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マルセル みんなのレビュー

  • 高樹のぶ子 (著)
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みんなのレビュー2件

みんなの評価3.4

評価内訳

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2 件中 1 件~ 2 件を表示

紙の本

紙の本マルセル

2012/07/06 11:27

マルセル

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:じゅんちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

推理小説を久しぶりに読んで満足しました。なかなか、推理があたらない、詳細な時代考証、人間模様、ラブロマンス、ひとつひとつ楽しく読むことができました。

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紙の本

紙の本マルセル

2012/06/04 00:24

実際にあった名画盗難事件を軸に著者の個性が創る一級の文芸ミステリー

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん  - この投稿者のレビュー一覧を見る

「作家はいわゆる純文学で書けないものを推理小説に書くことがある、とだけいっておこう。」
これは大岡昇平氏の言である。『事件』で第31回日本推理作家協会賞を受賞した大岡昇平は古くからの推理小説ファンで、自分でもなんどかこのジャンルにチャレンジしてみたものの及第点がとれなかったのだそうだ。この受賞は意外だったらしのだが、それでも
「やっと一人前になれた形である」
と鼻高々であった。氏、69歳のことである。

高樹のぶ子氏の作品は読んだことがない。芥川賞作家で、現在芥川賞選考委員の最長老66歳、恋愛小説の名手といわれている。恋愛・性愛の純文学系作家がミステリーにチャレンジするというのだ。しかもである、「このミステリーがすごい」の今年度ランク入りを宣言したというではないか。怪奇幻想小説家の皆川博子氏が本格探偵小説『開かせていただき光栄です』をびっくりするぐらいの出来栄えで成功させている。皆川氏は81歳だ。作家は高齢になると推理小説に手を染めたくなるもののようだ。
そんな興味の延長から手に取った作品である。1968年、京都国立近代美術館で実際に起こったロートレックの名画マルセル盗難事件の真相を追う推理小説であるが、ドキュメンタリータッチで描かれたものではない。予想外のスケールに発展する謎解きであり、なによりもミステリアスなムード満点で、主人公の不安心理が映し出す怪しい雰囲気がいかにも恋愛小説のベテランらしい独特の味わいを見せている。

時代は現在である。36歳、独身の新聞記者・千晶は神戸で一人暮らしをしていた父を癌でなくした。冒頭の父を回顧する千晶の複雑な心境が丁寧に描かれ、また意味のある伏線になっている。父も有能な新聞記者であった。だが千晶は日の当たらない職場で鬱々としている。母を全く知らず、転勤の多い父とは距離のある生活だった。同じ職業を選んだものとしての対抗心、男である父と娘の葛藤、エレクトラコンプレックスめいた微妙な女心である。
思い出をたどりながら遺品の整理をしていた千晶は父が病床にまで持ち込んでまで追求をし続けていたマルセル盗難事件の取材ノートを発見する。犯人とおぼしきものから父宛に送られてきたマルセルの絵葉書。
「デュークへ 
闘いは終わった。あとわずかで時効成立だ。あなたの負けだ。哀れな吠えることも出来ない。惨めな負け犬。予期しない方法で、わたしは姿を消し、生き返るだろう。
シミひとつないマルセルより」
どうやら父は真犯人の手掛かりをえながら、結局は犯人との闘いに敗れたようだと感じる。一言もこれを語らなかった父が、しかしなぜこの取材記録を千晶のために残したのだろうか?

1968年マルセル盗難事件。1975年、7年後の時効直前にこれが某新聞社に届けられたことで、発見される。犯人の捜査は迷宮入り。1975年、千晶の誕生。そして2011年、千晶は父の亡霊に導かれるように、1968年、1975年の京都の闇に溶け込んでいく。
残された謎を追って訪ねる、フランス・アルビのロートレック美術館(トゥルーズ=ロートレック伯爵家の館を改造したもの)での体験もちょっと幻想的な妖しさがゴシックロマン風で著者の個性が際立っている。

伏線がいきわたっているのであまり解説はできないが、リアルな迫真力で引っ張るものではなく、知らなかった父という人間の人生を発見していくムードで読ませるミステリーである。

千晶の恋愛模様が挟み込まれるが、全体の沈んだ風景にそぐわないどちらかというとコミカルなタッチで、30半ばの独身者男女の恋愛とはこういうものかと思う程度であり、私にとってはむしろないほうがよかった。

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