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電子書籍

モンマルトル風俗事典 みんなのレビュー

  • 鹿島茂 (著)
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みんなのレビュー1件

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紙の本

モンマルトル風俗事典

紙の本モンマルトル風俗事典

2009/11/18 21:37

風俗事典、なんていうとなんだかエロいことが書いてある、なんて期待したら大間違い。もし、これを日本にあてはめたら新宿酒場盛衰史とでもいったほうがいいかもしれません。モンマルトルに生まれては消えていった数多くのカフェや飲食店の歴史を、地区別に編年史的に紹介した面白い読み物、というのがぴったりの本です。近代フランス芸術に興味を持つ人には必携のものでしょう。

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

現在、私が最も信頼するフランス文学者・鹿島茂の手になる本ですが、「事典」とあるのを見て正直、躊躇いました。昔のことですが、私、小学館のだったと思います、カラー版大百科事典を読もうとしたことがあります。高校生だったか大学生の時のことだったか、定かではありませんが、二度ばかり挑戦して、二度とも「あ」のところ、しかも「愛」あたりで挫折した苦い経験があります。

要するに「事典」て読むもんじゃあない。調べ、利用するためのものなんです。もしこれが、その範疇を出ないものであれば、高い本だけに痛い。立ち読みでチェック、っていったって本は厚いし、偶々読んだところが面白くても、それ以外はダメだっていうことが十分考えられます。そこで立ち往生、弁慶・・・

で、結局、今になって読むことにしました。結果、これは「事典」とはいうものの、どちらかというと各項目をいかにすくない文字数で表現するかに腐心したものではなく、むしろいかに多くの情報を読みやすく伝えるかに配慮した、お話集成とでもいったものであることを知り、それこそ躓くどころか快調に、80頁/時くらいの速さで読み終えてしまったわけです。

それを鹿島の言葉を借りれば
               *
 本書は、おそらくは、三部から四部で構成されるはずの大著(総題『パリ風俗事典』)の第一部として構成されたものだが、モンマルトルは非常に独立性の高い盛り場であり、モンマルトル単独でも十分、読み物となりうると判断したので、白水社の雑誌『ふらんす』に二〇〇四年四月号から二〇〇九年三月号まで連載した六十回分(『パリ風俗事典』モンマルトル編)をひと区切りとして、ここにこうして上梓する運びとなった。

 私としては、たとえ〈事典〉とタイトルにあったとしても、読者には、最後まで通読していただきたいという気持ちを抱いている。
 そこで、多少の工夫を凝らし、〈読み物〉としての駆動力を失わず、なお、かつ〈事典〉としての参照性も失わないように、「シャ・ノワール」「ミルリトン」「ムーラン・ルージュ」「フォリ・ベルジェール」などの大項目とは別に、「さまざまな郊外型ダンスホール」「文学・芸術カフェ、キャバレーの数々」「その他有名キャバレー」「個性派カフェ・コンセール」といった小項目を設け、前者では物語性と歴史性を、後者では情報性をメインにして、これらを適宜ブレンドしながら記述を進行させることにした。その上で、歴史的な流れを失わずにクロノジックに、かつエピソデックに(人物逸話的)に話が進んでいくように心がけた。
               *
ということになります。しかも図版が豊富で、有名人が沢山登場するのですから面白くないわけがありません。それにしても膨大な数の店舗です。鹿島は数多くのカフェ、キャバレーなどを取り上げますが、必ずしもそれらの規模が明確なわけではありません。多分、文化・芸術的に重要というのが基準なのでしょう。

内部写真から判断するに、どう見ても現在の東京の下町の喫茶店、というようなものが結構あります。その消長とかかわった人物などが地区別に年代を追って詳しく語られます。時間的に前後する記事が多いのは、地域が変わることと、人の動きがそのまま時系列にはならないためです。

ある地区で失敗した人が、他の地域で再起を図る。その間に、元の店は別人の手で甦る、或いは甲斐なく閉店の憂き目にあう。芸術家も移動します。結果、ある名前を色々な場所で見かけることにもなります。普段であれば、それを鬱陶しく感じるのですが、今回ばかりはそうはなりません。むしろ、読み終えた時代をもう一度、地区が変わることでおさらいする。それが理解を深くしてくれます。

まず、認識を改めたのは、やはり水商売っていうのは栄枯盛衰が激しいな、っていうこと。それと有名人に気に入られた店は、少なくとも一度は繁昌するな、っていうこと。そこらは日本のバーやキャバレーとそんなに事情は変わらない、ただし、時間差があるのと、有名人が単にフランス国内だけではなく、世界的に有名な人というスケールの違いはあります。

それと、ジャポネズリ(日本趣味)とシノワズリ(中国趣味)の混同です。日本の美術書やテレビの番組をみると、当時のフランスをジャポネズリが席巻していたかのような感が強いのですが、鹿島の本を読むと、どうもそうではなかったというのが良くわかります。当時の東洋理解の実情からジャポネズリとシノワズリは明確に区別されていたわけではない。

いや、そこは区別されていたかもしれませんが、日本と中国そのものは別物として理解されていなかった可能性が強い。今だって、色々な本を読む限り、日本という国を地理や文化も含め、しっかり把握している外国人は、極めて少数です。日本のマスコミは、それを正しく伝えてはいません。まして19世紀のフランスにおいておや、です。

私には、むしろこの事典で鹿島が示した当時の日本の受け取られ方こそが自然だろうなあ、って思います。そして図版です。数の豊富さについては既に触れましたが、そのレイアウトの適切さも、快適な読書を助けてくれます。日本人にとって、19世紀から20世紀にかけてのモンマルトルを知ろうとしたら、避けて通れない、それでいて読みやすくて面白い本が登場したなあ、と思います。

私の希望は、『モンマルトル風俗事典』を第一部とする『パリ風俗事典』が一日でも早く完成すること。全部ではなく、その一部でもまとまれば、今回のような形で出版してもらうことです。長年勤めた共立女子大学を離れ、新たに明治大学国際日本学部教授となられた今、これを契機にイッキに纏め上げていただければ、なんて思ってもいます。

ちなみに、我が家の明治大学経済学部の長女に確認したところ、鹿島が教授となった国際日本学部は、メインキャンパスは和泉校舎で、駿河台のリバティタワーや博物館などはあまり使わないそうです。聴講でもいいから鹿島の授業を体験させようと思っていたのに、残念。でも、これで鹿島先生、神田を拠点とすることはお変わりないのでしょうか?

最後はデータ篇。装幀関係と目次をイッキ!

カバー絵は、表がジュール・シェレ《ムーラン・ルージュ》 カラーリトグラフ 1889年、裏がテオフィル・アレクサンドル・スタンラン《ロドルフ・サリスのシャ・ノワール座巡回興行》 カラーリトグラフ 1896年(NOEMA Inc.蔵)。装丁は細野綾子、画像制作は鹿島直(NOEMA Inc.)あれ、同じ鹿島、っていうことは娘さん、それとも奥様?なんて、要らぬお節介。

目次ですが以下の通り。

プロローグ
第一章 田園風大邸宅フォリと遊園地チヴォリの時代
第二章 外郭大通りと“丘”に誕生したダンスホールの時代

第三章 第二帝政期から第三共和政初期 文学・芸術カフェ、ブラスリの時代
第四章 一八八一年以後、文芸キャバレーの黄金時代
第五章 一八八九年以後 カフェ・コンセール、ミュージックホール全盛時代
第六章 サーカス、ナイトクラブ、劇場
補遺
あとがき
参考文献
索引

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