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翻訳とは何か : 職業としての翻訳 みんなのレビュー

  • 山岡洋一 (著)
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みんなのレビュー3件

みんなの評価4.4

評価内訳

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3 件中 1 件~ 3 件を表示

電子書籍

電子書籍翻訳とは何か : 職業としての翻訳

2017/08/02 15:50

気が引き締まりました

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あるご - この投稿者のレビュー一覧を見る

この本に出会うことができて良かった。翻訳という仕事の魅力と厳しさを噛み締めながら、研鑽に励みたいと思います。

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紙の本

二つの翻訳

3人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:アルケー - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この書はタイトルが「翻訳とは何か」となっているが、これは全体で6章あるうちの1章にすぎず、残りは翻訳についてのエッセイである。副題の「職業としての翻訳」もやはり1章を当てられているにすぎない。
 私はタイトルの「翻訳とは何か」について感想を述べてみたい。ここにこの書物の中心モチーフがあるように思えるからだ。
 著者は「翻訳という言葉で一般に考えられているのは、原文の表面を伝えようとするものである。現在では、これとは大きく性格が違う翻訳、つまり、原文の内容を日本語で伝えようとするものが主流となっている」とこの章をまとめている。両者の代表として、ヘーゲルの「精神現象学」の二つの翻訳、金子武蔵訳と長谷川宏訳とを取り上げて論じる。
 二つの違いはまず文体の違いである。金子訳は「原文の表面に忠実な翻訳」として、英文和訳のときに使われる文体。長谷川訳は「日本語で書き下された文章」と変わらない文体であり、翻訳であることを意識させない文体。
 次に訳語の違い。金子訳が原語と訳語との一対一の対応を目指しているのに対して、長谷川訳はこの原則を放棄し、文脈によって訳語を変えている。
 二つの訳では目的に違いがある。金子訳は原書購読を助け、読者は、訳文を手がかりにして原書を読み込み、内容を理解するように求められている。これに対して長谷川訳は、訳書だけで読者が理解できるようにすることを目的にしている。このため、金子訳は「原文の表面に忠実な訳」であり、長谷川訳は「原文の意味を伝える訳」になっている。こう著者は述べる。
 その結果、金子流の翻訳は「難解な訳」であり、長谷川流のそれは「わかりやすい訳」だと思われている。特に90年代以降、「わかりやすさ」を追求する傾向にあるが、長谷川訳では「難解さ」の正しい側面と「わかりやすさ」の正しい側面の両方をもつ。
 両者の共通点。原語と訳語との一対一の対応を求める伝統を重荷と感じている点では両者の認識は一致している。長谷川はこの伝統を拒否し、金子はこの伝統を受け入れながらも、訳注をつけて日本語として理解可能になるようにした。従って訳注と解説とが一体となって翻訳が成立する。
 これからの哲学の分野ではどちらがより有効になっていくであろうか。
 一般に書物を読むとは著者の意図を理解することにある。原書から理解しようとするものは金子訳を用いるであろうし、翻訳から理解しようとするものは長谷川訳を用いるであろう。だが、ヘーゲルの場合のように、どちらからも理解できない場合があるのだ。そのときはどうしたらよいであろうか。世にはすでに解説書なるものがあふれていて、それを利用することになるのだ。翻訳からも原書からも理解できない書物はそれでよい。
 では翻訳からでも十分理解可能な本の場合はどうであろうか。このとき固有の意味で翻訳というものが価値をもつことになる。従って翻訳を論じるのはこういう本についてであろう。また、本来翻訳可能な本が英文和訳になって、著者のいわんとするところが無視されてしまう。ここから本当の意味での翻訳がはじまる。

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紙の本

翻訳は決して易しいものではない

6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:katu - この投稿者のレビュー一覧を見る

 産業翻訳の世界に身を置くものとして興味深く読んだ。

 第1章は同じヘーゲルの哲学書を翻訳した金子武蔵と長谷川宏の訳を比べながら翻訳とは何かを探っていく。「he」を常に「彼」と訳し「she」を常に「彼女」と訳して安心しているのは英文和訳であり、翻訳ではないと斬り捨てる。

 第2章では歴史の中の翻訳家として、三蔵法師や村田蔵六(のちの大村益次郎)などを取り上げている。村田蔵六に関しては主に司馬遼太郎の『花神』からその業績を辿っており、「職業として翻訳を目指すものにとって、類書がほとんどないと思えるほど貴重な小説だ」と褒めちぎっている。

 その後の章では、翻訳の技術や市場、翻訳者への道などを論じている。但し、主に著者の念頭にあるのは外国語から日本語への出版翻訳である。だから翻訳の技術の話では日本語を書く技術がいかに重要かを切々と説いている。翻訳には日本語から外国語へのものもあるわけだが、これに関しては、例えば日本語から英語であれば英語のネイティブ・スピーカーが行うべきもので、日本人がするべきものではないとハナから相手にしていない。

 後半は翻訳業界がいかに歪んでいるかと、業界への苦言に終始している。翻訳者の収入が少なすぎる話、甘い幻想を抱いて翻訳学校に通う人間がいかに多いかという話、そしてそういう人間から甘い汁を吸い続ける翻訳教育産業の話、自宅で出来るから翻訳をしたいというのが実は誤った認識であるという話、翻訳というのは分業には適していないので、下訳者を使ったりするのは逆に効率が悪くなるという話、などなどである。

 著者は「翻訳」というものを一面からしか捉えていない(もちろん全ての面から捉えるのは不可能な話だが…)。例えば「翻訳とは、書く作業の全体に対して責任を負う仕事だ。だからこそ、魅力のある仕事なのだ。」と書いているが、産業翻訳の世界では一人が全体を翻訳する方が稀である。まず間違いなく複数の人間で分担して翻訳する。そうしないと納期に間に合わないからだ。

 翻訳とは主に外国のすぐれた知識を学び、自国に伝えるものである。それゆえ翻訳というものは生涯を捧げる価値のある職業である。一方で翻訳とは地味で辛く報われることの少ない仕事でもある。翻訳家は自分の担当する翻訳については全責任を負う姿勢が不可欠であり、英語がちょっと得意だからというレベルの人間が簡単になれるものではない。

 というのが本書の結論であるが、「私はそれ相応の環境も整え、翻訳を生涯の職業と見定めており、優れた翻訳を生み出しているのだから、もう少し報酬が良くてもいいはずだ。英文和訳レベルの翻訳本がベストセラーになるのは納得がいかないし、翻訳学習者が非常に安い単価で翻訳を請け負い、業界全体の単価が下がってしまうことにはもう耐えられない。」という著者の裏の声が聞こえてこなくもない。

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