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族譜の果て みんなのレビュー

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紙の本

族譜の果て

紙の本族譜の果て

2003/03/23 10:23

族譜の果て

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:五十棲達彦 - この投稿者のレビュー一覧を見る

『族譜の果て』のあらすじは、主人公=在日朝鮮人・高泰人が経営する「青銅美術印刷」が、印刷工場と高価なドイツ製印刷機(たぶんハイデルベルグ製であろう)の設備投資のための返済から、最後には雪だるま式に膨らむ借金と従業員の横領、裏切りの果ての倒産までが描写されている。主人公=高泰人を取り巻く人間関係、抑圧された在日朝鮮人の父と子の関係、その親族との軋轢と断絶などが、この小説を読む側に“痛ましさ”を増幅させる。
 『族譜の果て』の“族譜”とは、この物語に登場する親子、親戚、従業員、組織の人間、金貸しと政治家の系譜だけではない。在日朝鮮人そのものが背負っている“宿命の果て”そのものに他ならない。
 『族譜の果て』をやり切れない気持ちで読んでしまったが、それは在日朝鮮人への日本人としての負債感だけでもない。数万社ある日本の印刷企業の経営実態が「青銅美術印刷」の姿に集約され、かつスケルトンされている。想像を許していだけるなら、この小説が書かれた高度経済成長時代と現在(2003年)では、中小零細企業の経営実態は根本的に異なっている違いない。けれども『族譜の果て』で書かれている、中小零細企業の経営者と従業員の実感は今も昔も然程変わらないのかもしれない。今から思えば、牧歌的な感じさえする高度経済成長時代でも、資本主義経済の冷徹な原則が貫徹されているのである。この『族譜の果て』を経済小説とか、ましてや印刷業界の実態物語りなどと謂えば「無知」の謗りを免れない。だが一方では経済原則がザッハリヒに描かれているのも事実である。決して、マネーゲームの勝者と敗者の世界だけが経済小説の対象ではない。この小説に謂いようのない暗さを感じるのは、いまの日本経済の姿を裏映りさせているからで、作者=梁石日自身が『族譜の果て』を出版した時には予定していなかった副産物に違いない。
この小説の深遠は、在日朝鮮人問題、親と子の隔絶、零細企業の悲惨な実態、組織暴力、資本主義経済の冷徹性を独自の文体で描ききっているところにあるが、戦後文学が持っていた、謂いようのない“重さ”をもっており、最近のJ-POP感覚の小説には到底ない通奏低音が聴こえる“小説”である。
 サルトルが「ユダヤ人のためと同時に、われわれ自身のためにも戦わねばならないことに、そろそろ気がついてもよさそうである」.『ユダヤ人』.岩波新書.は戦後日本のテーマであり、小泉首相の「靖国神社参拝」でのアジア=特に韓国、中国の反応は、経済協力が良好に行われていても、彼らからは決して忘れることのできない負の遺産があることを教えてくれるのであるが、この『族譜の果て』も、私にとってまた同じ意味をもつ。
 
この小説を紹介していただいた印刷会社エム様に感謝し、捧げる。

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