草原の椅子 みんなのレビュー
- 宮本輝 (著)
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電子書籍草原の椅子(下)
2022/11/03 07:48
読み続ける中で命の奥の奥から沸き上がってくる、宮本輝の人間賛歌。
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投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
遠間憲太郎と富樫重蔵は、「生きて帰らざる海」を意味するタクラマカン砂漠と「世界最後の桃源郷」といわれるフンザへの旅を計画する。
陶芸店の店主の篠原貴志子、育児放棄されてきた少年 喜多川圭輔が旅の同行者となる。
50歳をこえた男たちの心は、常に揺れ動く。
自分のしてきたことに確信を持ったかと思えば、様々な出来事に紛動されて、自信を失ってしまったり。
人間とは、かくもちっぽけな存在。
だが、無限の可能性も秘めている。
「人間は、それらすべてを解決する巨大なエネルギーを秘めている。そのエネルギーの出し方や使い方が、わからないだけなのだ」
「何億兆年もの寿命を持つ星も、たかだか七十寝にゃ八十年の寿命をまっとうできるかどうかわからん俺も、そんなにたいした変わりはないって気がしてくるんや」
20年以上前に、著者が50代前半の頃紡がれた言葉の数々。
1995年の阪神大震災の被災で、人生観、生命観を大きく揺さぶられた。
そして、その後訪れたシルクロードへの過酷な旅の後に生まれてきた何か。
「海洋よりも壮大なる光景、それは天空である。天空よりも壮大なる光景、それは実に人の魂の内奥である」(ヴィクトル・ユゴー)
懸命に生き抜く中にしか、自分の使命を見つけることはできない。
読み続ける中で命の奥の奥から沸き上がってくる、宮本輝の人間賛歌。
電子書籍草原の椅子(上)
2022/11/02 10:19
日々の暮らしと現実にもがきながらも、目の前の課題に取り組み続ける。 そのような日常のなかにこそ、本物の哲学がある。
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投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
「あなたの瞳のなかには、三つの青い星がある。ひとつは潔癖であり、もうひとつは淫蕩であり、さらにもうひとつは使命である」
遠間憲太郎は、旅行先のパキスタンのフンザで老人からかけられた言葉が心から消えなかった。
老人によれば、その三つの青い星なるものは、この日本人が生まれながらに持っているものだという。
離婚をして、大学生の娘と暮らしている憲太郎は、取引先で馬の合った富樫重蔵と親友の契りを交わす。
俺・お前の仲になったのだ。
大けがをした部下の行く末を心配し奔走する。
陶器店を経営する篠原貴志子に少年のような恋をする。
そして、絶体絶命の親友のピンチには訳も聞かずに救いの手を差し伸べる。
家族や大切な人のためならば何でもしようと思うのも人間。
誰かのために尽くしたいと思うのも人間。
そして、気がつかないうちに自分自身をコントロールできなくなってしまうのも人間。
どれもこれも同じ人間の実相なのだ。
こんなものだと決めつけて、レッテルを貼る。
白か黒かを決めたがることは容易だ。
だが人生や生命はそんな簡単なものではない。
日々の暮らしと現実にもがきながらも、目の前の課題に取り組み続ける。
そのような日常のなかにこそ、本物の哲学がある。
宮本輝の等身大にして偉大なる人間賛歌。
紙の本草原の椅子 下
2022/10/15 09:23
懸命に生き抜く中にしか、自分の使命を見つけることはできない。読み続ける中で命の奥の奥から沸き上がってくる、宮本輝の人間賛歌。
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投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
遠間憲太郎と富樫重蔵は、「生きて帰らざる海」を意味するタクラマカン砂漠と「世界最後の桃源郷」といわれるフンザへの旅を計画する。
陶芸店の店主の篠原貴志子、育児放棄されてきた少年 喜多川圭輔が旅の同行者となる。
50歳をこえた男たちの心は、常に揺れ動く。
自分のしてきたことに確信を持ったかと思えば、様々な出来事に紛動されて、自信を失ってしまったり。
人間とは、かくもちっぽけな存在。
だが、無限の可能性も秘めている。
「人間は、それらすべてを解決する巨大なエネルギーを秘めている。そのエネルギーの出し方や使い方が、わからないだけなのだ」
「何億兆年もの寿命を持つ星も、たかだか七十寝にゃ八十年の寿命をまっとうできるかどうかわからん俺も、そんなにたいした変わりはないって気がしてくるんや」
20年以上前に、著者が50代前半の頃紡がれた言葉の数々。
1995年の阪神大震災の被災で、人生観、生命観を大きく揺さぶられた。
そして、その後訪れたシルクロードへの過酷な旅の後に生まれてきた何か。
「海洋よりも壮大なる光景、それは天空である。天空よりも壮大なる光景、それは実に人の魂の内奥である」(ヴィクトル・ユゴー)
懸命に生き抜く中にしか、自分の使命を見つけることはできない。
読み続ける中で命の奥の奥から沸き上がってくる、宮本輝の人間賛歌。
紙の本草原の椅子 上
2022/10/14 10:37
宮本輝の等身大にして偉大なる人間賛歌。
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投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
「あなたの瞳のなかには、三つの青い星がある。ひとつは潔癖であり、もうひとつは淫蕩であり、さらにもうひとつは使命である」
遠間憲太郎は、旅行先のパキスタンのフンザで老人からかけられた言葉が心から消えなかった。
老人によれば、その三つの青い星なるものは、この日本人が生まれながらに持っているものだという。
離婚をして、大学生の娘と暮らしている憲太郎は、取引先で馬の合った富樫重蔵と親友の契りを交わす。
俺・お前の仲になったのだ。
大けがをした部下の行く末を心配し奔走する。
陶器店を経営する篠原貴志子に少年のような恋をする。
そして、絶体絶命の親友のピンチには訳も聞かずに救いの手を差し伸べる。
家族や大切な人のためならば何でもしようと思うのも人間。
誰かのために尽くしたいと思うのも人間。
そして、気がつかないうちに自分自身をコントロールできなくなってしまうのも人間。
どれもこれも同じ人間の実相なのだ。
こんなものだと決めつけて、レッテルを貼る。
白か黒かを決めたがることは容易だ。
だが人生や生命はそんな簡単なものではない。
日々の暮らしと現実にもがきながらも、目の前の課題に取り組み続ける。
そのような日常のなかにこそ、本物の哲学がある。
宮本輝の等身大にして偉大なる人間賛歌。
紙の本草原の椅子 上
2002/01/20 12:58
憂れうべき「よい社会」と「立派な大人」とは
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投稿者:かいらぎ - この投稿者のレビュー一覧を見る
昔に比べればはるかに「よい社会」のはずの今、心病んでしまうこの「よい社会」。「立派な大人」を目指す二人はそんな現在の社会に対して怒りや絶望に苦しむ。そして、彼らは仲間を見つけ、人間とはなにを目標に生きるのかを感じ取るために、日本を抜け出して、タクラマカン砂漠からパキスタンのカシミール地方にあるフンザに至る古代シルクロードの旅を計画し、旅立つ。
この日本という国はいつからこんなに悲しい国になってしまったのだろう、という思いは、今みんなが抱いていることだろう。今の社会を憂い、「よい社会」と「立派な大人」とは何かに悩む人は彼らに共感できることだろう。
上下刊通して読むべし。
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