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電子書籍

築地にひびく銅鑼 みんなのレビュー

  • 藤本 恵子
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紙の本

築地にひびく銅鑼 小説丸山定夫

丸山定夫は私たちのなかにまだ生きている、天才役者の誠実で破れかぶれ人生を描く

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投稿者:近藤富枝 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この本のなかに本当に丸山定夫がいるのだろうかと思ったらたしかめずにいられなくなってしまった。芝居好きの私だが、これまで心をゆるがされた名演技というのは、「富島松五郎伝」の丸山の演技が最高だったと思っているからである。一九四二年(昭和十七年)の五月の文学座で、劇場は築地の国民新劇場であった。ここはかつての新劇のメッカ築地小劇場である。相手役は杉村春子で、彼女の演じる未亡人に無頼の車夫松五郎が恋心をおさえられず思わず手を握るところなどあまりの迫真力に、私は三回も見にいってしまった。
 何しろ新劇の団十郎というニックネームさえあった名優である。四十四歳で広島の原爆に出あい、日本の再生、劇界の復活を見ることなく死んだ。役者の芸というのは、画家や作家とは違い、死んでしまえばおしまいである。どんなにすばらしい演技者だと解説されても、見ない人には伝わらない口惜しさがある。それにしても丸山定夫程の逸材はめったに生れるものではなく、それは歌の世界で美空ひばり、野球でイチローなどという天才と同じようなレベルだったのではないか。一発の原子爆弾への怒りを、私は改めて思わずにはいられない。

 彼の天才ぶり、ユニークな生活、演劇への情熱がストレートに伝わってくるのに、私は本書を読みつつ感動した。“ガンさん”というのが愛称で、彼のことを言うときは逢ったこともなく、まして口をきいたことのないファンたちまで“ガンさん”と言って親しんでいたものだ。型外れの、どこからでもこいといった破れかぶれの生き方が人気があったからであろう。
 まるで彼に逢っているような本である。ガンさんの舞台を知らない人にも、彼の舞台を見たことがあるような気にさせ、いつも行く喫茶店でときどき顔をあわせている人のような気にさせる本である。

 題名となった「築地にひびく銅鑼」だが小山内薫、土方与志の創った築地小劇場の第一回公演は「海戦」でその開幕を知らせるドラを叩く役が丸山定夫だった。築地小劇場の日本の演劇界に残した大きな足跡を思うと、彼がその出発のドラを鳴らしたことはスゴイ。まるでその後の丸山の歩みを象徴するような出来ごとだったと思う。
 当時の新劇界の空気をみごとにとらえていることも本書の特徴である。戦後生れの作者がここまでつっこむのには大変な努力がいったと思う。

 ある夏、私は広島に行き、丸山定夫たちさくら隊の殉難碑を詣ようと平和大通りを歩いていた。それがなかなかみつからず、道行く人につぎつぎと聞いたが誰も知らないのにびっくりしてしまった。あんなすばらしい人が殉難したのに、せめてその碑のありかぐらい町の人は知ってほしいのにと腹が立った。もう二十年前の話だ。今はどうだろうか。今ここに戦後生れの作者の手で丸山定夫の小説が生れた。何よりの彼への鎮魂であろう。 (bk1ブックナビゲーター:近藤富枝/作家 2001.07.31)

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