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電子書籍

20世紀イギリス小説個性派セレクション みんなのレビュー

  • 著者:イーヴリン・ウォー, 訳者:大久保 譲, 著者:パトリック・ハミルトン, 訳者:北川依子, 著者:マックス・ビアボーム, 訳者:佐々木徹, 著者:シルヴィア・タウンゼンド・ウォーナー, 訳者:中和彩子, 著者:マーガニータ・ラスキ, 訳者:横山茂雄
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紙の本

20世紀イギリス小説個性派セレクション 1 ヴィクトリア朝の寝椅子

いま蘇る、20世紀イギリス小説の名品たち――『ヴィクトリア朝の寝椅子』翻訳上梓にあたって

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投稿者:横山茂雄 - この投稿者のレビュー一覧を見る

———『ヴィクトリア朝の寝椅子』の翻訳をこのほど刊行されましたね。作者のマーガニータ・ラスキは日本ではほとんど知られていない小説家だと思うのですが……。いったいどういう作品なのでしょう?
「そうですね、ラスキは半世紀ほど前に『失われた少年』という長編が翻訳され、その後はたしか短篇がひとつ紹介されたきりですから、日本ではほとんど無名といっていいかもしれません。本国イギリスでも彼女の小説は長らく絶版状態が続いていましたが、このところ『ヴィクトリア朝の寝椅子』を初めとして幾つかの作品の新版が出て、再評価の機運が高まっています。
 『ヴィクトリア朝の寝椅子』は、端的にいえば、幻想小説の範疇に入る作品です。
 1952年のロンドンから物語は幕を開けます。主人公の若い女性メラニーが、ある日の午後、ヴィクトリア時代の骨董品の寝椅子に横になってまどろみ、眠りからさめてみると、その眼前にあるのは、見知らぬ部屋、見知らぬ人物だった。
 しかも、彼女は自分がミリーという名の女であり、しかも、日付こそ変わらないが、年号は1864年だと告げられる……」
———そうすると、いわゆるタイム・スリップ?
「さて、どうでしょうか? 知りたい方は是非ともお読みになってください。
 少なくとも、『ヴィクトリア朝の寝椅子』は時間と意識をめぐる非常に独創的な物語だといえるでしょうね。同時に、女性の性意識も主要なテーマになっていますから、フェミニスト批評の観点からも興味深い。
 ともかく、色々な読み方ができる作品です。SFのファンにも楽しんでいただけると思いますし、ヴィクトリア朝文化の愛好者の方なら、『ヴィクトリア朝の寝椅子』という題名の本を見逃す手はないでしょう(笑)」
———翻訳作業について特にご苦労とかはありましたか?
「苦労というのではありませんが、主人公メラニーの意識の流れが重要なポイントになっていますので、それを読みやすい日本語に移すということは強く心がけました。いっぽうで、当然ながら英語の文章では左から右に意識が流れていくので、その流れは翻訳においても極力崩さないようにしています。
 また、主人公の女性は、次に何が起こるかまったく分からない、予測のつかない暗中模索の状況におかれるのですが、その感覚を得るために、第一稿の着手に先立って本を読み返すことはせず、さらに翻訳している箇所より先は絶対見ないようにしました。何しろ最後に読んだのが四半世紀前ですから、細部などほとんど憶えていませんし(笑)。したがって、エンディングには、主人公と同じくらいに不意をうたれました(笑)」
———ところで、『ヴィクトリア朝の寝椅子』は、横山茂雄、佐々木徹責任編集『20世紀イギリス小説 個性派セレクション』(新人物往来社)全5巻の1冊目として出た訳ですが、このシリーズじたいはどういうきっかけで?
「数年前に知り合いの編集者から、英米文学関連の企画で何かないかという話が持ち込まれまして、それなら、日本ではあまり知られていない20世紀前半のイギリス小説の佳什、秀作を紹介するのはどうだろうかと思いつきました。
 ただ、ひとりで選ぶのはやはり難しいし、また偏りが生じてしまうでしょう。そこで、友人である佐々木徹さんに助けてもらうことにしました。彼は立派な小説も沢山読んでいますが、しょうもない小説も沢山読んでいて(笑)、視野が格段に広い。とても頼りになる訳です。ちなみに、『ウィルキー・コリンズ傑作選』を実現させた人物が彼ですね」
———どのような基準で選択されたのでしょうか?
「ふたりで候補作のリストを出し合って討議を重ね、とりあえず今回の5冊に落ち着きました。小説として面白いというのがもちろん第一の基準でしたけれど、できるだけ多様な〈声〉を収めたいという思いがありました。したがって、個人的な趣味はかなり抑えるようにしました(笑)。
イギリスは小説(novel)幸う国といって過言ではなく、小説の発生このかた、膨大な数の作品が書かれてきました。19世紀半ばを過ぎた頃に小説はようやく文学のまっとうなジャンルとして認められはじめ、20世紀に入ると文学のなかで最も大きな影響力をもつものとなりますが、通俗小説、大衆小説も含めて、本当に夥しい数の作品がイギリスでは刊行されてきた。
量ということは非常に重要でして、屑のような作品が陸続と出版されると共に(笑)、テーマ、技法、形式などの面で、他の国ではとうてい書かれなかったようなタイプの小説を産み出す基盤となっています。20世紀になって小説というジャンルは一種の爛熟期を迎えた訳ですが、そのためにいっそう独特な作品が執筆された。換言すると、20世紀前半のイギリス小説の世界では、わたしたちはとても「多様な〈声〉」を聴きとることができる。
 なお、当初は『20世紀イギリス小説の〈発見〉』というシリーズ題を予定していたのですが、版元の意向で現行のものとなりました」
———全巻のラインナップについて簡単に解説していただけますか?
「はい、『ヴィクトリア朝の寝椅子』(1953)の他に、以下のようなものとなっています。

マックス・ビアボーム『ズリイカ・ドブソン』(1911)
シルヴィア・タウンゼンド・ウォーナー『フォーチュン氏の楽園』(1927)
イーヴリン・ウォー『卑しい肉体』(1930)
パトリック・ハミルトン『孤独の奴隷』(1947)

したがって、時代的にいうと、1910年代から50年代までの各年代の作品が並んでいることになります。いうまでもなく、すべて本邦初訳で、企画の性質からして、日本では一般に知名度の低い作家が大半となっています。
 唯一の例外がイーヴリン・ウォーでしょう。『卑しい肉体』は彼の長編第2作にあたり、ウォーの他の初期作品と同じくブラック・ユーモアに満ちていますが、虚無的な気配が濃厚です。
  パトリック・ハミルトンは,ミステリや映画のマニアには、ヒチコックの『ロープ』の原作戯曲の作者として知られているかもしれませんね。7、8年前でしたか、彼の小説のうち最も広く読まれている Hangover Square が翻訳されましたが、『二つの脳を持つ男』(!)という題でしたね。『孤独の奴隷』は、題名が示す通りの内容で、孤独に苛まれる女性の心理を、高度な技量によって仮借なく描いた作品です。
 世紀末のダンディ、あるいは諷刺画家としてのマックス・ビアボームをご存知の方は少なくないでしょう。また、彼の短篇小説は僅かながら翻訳されています。’An Oxford Love Story’という副題の付された『ズリイカ・ドブソン』はビアボームの遺した唯一の長編小説です。一般には諷刺小説と称されていますけれど、いかにも彼らしい分類不能の作品で、奇想小説の側面もあります。
 シルヴィア・タウンゼンド・ウォーナーの『フォーチュン氏の楽園』もまた分類不能の不思議な小説です。とはいえ、翻訳のある『妖精たちの王国』系統の作品ではなく、主人公フォーチュン氏は南海の小島へと宣教に赴く男です。ちなみに、わたしの周辺では、世界最初のBL小説(笑)ではあるまいかという意見が有力なんですが……」
———他にも翻訳を現在進められている作品などおありですか?
「いえ、『ヴィクトリア朝の寝椅子』が終わったので、これからは構想30年(!)になる本の完成を目指したいと思っています。ヴィクトリア朝からエリザベス朝へと一気にワープしまして(笑)、英国ルネッサンス期の魔術師ジョン・ディーについての本です。そうだ、小説の第3作目も急がなくては……。
 とはいえ、他にも同時にやっていることが色々とありまして、たとえば、ごく最近では、明治の人類学者、坪井正五郎をめぐる文章が『思想』2月号に載りました。何だか支離滅裂ですね(笑)」
———最後に読者の方々に何かメッセージなど、おありならば……。
「現在の出版状況では、正直なところ、今回の翻訳シリーズのような地味な企画は実現するのがとても困難になっています。イギリスの小説には日本に未紹介の面白い作品がまだまだ沢山ありますので、このシリーズを支援していただければ幸いです。横山、佐々木の共通の知己である柴田元幸さんにも推薦文を書いていただくというかたちで、助けていただきました。本シリーズが順調にいけば、候補には入っていたけれど見送った作品を中心に第2期の刊行も可能となるかもしれませんので、どうかよろしくお願いいたします」

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