなる眠り』では偉大な父親が探偵の友となり、『長いお別れ』では娘婿が探偵の友となった。
『大いなる眠り』の時はまだ、第二次世界大戦が始まっていなかった。当時、マーロウは依頼人に、つまり美しく放埓な姉妹の偉大な父親に、自分は三十三歳だと自己紹介していた。『長いお別れ』では、もう第二次世界大戦が終わっている。マーロウは、自分は四十二歳だと言っている。
>「ぼくはことしで四十二になるまで、自分だけを頼りに生きてきた。そのために、まともな生き方ができなくなっている」
 そう言った相手は女性だ。
>私たちは別れの挨拶をかわした。車が角をまがるのを見送ってから、階段をのぼって、すぐ寝室へ行き、ベッドをつくりなおした。枕の上にまっくろな長い髪が一本残っていた。腹の底に鉛のかたまりをのみこんだような気持だった。
>こんなとき、フランス語にはいい言葉がある。フランス人はどんなことにもうまい言葉を持っていて、その言葉はいつも正しかった。
 あの女ではない。あの女に初めて会った時、マーロウは、ブロンドについての蘊蓄を、日本語訳の文庫本で2ページ半に渡って傾けた。最後に彼女はそのどれとも違うと言うために。
 そしてテリー・レノックスは、ギムレットと、店をあけたばかりのバーと、恋愛と、やくざと、自らについて語った。
>「一生に一度は空中ぶらんこですばらしいスイングをやって見せる。それから後は舗道から下水に落ちないようにして一生をすごすんだ」
 テリー・レノックスとフィリプ・マーロウとの出会いは、舗道にかかった虹のようなものだった。

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紙の本

湖中の女

紙の本湖中の女

2015/11/06 15:39

<ピューマ湖は両端と中央に銃を持った警備兵がいた>

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:saihikarunogo - この投稿者のレビュー一覧を見る

いかにもそうあるべき謎があり、いかにもそうあるべき真犯人がいる。『湖中の女』はフィリップ・マーロウが活躍する長編小説群の中でもっとも探偵小説らしい探偵小説だ。時代背景さえうまく作り替えれば、日本の二時間サスペンスドラマにしてもいいぐらいだ。
 第二次世界大戦まっただなか、冒頭から供出の描写で始まる。

>トレロア・ビルはいまとおなじオリーブ通りの西がわの、六番通りに近いところにあった。ビルの前の歩道には黒と白のラバー・ブロックが敷かれてあった。政府に供出されるためにそれが取り除かれていて、いかにもビル管理人といった顔の蒼白い無帽の男が自分が痛い目に遭っているような目つきで作業を見つめていた。

 ほう、アメリカにも供出があったのか、と私は思ったのだが、後の方で、やっぱり、それでも日本とは違って余裕があったんだ、と思い直した。

>アスレチック・クラブはトレロア・ビルから半ブロックほど行ったところの向こうがわの角にあった。私は道路を横切り、北に向かってトレロア・ビルの入口に歩いて行った。舗道のラバー・ブロックを取り除いた跡にバラ色のコンクリートを埋め終わったところだった。

 供出で取り除かれたもののあとがちゃんと別の物で補充されているじゃないか。
 第二次世界大戦の前も、最中も、後も、アメリカの金持ちは放蕩し、警察とギャングは癒着し、マーロウは皮肉屋で孤高の騎士として、謎と悪に満ちた世界を紐解き嗅ぎ分け、殴られ縛られ閉じ込められ、脱け出し、殴り返し、酒を飲む。

>「この街は大掃除がすんで、きれいになったと思ってた」と、私は言った。「善良な市民が防弾チョッキをつけないで夜の街を歩けるようになったと思っていたよ」
>「きれいになりすぎると困るんだ。よごれた紙幣がよりつかなくなるからね」
>「そんないい方をしない方がいいな」と、私はいった。「組合のカードをとり上げられるよ」
>彼は笑った。「組合なんかどうでもいいんだ。二週間たつと軍隊に入るんだ」

 アメリカはフランスのように占領されたりイギリスのように空襲されたりしなかったが、そういう物理的な破壊がなくても、アメリカ人の精神が荒廃していくことが、チャンドラーは気になっていたようだ。
 マーロウは、悪徳警官に留置所に放り込まれたとき、彼自身が「この街の大掃除」をもたらした物語『さよなら、愛しい人』で知り合った女を思い出した。

>私は二十五番通りに住んでいる女を知っていた。なかなかいい通りだった。女は気立てがよかった。そして、ベイ・シティが好きだった。

『さよなら、愛しい人』のとき、小説には描かれていないが、既に、日系米人は収容所に入れられていた。だから、日本人が「描かれていない」のだった。
『湖中の女』では、山中の観光地の湖に警備兵がいた。ダムを通過する車は窓を閉めなければならなかった。
 ドイツがマンハッタン計画をスパイしていたとはいえ、日本はもちろんヨーロッパのどこの国もアメリカ西海岸のダムの破壊工作なんかできなかっただろうに、過剰警備じゃないか、などと私は思う。
 小説の登場人物たちも、そう思っていたのだろうか。たとえば、デガーモ警部補は、警備兵にはむかい、窓を閉めなかった。
 この小説では戦争の影響はずっと背景として控えめにしかし要所要所で描かれ続け、最後に表に出て重大な働きをする。登場人物のひとりの運命を決定してしまった。
 死後一箇月たって湖から引き揚げられた女は、マーロウの活躍の御蔭で成仏できただろう。キリスト教徒の世界なのに、成仏だなんて、変な言い方だけど。

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電子書籍

高い窓

電子書籍高い窓

2015/11/02 17:38

マーロウのベッドで寝た二人目の女

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:saihikarunogo - この投稿者のレビュー一覧を見る

一人目は、『大いなる眠り』のカーメンだった。留守中にアパートの管理人をだまして部屋に入り、ベッドに潜り込んでいた。マーロウが帰ってくると<まん丸い、ふしだらな目で>彼を見ながら、「私、まるまる裸なの」と言ったものだ。
 その時に釘を刺されたのだろう、管理人は、今度はマーロウの事務所に電話をかけて確認をとってから、ミス・マール・デイビスを部屋に入れた。ただごとではないようすなので、マーロウが帰ってくるまでそばにいた。入れ違いに出て行った時には管理人の笑顔が<チェシャ猫の笑顔のように>部屋の中に残っていた。
 マールは椅子にすわっていた。
>彼女の表情は服装とはべつで、平常ではなかった。第一に、目に怒りの色が現れていた。虹彩のまわりが白くなって、焦点が一つに絞られていた。虹彩が動くと、動きがきわめてぎごちなく、ぎくしゃくと音が聞こえるようだった。口は端がかたく結ばれていたが、上唇のまん中の部分が目に見えない細い糸で歯から上につり上げられているように見えた。これ以上は無理と思われるほどつり上げられると、顔の下半分が痙攣を起こし、痙攣がおさまると口が固く閉ざされて、いままでどおりのことが再び始まるのだった。それに加えて、頸に異状があるらしく、頭がゆっくりおよそ四十五度ほど左に向けられ、そして、またゆっくりもとに戻るのだった。この二つの動作のくり返しが、こちこちに固くなって動かぬからだ、固く握りしめられて膝におかれた両手、じっとひと所を見つめている目と重なって、かたわらの人間の神経を苛だたせた。
 怒りの病の描写がうまい。『大いなる眠り』のカーメンも、鬼気迫っていた。
>私は顔を背けた。それからしゅっという騒音が突然、鋭く聞こえることに気づいた。私は驚いて、彼女の方に再び目を向けた。娘はそこに裸で座り、両手をついて身体を支えていた。口は僅かに開き、顔は磨きこまれた骨のようだった。しゅっという音は口から漏れ出ていた。本人には制御しきれないみたいに。彼女のどこまでも空虚な両目の奥には何かがあった。それは私がかつて女性の目の中に見たことのない何かだった。
 マーロウはカーメンに服を着て出ていけ、さもなければ裸で放り出すぞと言ったものだ。
 しかしマールには、医者を呼び、看護婦を呼び、彼女を自分のベッドに寝かせ、自分が部屋から出て行った。さらにマールの雇い主と交渉して退職金をせしめ、彼女の故郷の両親の家に<合衆国の半分をドライブ>して送り届けた。
 マールは、魔女に呪いをかけられて高い塔のてっぺんの窓のある部屋に閉じ込められたお姫様だった。もともと、呪いを受けやすい弱みもあった。ある時、ふとマーロウが肩に手をまわしたら、
>彼女は三フィートほど跳び上がって、目が恐怖で輝いた。
>唇を固く噛み合わせ、小さな、蒼白い鼻の穴を慄わせていた。その顔はメイクアップをやり損じたように蒼白だった。
 マールは幼い時に男性に脅かされたことがあったのだ。マーロウは、自分が彼女のからだに触れても椅子やドアに触れるのと同じだと言って安心させた。
 だから、二度目の大きな危機に見舞われた時、マーロウの部屋に来たのだ。
 一度目は、魔女に利用され、支配下におかれる契機となってしまった。二度目をマーロウが、魔女のもとから逃れる好機に変えた。
 マールの両親の家から離れる時、マーロウは、奇妙な感じにとらわれた。
>自分が詩を書き、とてもよく書けたのにそれをなくして、二度とそれを思い出せないような感じだった。
 ブラシャー・ダブルーン盗難の話が、こんな結末になるとは思いもよらなかったよ。

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紙の本

高い窓

紙の本高い窓

2001/08/31 19:59

高い窓

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投稿者:死せる詩人 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「高い窓(以下、本書)」はレイモンド・チャンドラーの作品で、私立探偵フィリップ・マーロウを主人公しにしたシリーズの中期の作品である。単文を吐き出す様にかかれた文体は、淡々として他を寄せ付けない雰囲気がある。それも原文のイメージを余すところ無く伝えている名訳のおかげだろう。チャンドラーの描くハリウッドは、乾いていて雑多だ。現在のハードボイルドでは、大抵の主人公は独白を通じて自己を語る。しかしながらマーロウはそれをしない。語らないことで語るのだ。行間に台詞がそこかしこと隠れているため、読むたびに印象が違う。
 チャンドラーの持つ高い筆力が、透徹とした非情の文学を作り上げている。

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