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ダルグリッシュ警視 みんなのレビュー

  • P・D・ジェイムズ, 青木 久惠
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みんなのレビュー3件

みんなの評価4.7

評価内訳

  • 星 5 (3件)
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  • 星 1 (0件)
3 件中 1 件~ 3 件を表示

紙の本

紙の本神学校の死

2004/11/11 20:16

犯人がわかっても楽しめるミステリ。大人の恋のなんと歩の遅いことだろう。日本ならば盛りのついたネコみたいになってしまうのに。さすが英国である、とは偏見か。新女王、老いてますます盛んである

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「人里離れた海岸に建つ聖アンセルムズ神学校での自殺。息子の死に納得しない父親はダルグリッシュに捜査を依頼する。幼い日、その学校で過ごしたことのある警視長が再訪すると」警察小説。

ダルグリッシュ警視長シリーズ。1920年生まれの英国ミステリ会の巨匠が4年ぶりの2001年に発表した長編推理。

サフォーク州の海岸にたつ聖アンセルムズ神学校は、アグネス・アーバスノットが創設した英国国教会の司祭を養成する高教会派の施設である。そこにはフランドル絵画巨匠ファン・デル・ウェイデン「聖家族」、「最後の審判」、バーン・ジョーンズの大作といった名画や、謎の多いアンセルムのパピルスを所蔵する豊かな学校である。

近くの海岸で、学生のロナルドの遺体が発見された。見つけたのは看護婦のマーガレットは、通りかかったグレゴリー先生に助けを求める。彼女はマーティン神父に勧められて亡骸を発見した経緯を日記に書くことにする。そのなかで、彼女は青年の死に何か奇妙な点を発見するが、その彼女には死の影が忍び寄っていた。

ロナルドの義父で多国籍企業の経営者アルフレッド・トリーヴィス卿は、長男の死に納得せず、父が司祭で自ら詩人でもあるダルグリッシュ警視長に捜査を依頼する。少年時代にそこで夏を過ごしたダルグリッシュは、非公式の形で捜査に乗り出す。彼を学校で迎えたのは、子供時代にあったことのある元校長マーティン神父だった。

日本軍の捕虜収容所での出来事で、今でもうなされる80歳を越えるマーティン神父。そして現校長セバスチャン神父、神学校の創立者の一族の最後の人間で、亡き母の私生児として生まれた美貌のラファエル・アーバスノット、用務助手エリックと義妹のカレン、過去に不祥事で告発され、現在は姉と暮らすジョン神父。そして学校のあり方を批判する大執事クランプトン。

エリートたちを集める食事の美味しい学校は、今では内実は決して豊かではなく、閉校の危機を迎えようとしている。それを積極的に主張する大執事クランプトン、以前、彼の元妻の死に不審を抱き彼を執拗に追及した捜査担当ヤーウッド警部、美貌の大学講師エマたちが集まる神学校。そこに妻を喪ったダルグリッシュ、捜査仲間ロビンズ、ケイト、ピアーズなども呼び寄せられる。

正直、犯人を知っても驚きはない。ミステリとしてだけ見れば不満を覚える向きもあるだろう。でも、何より私は小説として楽しんだ。ダルグリッシュが女性と交わす視線、それに応えきれない相手のもどかしさ。あまりにも歩みの遅い大人の恋。堪えられませんなあ、である。といって間違ってはいけない。犯人こそ途中でわかっても、話は、あくまで捜査が主体。だから恋だといっても、あれ二人の関係は?と思った頃にふと浮かび上がる、それもほんの少しだけ、そんな感じなのだ。

しかし、なんという面白さだろう。英国における宗教の在り方や、貴族の家が開放されていく背景みたいなものまで見えてくるではないか。これが80歳を超える作家の手になるというから驚きだ。枯淡ではない、といって開き直りでもない。生への執着も見えない。日本ならば40代、いや50代の作家が描きそうな筆致なのだ。

1962年に作家デビューし、その後貴族に推挙されているというのだから立派である。私は彼女の作品を殆ど読んでいるはずだが、今回くらい優しさに包まれた印象を与えるものを思い出せない。英国推理作家協会賞というと、私はデクスターが何回も受賞しているシルバー・ダガーを思い出すが、P・Dはダイヤモンド・ダガーである。ゴールドどころではないのだ。新女王は老いてますます健在である。

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紙の本

紙の本神学校の死

2007/06/11 08:13

星7つあげたい!!

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:りっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

アダム・ダルグリッシュ警視長シリーズ。
殺人事件の現場は、人里はなれた海岸近くの聖アンセルムズ神学校。
最初の事件は、1トンの砂の下に埋められた学生。その養親は、お金があれば何もかも手に入れられる=幸福と考える人種。そして、英国国教会は凋落傾向だと指摘。その教会から見ても古い、贅沢な学校。たった20人の学生。食事がうまい。高級ワインも出る。制服さえ贅沢だ。経費がかかることを理由に、廃校となる可能性があった。しかし、財産は高価なものが。絵画、聖杯、ピラトの署名が入った「聖アンセルムのパピルス」。
学校の創立者はアグネス・アーバスノット。
その子孫、捨てられた子どもラファエル・アーバスノットは最上級生。かつて日本軍の捕虜であったマーティン神父、性虐待の罪で服役したことのあるジョン神父、妻をなくしたセバスチャン神父、クランプトン大執事と、ダルグリッシュ。他の登場人物もそれぞれに愛を見失い、心に傷を負っているのかもしれない。
ADの子どもの頃から、この学校は心を癒してくれる場だった。しかし、今は違う。事故と判定されたはずの事件が蒸し返されたこと、学校の財産や存続をめぐっての、議論や忠告めいたものが、かつては感じることもなかった心の動揺をおこさせる。人は過去を振り返るとき、何かしら心にやましさを感じる。ああすればよかったのに、自分はなぜしなかったのか・・・それが人間というものかもしれない。弱いからこそ、人にやさしくなれる人もいれば、それが嫌悪やヒガミとなることもある。さらに、不安・恐怖・憎悪・・・
懐かしさもあって、学生の父親の依頼にこたえ、訪問するダルグリッシュだったが、すざましい風が吹きあれた夜、また新たな事件が・・・
本格的な捜査がはじまる・・・心惹かれる女性がいても、職業に徹しなくては・・・
その心理劇が、複雑で面白い。登場人物の人生、価値観、心の葛藤等等。推理小説の醍醐味は、犯人当てよりも、そこにある。
最初の事件の発見者で、心臓発作でなくなったと思われていた看護婦の日記が気になっていたダルグリッシュ。過去の秘密が明らかになった。証拠を集めなくては・・・
犯人は?
自分の非を最後まで認めなかった人、愛というものを理解できない人だね。殺人を犯すということは、そういうことなのだと、あらためて深く思う。
ADはふたたび愛にめぐり合えるか?
お楽しみに。

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紙の本

紙の本神学校の死

2002/08/31 21:30

嵐の夜、孤高の学問の砦で起こる殺人事件

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ケルレン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ダルグリッシュシリーズの最新作である。ダルグリッシュは優秀な警官でありながら、詩人としても知られているという特異な設定のわりには、その詩自体が取り上げられることは滅多になかった。しかし、今回は少年時代の詩と捜査の続く夜に軽く書き留めた詩が披露される。
 少年時代の詩が書かれた場所は、思い出深い夏休みを過ごした聖アンセルムズ神学校で、その縁でダルグリッシュは神学校に滞在して、校内で起きた生徒の不審死を調査することになる。ところが訪れた夜、首都警察の警視長であるダルグリッシュの目と鼻の先で、凄惨な殺人が行われる。
 ダルグリッシュは、内部の者による計画的犯行と考えて捜査を進めるが、人里離れた海岸にこもって神学にいそしむエリート集団の理解しがたい道徳感に振り回される。さらに高価な宗教画、秘蔵のパピルス文書、英国国教会の事情や神学校の経営問題などが絡み、事件は複雑な様相を呈してくる。
 そんな中で書かれたもうひとつの詩は、ダルグリッシュがそれまでの生活を見つめ直すきっかけとなる。そして、犯人と対決する中で、自分の生き方は傲慢で浅ましいものではなかったかと自問していく。
 教会、古い建築物、歴史を持つ美術品、切り立った海岸、知識に溺れるエリートたちという、P・D・ジェイムズの小説ではお馴染の要素が聖アンセルムズ神学校に集結し、そこで書かれたふたつの詩の間に横たわる時間の中に、忘れ難い過去、憎しみや歪んだ愛情から逃れられない人々の苦悩が凝縮された傑作である。

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