隠れた人材価値 みんなのレビュー
- JeffreyPfeffer, CharlesA.O’RellyIII, 有賀裕子, 廣田里子, 長谷川喜一郎
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評価内訳
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2020/05/09 13:09
芯が強い組織とは何なのか。
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投稿者:一読者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
読んで良かった、今まで読まずに損してた、と率直に思いました。
真に芯が強い組織とは、組織の存在目的が第三者から見てもとても意義深いと感じ、かつその実現のためにあらゆる作業や作業環境の方向性が整っており、その上でそこで生きる人がそこで生きることを誇らしく思う組織、と言うことを、複数のケースで紹介しています。
多分、一つ一つの仕組みは、それほど重要じゃない。ベクトルが正しく、そのベクトルに一致した内容かどうかが重要、と。その環境の中でベクトルに共感している人が働けば、相乗効果が出ると。
日本人にはなじみやすい考え方かもしれません。小さな組織の中からも、取り組み始められる点はいくつかありそうだと思います。むしろ、小さい組織の方が始めやすいかも。
一番難しいのはベクトルの設定ですよね。それと、ベクトルに共感してもらえる人が組織にいるか否か。ただ、そう言う人がいるかいないかは、この考えを取り入れようとするか否かに影響しないかと。正しいと信じられることをやることが、ステークホルダーへの幸福につながるのだろうと読みながら思っていました。
2002/04/26 14:19
人材を「コスト」ではなく「価値」として
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:荻野勝彦 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「War for Talent」の時代だという。優秀な人材こそが競争優位の源泉であり、それを獲得し確保した企業が競争を制するというのだ。一見してもっともらしいこの理屈に、本書は疑問を呈する。「実にすばらしい人材があふれているのに、だれ一人として満足のいく成果を上げていない企業は実に多い」。その逆に、「一見したところどの社員もそれほど秀逸ではなく、決して人一倍働いているわけでもなさそうなのに、なぜかすべてが順風満帆な企業もある」と本書はいう。優秀な人材を獲得し、つなぎとめることも大切だが、それ以上に大切なのは、すべての社員の「Hidden Value」=「隠れた人材価値」を引き出していく組織であり、マネジメントであるというのが本書の主張だ。
どうすれば隠れた人材価値を引き出し、高い業績を続けることができるのだろうか。ほかのライバル企業は、なぜそれを模倣することができないのだろうか。本書はこの二つの疑問に、豊富な事例を通じて解答を与えている。
成功事例の共通項として3点があげられる。まずは「非常に明快な価値観が広く共有されている」、次に「価値観を正確に反映した社員中心主義の経営が整合的に一貫して行なわれている」、さいごが「経営陣全員が管理者ではなくリーダーである」。さらに具体的には、今現在の能力ではなく価値観を共有できるかを重視して採用を行なうこと、社員への投資、広範囲にわたる情報の公開と共有、チームワークとチームによる統制、金銭だけではなく、成長や達成感といった報酬などがあげられる。一般的なアメリカ企業の価値観であると言われる「自己責任によるキャリア育成」「雇用と解雇の自由」「株主至上主義」などに対しては、人材価値の発揮を妨げるものとして否定的である。
第2の疑問に対しては、「知っているだけではなく、行動できるか否か」という点に尽きるようだ。単なる模倣ではなく、徹底しなければだめなのだ。本書は成功例と「似て非なる」失敗例をあげ、成功と失敗を分けたのは幸運・不運ではなく徹底・不徹底であることを示している。価値観を貫きとおすことはまことに困難なのだ。
わが国においても大いに示唆に富んだ本といえるだろう。中央官庁、都銀大手など、優秀者が多数いるにもかかわらず、効率や業績の悪いケースが目立つ。その一方で、トヨタやリコー、キヤノンのように「隠れた人材価値」を引き出し、高業績を続けることに成功している企業もある。こうした企業に対しては、「勝ち組企業だから社員重視などと言っていられる」という批判がもあるが、これが見当違いであることもこの本は示している。自己責任や株主重視といったアメリカ流の発想がもてはやされているわが国でこそ、大いに読まれてほしい本だと思う。
そして、何より私が好きなのは、この本がとてもネアカなところだ。
たしかに、監修者の長谷川喜一郎氏も解説で述べているように、厳格な管理、懲戒によって高業績をあげている企業もある。この本も、この本の主張だけが成功の「唯一の」方法であるとは述べていない。懲罰による厳格な管理も、一貫して徹底することは難しいだろう。重要なのは方法より徹底することなのかも知れない。
とはいえ、人間は懲罰をもって臨まなければならないとか、人材は価値ではなくコストだという考え方は、当否は別としてもいささかネクラな人間観ではないだろうか。それが徹底された組織は、なんとも精神的には貧困なのではないだろうか。
それであれば、人間は成長する可能性と意欲を持つものであり、人材はコストではなく価値であるというネアカな人間観に立って、それを徹底したほうが、よほど気持ちが豊かではないか。もちろん、この二つの人間観は同じものを違う視点から見ただけのことであり、現実の人間はその両面をつねにあわせ持つものであるとしても。[荻野勝彦]
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