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電子書籍

傍観者からの手紙――FROM LONDON 2003-2005 みんなのレビュー

  • 外岡秀俊 (著)
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みんなのレビュー1件

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紙の本

傍観者からの手紙 From London 2003−2005

文学的な手法を用いて時局を分析。簡潔な文章には、深い思索が波打っている!

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ブルース - この投稿者のレビュー一覧を見る

「傍観者からの手紙」・・・不思議なタイトルである。ここで謂う傍観者とは観察者を指し、当事者的な立場ではなく局外に立ってこそ出来事は客観的に把握できるという考え方である。このようなものの見方は、例えばドイツの政治哲学者のハンナ・アーレントも著作の中で表明しており、一つの有効なもの見方であるようだ。
著者は、朝日新聞社のヨーロッパ総支局長という地位にあり、観察者の立場に立って、赴任先で見聞きした出来事を手紙にしたためた。本書はそれを纏めたものだが、インターネットが普及した現代社会にあって、手紙という媒体を通じてヨーロッパ社会や世界の動きを知らせるというところに本書の妙味がある。当然、手紙が書かれた時に起った出来事は、瞬時にして世界に知らされるので、手紙が日本の出版社に届く頃にはその情報はニュース性を失っている。
著者は、そうしたことは知ったうえで、あえて手紙という迂遠な手段を用いている。それは、取材先で見聞きしたことをただ伝えるのではなくて、出来事の背後にあるものを文学や芸術の手法を通じて探ろうとしているからである。ここに本書の特色がある。
この書簡集が書かれた2003年〜2005年はイラク戦争、アメリカ大統領選挙、ロンドン連続爆破テロなどの大きな出来事が起っている。並のライターであれば、ここぞとばかり派手に書き立てるところであるが、著者は先に述べたような手法で冷静に事件を考察している。
本書の中で、印象的なところは多いが、著者の手法や特色がよく窺えるのはアメリカ大統領選挙について書かれたところであろう。著者は、最激戦区の一つとなったオハイオ州の開票状況を見ながら、第一次世界大戦の最中に書かれたシャーウッド・アンダソンの「ワインズバーグ・オハイオ」を引き合いに出している。この短編集は、一見まともに見える住民の心の中を覗くと、そこには「ひねこびた林檎」のように独善的で狭量でグロテスクな世界が渦巻いていることを鋭い風刺を交えて描いている。
この小説は書かれてから90年近く経つが、そこに描かれて世界は決して古びておらず、社会的な寛容さを失っている現在のアメリカを描いているようでさえある。
著者の拠り所とする文学・芸術は新しいものではなく古典と呼ばれるものであるが、時の厳しい試練を潜り抜けた古典の本質を的確に抽出し、それを基に論を展開しているので非常に読み応えがある。
著者は、朝日新聞を代表する立場にある人なので、所謂「朝日論壇的」な立場に立っている。この見方には異論のある方もいるであろうが、少なくとも著者が書簡集で示した核心を衝いた思索は、見事なものだと思う。人の心を打つ思索というものは、複雑な事象からエッセンスを抽出し、誰にでも分かるように指し示すことであると思うが、著者がこの書簡集で展開している思索は将にそれに該当する。
本書の読後感を絵画鑑賞に例えれば、こってりとした油絵を鑑賞したというよりも、細部まで行き届いた手法で緻密に描かれた水彩画を見た時のような清々しさということになろうか。何度でも読み返すことが出来、その度に新たな発見に導かれる好著である。

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