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電子書籍

世界は「使われなかった人生」であふれてる みんなのレビュー

  • 沢木耕太郎 (著)
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みんなのレビュー2件

みんなの評価4.4

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紙の本

世界は「使われなかった人生」であふれてる

誰にも「使われなかった人生」がある

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐吉 - この投稿者のレビュー一覧を見る

雑誌『暮らしの手帖』に連載された映画評30篇に、書き下ろしのエッセイ2篇を加えて一冊としたもの。

人は誰でも、大なり小なりいくつかの分岐点を経て今に至っている。そしてときに、分岐のこちら側でなくあちら側を選んでいたらどうなっていただろうと夢想することがある。分岐の向こう側の「ありえたかもしれない人生」は、もう手が届かないがゆえに甘美ではあるが夢でしかない。しかし、分岐のあちら側にはもう一つ、「使われなかった人生」がある。「使われなかった人生」は「使わなかった人生」でもあり、そこには具体的な可能性があったという近さがある。自分にとっての「使われなかった人生」とは何か。映画はそれを考えさせてくれると沢木は語る。

自らあとがきで『心地よい眠りのあとで楽しかった夢を反芻するようなもの』と云い、『その夢がどのようなものだったかを上手に説明することができれば、それが楽しさを説明することになると思っていた』と云っているように、決してマニアックな薀蓄を傾けるでもなく、難解な芸術論を展開するでもなく、はたまた自らの思い入れを熱く語るでもなく、それがどういう映画だったか、彼がそこに何を見たかを、簡潔に平明に語ってゆく。それでいて、それぞれが充分に咀嚼され、明確な手ざわりのある言葉で語られている。

これを、それぞれの映画をモチーフにしたエッセイと捉えることもできるだろう。が、もちろん映画評としての結構も失っておらず、それらが絶妙なバランスの上に成り立っていて、しかもさりげない。ちょうど旅行記を読むような感覚で読める映画評である。それを読むことで、自らその土地を旅しているような気分に浸ることもできるし、行ったことのある土地なら、自分の感じたことと比較しながら読んでも楽しい。また強く惹かれるものがある未知の土地なら、実際に行ってみようとも思うだろう。しかもそれは、引き出しの奥の小銭までかき集めてバックパッカーにならずとも経験できる、小さく手軽な旅だ。

専門の映画評論家には書き得ない、ノンフィクション作家の沢木だからこそ書き得た映画評だろう。単に映画を紹介し批評するだけにとどまらず、銀幕の向こう側にある人生を見つめ、さらにその奥に自らの人生を見つめ直そうとする視線が感じられる。映画や小説について気の利いたレビューを書きたいという方には、その一つの手本ともなり得るだろう。何を隠そう評者自身、かつてこの本に触発されて、こうして書評などを書き始めたのである。

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紙の本

世界は「使われなかった人生」であふれてる

読む人に、観た美味しさを分けてくれる映画エッセイ。

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:きゃべつちょうちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る

この人はどうして
こんなにわかりやすいのに
心に深く残る文章が書けるのだろう。

この本を読んで、
まったく知らなかった映画を二本、観たくなった。
著者の程よい説明で、未知の映画の世界の入り口に立つことができ、
映画に寄せる思いを読むうちに、その世界を実感したくなるのだ。
観たことのある作品については、記憶がふんわりと蘇り、
ああ、こういうとらえかたもあるのかと新鮮さを感じることもある。
どちらにしろ、発見があるのだ。

考えさせられてしまったのは
「ペイ・フォワード 可能の王国」の評である。
著者は最初から真剣に注意深く語りかけてくる。
思いも寄らない不幸に見舞われて、悲しみを背負っている人に対して
なぜそうなったのかと原因を追求するのは意味のないことだ、と。
彼らにとっていま必要なのは、
背負っているものをどのようにして耐えていくか、
(負荷をどれだけ軽くできるか)
ということなのだから、と。

傍観者が当事者を少しでも理解するには、
WHYではなくHOWの視点に立つことが必要なのかもしれない。
先日見たテレビ番組で、偶然〈HOW力〉という言葉に出会い、そう思った。

「ペイ・フォワード 可能の王国」には、
予想外の悲しみを背負ってしまった人が何人か登場する。
そのうちのひとりである少年が、
通っている学校の授業で教師から問いかけられる。
世の中を変えたいと思ったら、自分になにができるか、と。
そして少年はペイ・フォワードという言葉を考えつく。
人から親切にしてもらったら、
その人にペイ・バック(過去のつけの返済)をしなくていい。
そのかわり、今度は新しく誰かに善意を返す。
それを少年はペイ・フォワードと呼ぶことにしたのだ。
仮に、ひとりから親切にしてもらった人が三人に善意を返すとしたら
つぎは九人がペイ・フォワードされることになり、
世の中に少しずついい空気が流れ始めるのではないか。
少年は地道にペイ・フォワードをつづけていく。
しかし、親切はあだになることさえあり、現実は厳しい。
でも、蒔かれた種はきちんと深く植わっていて
芽を出す準備をしていた・・・・・・。

評されたタイトルは三十本。
この本で取り上げられた映画は、ハリウッド系よりも
単館ロードショーをしていたような、地味でじわじわくるものが多い。
現在だと入手しにくいDVDもあるかもしれないが、
もしお気に入りの一本が見つかったら本当にお得である。
もちろん、映画を観る観ないを別にして
エッセイを読むだけでも、じゅうぶんに味わいがある。

あとがきによれば、
本書は雑誌『暮しの手帖』の連載をまとめたものだが、
最初、著者は連載の依頼を断っていたらしい。
映画は仕事抜きでたのしみたかったからだ。(著者は映画好きだから)
しかし編集者の熱意により、ついに単行本化されるに至った。
そして幻冬舎の編集者の熱意により、単行本が文庫化された。
結果的に、読者のもとへすばらしい本を届けてくれた編集魂にも、
感謝したいと思う。

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