120%COOOL みんなのレビュー
- 山田詠美
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
1 件中 1 件~ 1 件を表示 |
紙の本120% coool
2005/11/09 13:24
都会の恋愛模様
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:tujigiri - この投稿者のレビュー一覧を見る
山田詠美? ああ、女版村上龍ね。
いつかしら、こんな台詞を聞いたことがある。
女版、村上龍。
僕のなかで村上龍の評価は定まっている。
外部社会の目線を身体に取り込むことに成功し、愚昧なままにとどまる社会を挑発する作家。
よくも悪くも、優越感をにじませる作風。
山田詠美も同じなのだろうか。ぼんやりとした異物感を抱きながら、僕は本を開く。
ふむ。
90年代風の、小さな高揚感と軽い憂欝をないまぜにした恋愛小説が9篇ばかり。
篇によって男女の主客は替わるけれど、基本的には女が能動的な立場にある(あるいは、そう思いたがっている)男女関係を、都会的なフレーズや小道具を散りばめてムーディーに描こうとしているようだ。
恋愛に付き物のどろどろとした情念や、男女関係に不随する負の側面をさらりとかわし、それでいて誰にも許容できる範囲の見苦しさはふんだんに盛り込む。
作者は一貫して、恋愛をコントロールの利く交接ととらえている。
そこにあるのは、切実さよりもきれいに加工された思い出だ。
計算された露悪、ということなら、なるほど村上龍に通ずる感覚があるだろう。
常に行動者たらんとする意識も共通している。
が、山田詠美の小説に深刻さはない。村上龍がその作品でしきりに煽り立てる危機感が、ない。
だから読みやすい。
刺すらもやわらかい薔薇の造花のような、疑似的な痛みが陳列されている。
それは安全なアバンギャルド。
この作家が女性に強く支持されている理由がよくわかった。
彼女たちはきっと、臆病な夢みる少女なのだ。
1 件中 1 件~ 1 件を表示 |