都市計画の挑戦 : 新しい公共性を求めて みんなのレビュー
- 編著:蓑原敬, 著:小川富由, 著:木下真男, 著:蓑原建, 著:大方潤一郎, 著:吉川富夫, 著:若林祥文, 著:中井検裕, 著:西村幸夫, 著:佐藤滋
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2001/01/07 18:16
21世紀の都市プランナーを目指す人々に都市再生の方向を示す。国家主導でない小さな公共性を重視する
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投稿者:竹内 佐和子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
まちづくりの大切さは誰もが感じているが,そのきっかけがつかめない。その理由を都市計画という観点から解き明かそうとした書である。都市計画はややもすると公共事業優先論につながり,大きな公共性を代表する国に住民が対立するという不幸な垂直的構図ができあがる。しかし,これからはNPO(非営利組織),住民,自治体,企業,国家が水平的関係に転換することが都市計画のポイントだという。上からの公共性に変わって,下からの公共性の構築を優先させようという視点から,都市計画を刷新するための画期的提案がいたるところに描かれている。理論面,実践面の話が相互に出てくるので,現場で悩むプランナーや住民向け実践マニュアルとしても活用できる。
住民からのフィードバックを組み込んだ顧客志向型の計画体系への転換,そのための政策評価の導入はその1例である。一方通行の政策形成からマネジメント型への転換だが,膨大な量の事業評価,政策評価をだれがこなせるのか。生活の質評価のために第3者がどこまでかかわれるのか不明な点は多い。行政サイドには住民や企業を低くみる発想が強い。この点は司法や自治体の組織改革を組み込んだ評価体制の確立に期待しよう。
最終章では,21世紀の都市デザインへの大胆な提案がある。国土空間を将来目標値によって引っ張るという国家統治型計画は時代遅れとなり,社会運営の場として都市空間が活用される。都市間競争に向けた都市計画の戦略的活用,地域社会の運営母体,市民ネットワーク型の統合体としての発展の方向を踏まえて,広域的な都市田園構想,自治体主導型事業体系,公共施設の管理体系の一体化など具体的提案がなされる。ぼんやりと感じていた時代の変化がはっきりと整理され,21世紀の都市再生の道標が見えてくる気がする。都市はまた,政治経済学で用いられる「社会的厚生」という抽象概念に具体的イメージを与えるきっかけにもなるだろう。
(C) ブッククレビュー社 2000
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