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電子書籍

東京日記 みんなのレビュー

  • 川上弘美 著
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みんなのレビュー13件

みんなの評価4.3

評価内訳

  • 星 5 (10件)
  • 星 4 (3件)
  • 星 3 (0件)
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  • 星 1 (0件)
13 件中 1 件~ 13 件を表示

紙の本卵一個ぶんのお祝い。

2005/10/16 18:12

風邪に効く(かもしれない)本

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 風邪をひいた。こんこん、咳がでた。咳の都度体温がじわっと上がっていくようで、いやだなぁと思っていたら、どーんという感じで風邪にまとわりつかれ、仕事を休んだ。最近疲れていたから、と自身に言い聞かせるようにして布団にくるまっていた。TVもつけず、新聞も開かなかった。川上弘美さんの『卵一個ぶんのお祝い。』があったので、少し読んでは眠り、起きては少し読んだ。読むたびに、風邪の熱が少しずつ剥がれていく感じがした。
 本って一体何だろう。時々考える。情報源だとしたら、風邪で寝込んだ日の私の唯一の情報源が、この『卵一個ぶんのお祝い。』だったことになる。五分の四くらいの本当が書かれた日記みたいなこの本でどのような情報を得たかというと、オクラの気持ちになるにはみどりっぽい気分が必要だとか、母親に「かならずたすけます」という手紙を書く子供がいることとか、どうでもいいことばかりだ。でも、風邪をひいた頭には絶句したり、嘆息するような情報よりも、このどうでもいいようなことがちょうどよかった。
□さらに本って何だろうと考える。本が愉楽だとすれば、蕁麻疹がでるほどの強さもなく、蚊の足のような軽さとまではいかない、この本の愉楽が風邪をひいた頭にはちょうどよかった。待ち合わせの店に行ったら定休日だったので仕方なく道に蝋石で「ばか」と書いて帰った話や寝ても覚めてもめかぶに夢中になる話など、電子体温計でもなく、今流行りの耳式でもなく、手のひらを額にあてて熱を測ってもらっているような感じの愉楽が心地よかった。そんなおおざっぱな気分が川上さんの目線にはある。それが楽しい。
 昔子供だった頃、風邪をひくと、母親が林檎をおろし金で摺ってりんご汁を作ってくれた。それが美味しかった。今なら市販のリンゴジュースがあるから、誰もそんな手間なことはしない。でもできれば大人になった今でもおろし金で摺ったりんご汁が飲みたい。川上さんの本が気持ちいいのは、そんななつかしい感じがするからかもしれないと布団の中で思った。そうしたら、少し風邪が治った気持ちがした。

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紙の本卵一個ぶんのお祝い。

2005/10/09 22:00

なんでもないことを面白く、面白いことはより面白く

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:木の葉燃朗 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 作家川上弘美氏の、あとがきによれば、「五分の四くらいは、ほんとう」(p.151)のことを書いた日記。
 著者のまわりで起こる出来事もたしかに面白いのだが、それ以上に、そうした出来事を面白く書ける著者のすごさをひしひしと感じる。
 なにしろ、最初の月の見出しからして「『大福おじさん』を見た。」である。これは、著者が両国に向かう電車の中で「背広を着て、鞄を持って、姿勢よく立って、混んだ電車の中で大福を食べているおじさん」(p.6)を見る話。それだけ、といえば、それだけ。でも、その大福を食べる様子の描写が、目に浮かぶようでなんとも面白い。そして最後に、「帰りに両国の駅で『どすこいせんべい』(バラ売り)五枚をおみやげに買う」(p.7)という一文で、この日の日記は終わる。この独特な話の進み方が、たまらない。
 それからもうひとつ、著者が時折見せるおろおろした様子が、なんともユーモラスである。例えば、ある日打ち合わせをすることになっていた喫茶店が、突然消えていた。その日は仕事先の人と「二人で世の無常をなげきあう」(p.12)。そして後日、打ち合わせの後にふと見ると、消えたはずの喫茶店が現れている。
 そして著者は、「いやーん、と言いながら家に帰って、布団をかぶって、しばらくぐずぐず」(p.12)してしまう。そして様子を見に来た子供にことの次第を話すと、「ふうん、と言ったあとに、よくあることだよ」(p.13)と続けて言われてしまったりする。
 この話は、ひょっとしたらほんとうではない五分の一の方なのかもしれない。しかし、自分がおろおろする様子をここまで正直に書き、笑いに転換させてしまうというのは、すごいなあと思う。
 そんなこんなでにこにこと笑いながら、一気に読み終えてしまった。

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紙の本ほかに踊りを知らない。

2008/01/22 15:55

おめでたい

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 年が明けた。なには兎も角、おめでたい。今年は平成になって二十年だという。人間でいえば、成人だ。成人式には晴れ着で着飾り、政治の世界に清き票を投じ、経済社会の未来をつくる。そんな年になったのかと思えば、これほど目出度き年もない。景気が悪かろうが、政治が閉塞しようが、干支は精励勤勉な子(ねずみ)なんだから、くよくよしてても仕方がない。まずはいい年であれと願わずにはいられない。
 今年最初に読んだ本が、川上弘美の『ほかに踊りを知らない。』で、読書好きには、おめでたい話だ。先の『卵一個分のお祝い。』もほのぼの系のシュールな作品だったが、今回も同様な雰囲気がいい。書名の最後の「。」がおめでたい感じがでていていい。ほらほらと、人にこすりつけたくなる気分。それが作品全体にあって、人と人との距離感を微妙に演出してくる。川上弘美の技量といえる。相撲技でいえば、「内無双」みたいで、読者がおっとととと転がりこむ姿が、春らしい。手をうち、おめでたいと叫びたくなる。
 趣味の欄に「読書」と書くのは平成二十年ともなればおめでたい話かもしれないが、本を読まない「読書」趣味は戴けない。せめて堂々と私めの趣味は「読書」といえるくらいの本は読みたいものだ。おめでたい年の初めに、青少年のような誓いを立てる中年男はみっともないかもしれないが、そういうおめでたい人間がいてもよい。この本の「あとがき」に川上弘美は「近く幸いが訪れますように」と書いているが、読み終わった今、まさに巫女のご神託のようで、おめでたい、おめでたいと胸震わせている。
 経済がどうあれ政治がどうあれ、こんなおめでたい気持ちが、『東京日記』の三冊目が上梓されるまで続けば、どんなに幸せだろう。おめでたい春の始まりである。

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紙の本ナマズの幸運。

2011/02/23 08:11

赤いパンツの妄想。

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 耳の奥が少し痛い。耳朶の後ろを押してみると違和感が残る。小人が住みついていたらどうしょう。 そんなことをつい思ってしまうのは、川上弘美さんのお馴染みのシュール系ほのぼのエッセイ『東京日記3 ナマズの幸運。』を読んだからだ。違和感を具体的なものに変えてしまう魔術にかかってしまったにちがいない。

 それに、赤いパンツがちらちら過ぎるのにも焦っている。しかも、川上弘美さんが履いている赤いパンツだから、実に困る。頭を振って赤いパンツを追い出そうとするのだが、今度は紫のパンツが現れる。そして、川上弘美さんがにっこり微笑まれる。とても困る。
 赤いパンツの話など川上弘美さんが書くからいけない。でも、この話抜群に面白かった。それに川上さん自身この話を楽しんでいる節があって「あとがき」で「パンツに対する自分のなみなみならぬ熱意」と書いている。さらに更年期との関係も疑っている赤いパンツ問題は、きっとこのあとも続くのではないかと、楽しみにしている。

 そんな多分ささやかな具象でこの世は満ちている。いつもどおりの生活をそんな視点で見渡せば、幸運なのはナマズだけでなく、白菜、大根、洗濯機、靴下にも宿っている。それを見つけることができる人こそ幸運で、さしずめこの本は「読者の幸運。」といっていい。
 ただ一つ欠点があるとしたら、赤いパンツを履いた川上弘美さんが微笑んでいる妄想から逃れられないことだ。
 困った。困った。耳朶の奥で小人が踊る。

 ◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でお読みいただけます。

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紙の本ほかに踊りを知らない。

2008/02/13 14:52

読んでいて笑いが止まらなくなった… 東京日記 2

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

川上弘美さんの「東京日記」の第二弾だ。
あとがきに「あいかわらず、中の五分の四くらいは、うそみたいですがほんとうのことです。」
とあって、またまた嬉しくなる。

弘美さんの小説は読むとなんだか不思議な世界に引き込まれてしまうけれど、
日記を読んでも同じような感覚になるのだ。
それがたいそう気持ちいい。

しかし、今回は読んでいて笑いが止まらなくて困ったことになった。
おりしも、娘の家庭教師がやってくる日の晩、
キッチンに続くダイニングのテーブルで娘と先生が算数の問題に取り掛かっているところだった。
私は夕飯の準備をほぼ終えて、あとは焼くだけだったり、皿によそうだけだったり…下準備を完了させてから、キッチンの片隅でこの本を読んでいたのだ。

と、私は笑いのつぼにはまってしまって、笑いが止まらなくなった。
笑いをこらえるにも限度があって、あわてて洗面所に駆け込む。
そこでひとしきり笑ったあとで、またキッチンに戻った。
どうやらダイニングテーブルの二人は私の様子にはちっとも気づいてなかったようで、それだけが良かった。

で、その箇所とは…。
八月某日 曇
夏休み最後の日の日記である。
川上さんが道を歩いていても、子どもの姿が見えないなぁと思っていたら、
団地のほうから子どもの声が聞こえてきた。
「休みがおわるのはいやだー」
「いやだー」
「ほんとうにいやだー」
まるで掛け合いのように団地のあちらこちらから聞こえたそうだ。
そして五時半を過ぎるとその叫び声がぴたりとやんだそうだ。

叫ぶ子どもの気持ちも、
そんな子どもを持つ親の気持ちもよ~く分かる。
淡々と描かれた弘美さんの日記の行間から
笑いのつぼが私にせまってきた。
これを読んでちっとも笑えない人もいるだろう。
おおかたの人がそうかもしれない。
しかし、私はお腹の皮がよじれるほど笑った。
あ~苦しかった。
でもすごく面白かった。

門馬則雄さんのイラストがまた弘美さんの日記にぴったり合っている。
どれもまねをしたくなるほどかわいいイラストなのだが、
やはり一番と言えば、裏表紙のカエルだよなぁと思う。

東京日記2を読んだばかりなのに、もう東京日記3が読みたいと思う。
それくらいに弘美さんの日記は面白い。


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紙の本卵一個ぶんのお祝い。

2005/10/18 14:07

何倍も楽しく生きている…弘美さんの本当日記

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

作家・川上弘美さんの本当日記。
「少なくとも五分の四くらいは、ほんとうです」と、川上さんがあとがきで教えてくれました。
ちょっと前に登場した『椰子・椰子』は嘘日記だったそうですが、
あの時の読んで嬉しかった気持ちがふつふつと蘇る川上ワールドです。
川上ワールドって?
どこがどうって?
例えば、電車の中で「大福おじさん」を見る。
百円ショップで買ったツボ押し器に「タツヤ」と名づける。
めかぶの事を考えて、仕事に手がつかない。
ひと夏に「暑い」を何回言うのか計算してみる(ちなみに4860回)。
仕事場に遊びに来た子どもと「オクラごっこ」をする。
つらつらと読んでいて、くっくっと笑い出してしまった箇所が少なくとも10箇所はありました。
弘美さんは仕事場を持っていて、書く仕事をして、
担当の人と打ち合わせをして、対談もして、サイン会もして、
ある時は友達と花見に行ったり、飲みに行ったり、
家に帰れば、子供がいて、ご飯を作って…。
そんな生活をしています。
弘美さんは同じ人生でも、何倍も楽しく生きているなぁと
感心することしきり。
私もそうありたいと、つくづく思いました。

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紙の本ナマズの幸運。

2011/09/14 18:14

川上弘美さんのチャーミングさ全開!

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ジーナフウガ - この投稿者のレビュー一覧を見る

『うふふ』と笑いが込み上げて来る至福のエッセイ。川上さんってば、
とにかくチャーミングさが良い塩梅なのだ。日記には虚実織り交ぜてあるそうだけれど、

文章のテンポといい、間の取り方といい、品があって川上さん自体の人間力的な物に、
読み手であるこちらはグイグイ吸い込まれる。新しいことに対して怖がりなことを、

しらが染めに行った美容院で美容師さんから告げられた川上さん。
『しばらくの間、びくびくは体から離れなかった。』とか。大発見。

『ごきぶりは、モーツァルトをかけると、出てくる。マーヴィン・ゲイをかけると、ひっこむ。』とか。
更には極めつけで。『大阪は有名人がたくさん歩いているだろうから、

ぜひ駆け寄ってサイン帳を出そうと思っていたのだが、肝心のサイン帳を忘れて
太いマジックだけは持ってきている。』『もし有名人に出会ったら、しかたない、

背中に直接マジックでサインをしてもらおうと、心を決める。』
『サインを背中にしてもらおうと決意はしたけれど、着ている服は一張羅なので、

なるべく有名人に行き合わないよう、下を向いて歩く。』
『何回も人にぶつかってしまう。しかたなく前を向いて歩いていたら、

テレビで見たことのある有名な男の人(ものおぼえが悪いので名前はわからない)をみつける。

あわてて横道に入り、事なきを得る。』吹き出してしまった…。どうだろうか!?
終始この調子の出来事と、それに対する川上さんの感想が書かれているのだが、

次は是非あなたが読者としてお気に入りエピソードを見付けて欲しいと思う。何しろオススメです!!

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紙の本ナマズの幸運。

2011/08/05 17:09

読みながらゲラゲラ笑ってしまう一冊!

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

中学生のムスメが振り返って言う。
「ママ、なに笑いよるん?」
図書館から借りてきた本をダイニングテーブルに積んで、読んでいる夏の日々。
久しぶりに読みながらゲラゲラ笑ってしまう本を手にしている。
ゲラゲラ笑うか、にまにま顔がほころぶかどちらか、またにしても川上弘美さんの一冊だ。

彼女のエッセイ、東京日記もこれで3冊目。最初の1ページから、すでに心のわしづかみ状態、です。(^-^)(^-^)

7月某日の日記。
暑い日にはいくつかの種類があると、それが紹介してある。

「ひょいひょい暑い日」、
「むらむら暑い日」、
「せつに暑い日」、
変則的なところで「もぐらじめりの日」または「かえる蒸しの日」。「せつに暑い日」にはようかんを食べることにするとも書いてある。そのようかんは虎屋の「夜の梅」で。しかも厚さがきっかり2ミリでそれが四枚あることが望ましいとある。
そうか~きっかり2ミリでそれが四枚かぁ~。妙に説得力があり、その通りにしてみたくなる。

一番笑ったのは、四月某日の編集のひとから電話がきた話。
喋りかたに特徴のあるひとが登場する。
この夏の暑さもふっとぶような面白さです。
あと三月某日の近所に出来た花屋さんに肩入れする話も、大好きです。

ぜひ!

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紙の本ほかに踊りを知らない。

2011/03/16 10:06

「五分の四はほんとうのことです」

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:K・I - この投稿者のレビュー一覧を見る

『東京日記2 ほかに踊りを知らない。』を読んだ。
この本に収められている文章は「東京人」という雑誌に発表されたものだが、川上弘美さんの「東京日記」は2011年の今も続いていて、今は平凡社のサイトで連載されている。
「あとがき」で「中の五分の四くらいは、うそみたいですが、ほんとうのことです」と書いてあるが、本当に、「日記」を読んでいるというよりも日記体の小説を読んでいるという気持ちになる。
適度に肩の力が抜けていて、それでいてユニークな観察もあったりして、読んでいてあきさせない本だった。
文章に添えられた絵も雰囲気にマッチしている。

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紙の本赤いゾンビ、青いゾンビ。

2017/06/02 15:43

三行半のような日記

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

初出といってもこれは「WEB平凡」とあるから本でも雑誌でもない。
 それでも見る時は活字であるから、初出というのだろう。
 何しろ人気コンテンツで、書籍化もこの本で5巻め。よく続くものだ。
 小説ではない。エッセイに近いかもしれない。いや、単なるメモだという人もいるだろう。
 唐突だが「三行半(みくだりはん)」という言葉がある。江戸時代に行われていた夫から妻への離縁状のことで、だいたい三行と半分、文が書かれていたという。
 それに近いかもしれない。誰を離縁するということでもないが。

 この本の「あとがき」で、川上弘美はこの本は「たいがい、ほんとうのこと」を書いているとカミングアウトしている。
 それを本当と思うかどうかは読者次第だろうが、私は「まさかね」と少々怪しんでいる。
 本書のタイトルにもなっているゾンビの話は9月の某日、雨の日に乗ったタクシーの運転手がよく喋るということ(これはきっと本当)で、降りる時にタクシー料金を生まれてはじめてまけてもらった(これもきっと本当)。だけど、青いゾンビにはなりたくないとかそんな話するだろうか、タクシーの運転手と。(このあたり怪しいのだが、段々自信がなくなってきた)

 何しろ東京の日常生活だから、本当が嘘みたいに見えてもおかしくないし、嘘が本当に見えても納得がいく。
 それをすくいとる能力が川上弘美の場合抜群に高いのだろう。
 それでなくても、時々異界をさまよっているふうだし。

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紙の本ナマズの幸運。

2011/02/05 09:04

独特なテンポと、選ばれた言葉で語られる、不思議な日常の光景

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:木の葉燃朗 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 雑誌『東京人』からwebサイト「WEB平凡」へと書き継がれている、作家川上弘美さんのエッセイ。「あとがき」によると、「以前は五分の四くらいがほんとうのことだったのですが、ほんとうのこと率は年々上がっているようで、この巻では十分の九くらいに上昇しました」(p.151)とのこと。たしかに、中にはフィクションだと思われる幻想的な光景もある。寝床で本を読んでいると、ハサミムシが枕元を歩き、それが日毎に大きくなる「ハサミムシが。」(pp.130-133)などは、前後の物語を加えていくと、ひとつの短編小説になりそうである。しかし多くは、日常に起こるちょっと変わった出来事を描いている。
 まず印象的なのは、文章のテンポ。なんというか、大らかで淡々とした雰囲気がある。それでいて、どんなパンツをはくと仕事がはかどるかを研究したり、携帯電話に出る練習を一人二役でするものの、それでも怖くて「もう二度と電話がかかってきませんように」(p.21)と神棚に供えたりするのである。文章のゆったりぶりと、内容の落ち着かなさのギャップが面白い。
 そしてもうひとつ、言葉が丁寧に選ばれていることも感じる。難しい言葉や読むとひっかかる言葉はなるべく使わず、それでいて伝えたいことは十分に伝わってくる。だから、書かれていることを素直に読んで、その中で読者が気に入った部分に思ったり感じたり出来る。

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紙の本赤いゾンビ、青いゾンビ。

2017/05/25 20:49

日常or非日常

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:真太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る

「東京日記」シリーズの5冊目をいきなり初読みです。かなりぶっ飛んだ内容です。あとがきにも書かれてますが本当のこともあると。ただ読者としては、つくりごととの線引きがわからなく、読み終えるとある物語のようにも思えてくる不思議な本です。

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紙の本不良になりました。

2016/02/17 18:35

相変わらずの不思議な感じ

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:雲絶間姫 - この投稿者のレビュー一覧を見る

このエッセイ集ももう4巻。これまで単行本が出るごとにリアルタイムに読み続けてきましたが、相変わらずの不思議な風情で、寝る前にちょっと読むのにいい感じです。
最近の小説は恋愛モノばかりで、デビューからドゥ・マゴ文学賞や芥川賞を取った頃までの異形のもの、不思議系のストーリーでないのがつまらなく、遠ざかっていましたが、エッセイでは相変わらずの不思議な感じがあっていいですね。

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