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電子書籍

現代イタリアの思想をよむ みんなのレビュー

  • 上村忠男 著
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紙の本

現代イタリアの思想をよむ

紙の本現代イタリアの思想をよむ

2009/04/09 02:46

練達のよみ手が、イタリア思想の湖へと誘う

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:半久 - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は、1986年に刊行された『クリオの手鏡』を改題したもので、大幅に増補し新版として甦った。全15本の論考のうち、9本が新たに追加されている。

イタリアには関心のある日本人も多いだろう。とくに歴史と文化。ローマ史は人気が高く、ルネッサンス期の芸術、ファッション、グルメ、マテリアルデザインなど尽きせぬ魅力がある。
ところが20世紀以降のイタリアの思想、それも政治との関連が深いものとなるとどうだろう。一般にはさほど知られていないのではないか。私などは、ネグリなどを多少聞きかじったていどでほとんど白紙に近い。その空白を埋められるかと期待して読んでみた。

本書は、私が勝手に期待していたところの「イタリアの思想史を系統立てて解説した、わかりやすい見取り図的なガイドブック」にはなっていない。本書に解説を書いている岩崎稔氏によれば《(前略)そもそも著者には、ナショナルな思想の歴史を提出する気など毛頭ないからである。》とのことだ。

これは悪口ではないが、「雑多」な論考の詰めあわせで、思想家のプロフィールや著作の紹介が中心のもの(ボッビオ)があれば、初出が『図書新聞』の書評発展型の論考もある(カッチャーリなど)。
また、初出が単行本につけた解説文だったものは--たしかにこうして本書に収載されるに値するみごとなでき映えではあるが--本来なら当の著作も読んだほうがいいのだろう。
もちろん、ていねいに彫琢された論考が主流であって、それには思想家たちの著作からの引用が多めになされているのがうれしい。翻訳されたものでいいから、「原テキスト」にもふれてみたいと思うからである。
しかし、なかでもアガンベンは私には難易度が高い。

そんなわけで、「深く理解する」という意味では、初心者にはややハードルが高いところがある。私には、岩崎氏のいうところの《もっとも、この本を、イタリア思想史の点描とだけ言ってしまうと、大きく勘所をはずしてしまう。》というような「見抜き」はとてもできなかった。勘所を知るためには、岩崎氏の解説は必読である。

以上のような限界を悟ったうえで、なお、私のような門外漢でも読めるところも多い。
「より普遍的なテーマ」が、ベスビオの溶岩弾が噴出するかのごとくにばらまかれているのが見てとれる。自由とはなにか、哲学の政治とはなにか、科学的な政治学とはどのようなものか、知識人はどのように政治とかかわるべきか・・・。そして、特殊西欧的な「普遍性」に胡座をかこうとしない人もいる。
これらに葛藤し格闘する思想家たちの営為が、興味深く著者によって「再現」される。歴史叙述を司るとされるクリオという女神に手鏡をもたせた姿に、思想家たちを重ねあわせたのは秀逸なイメージングだ。

『「流浪のイタリア」と移民たち--二十世紀イタリア・ナショナリズム小論』には、不覚にもじんとしてしまった。いわゆる「論文」でこうなることはめったにない。家族愛が芸術家の手によってナショナリズムに回収されてしまうのだが、しかし・・・といった内容だが、こんな紹介ではうまく伝えられないのが歯がゆい。
この小論は、これも悪口ではないが、詩や小説などから大量の引用を切り貼りした、コラージュのような構成だ。若いころ先生から「引用は最低限にしろ。自分の言葉で書け」といわれたことを思いだすが、いやいや、そうともいえないのだ。引用中心でも、この小論のように心揺さぶるものを生みだせるのだから。社会思想史に通じた、読解者として練達の腕があってこその業だが。

歴史家ギンズブルグの方法論的特徴は、「神は細部に宿る」をモットーにすることだという。
本書にも、地球上のある一角を占める空間的・歴史的磁場としての「豊饒なるイタリア」が、すみずみにまで宿っている。

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