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電子書籍

ヘヴンリー・ヘヴン Heavenly heaven みんなのレビュー

  • 著者:沢木 まひろ
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みんなのレビュー1件

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紙の本

ヘヴンリー・ヘヴン

紙の本ヘヴンリー・ヘヴン

2010/09/02 13:11

悪戦苦闘の恋人達へ

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る

神様はどこかにいる---いやなことも平気でしそうな気がする。歩いているのを捕まえて文句を言いたい。27年生きていれば何度か思った。この世には理不尽なことが多すぎる。」(p193より)

同性愛者である「初恋のお兄ちゃん」を前に、慰めることも恋人にしてもらうことも出来ない智子の心の声だ。ここで私は何度も頷き、ただただ涙し、何度も何度もこの部分だけ読み返した。だってそうだろう? 

「この世には理不尽なことが多すぎる。」

うまく行かないこと、困難や苦しいこと、思いが通じないことが多くて文句を言いたい訳じゃない。うまく行くはずなのに遠回りして、大好きなのに遠ざけて、大切なのに傷つけてしまう・・・
そんな自分に腹を立てたり悔しがったりしているうちに、切なささえ通り越してどうしようもない思いにつぶされてしまう。大袈裟な言い方かもしれないけれど、大なり小なり、だれもが同じ思いをしたことがあるはずで、だからこそこの作品は私みたいな凡人の心を捕らえたのだろう。

主人公は極普通のOL智子 27歳。亮は優しくてかっこよくて心も体も大事にしてくれる大好きな彼氏だが、亮は大手会社を突然辞めアルバイトを転々とするようになってしまった。
イイ所まで行っては正社員にされることを怖れるようにしてバイトを辞めてしまう亮は、そんな自分がストレスを抱えているのか原因が何なのかも解らず焦り、いっそう追いつめられ、しまいには不感症に陥ってしまう。
そんな彼氏に苦情もアドバイスもしてあげることが出来ず 戸惑う智子。
その様子を申し訳なくも苦しく重荷に感じ続ける亮。
別れ話になるのがつらくてつらいことを切り出せない、ただ生きていれば良いと楽観的に結婚話を切り出好ことも出来ない智子に、このままじゃ結婚どころか彼氏でい続けられるかどうかすら不安になってくる亮。
そんな二人のじれったさが各章ごと、智子と亮の視点で二人の近況とともに交互に描かれて行く。

二人はお互い「大好きだよ」の言葉を交わしどうにか身体を重ね、少しずつ回復していくが、それでも一度作られた小さな「結び目」は解かれること無くなおざりにされている。

心に残したままの小さなわだかまり、それは信じきることが出来ないという後ろめたさそのものだ。

智子は優しいだけに脆い彼の心を傷つけてしまうのが怖くて、云いたいことも云えないでいる。
亮は職に就けず「次」を考えることすら出来なくなった自分に自信が持てなくて、結婚から逃げている。

二人ともお互いが大好きなのに、大好きだからこそ信じきることが出来なくなっている。
そんなこと、きっと誰にだってある。恋人同士だけじゃない、親子だって、友達だって、きっと誰もが大好きな人を目の前にして、嫌われたくなくて、怖くなる。

当たり前でごく普通のことに、彼らは心底悩んで悩んで、傷つけ合っていて・・・
だから私みたいな「普通」の読者が共感したり、切なくなったり、応援したくなったりするのだ。

と同時に、彼らの周りを固めるサイドストーリーもまた面白い。
智子の同僚、同僚の恋話、上司に後輩、両親、兄弟、友人に、新しい出会い‥‥‥
誰も彼もがそれぞれに辛い過去や悩み、苦しみを抱えている。
それでも今日を明日を生きようと、様々な出会いの中でもまれつつ「再生」の糸口を見つけ出して行く。
そう、沢木氏の作品にはいつだって、あたたかい再生がある。
この物語の結末は、ご都合主義かもしれない、現実的な解決は写しかもしれない。
けれど、それでもいい、再生してくれなくちゃ、私だって生きて行けない。

そして著者の作品の多くにおいて、その再生の糸口をたらしてくれるのは、いつも家族だ。個性的で素敵なお母さんや良い所をもって行く兄弟、見守ってくれる父親などなど、もしかしたら著者自身の家族がそうであったからかもしれない。
多分、世の中の多くの「家族」もそうなのだろう。
いや、なんの変哲も無い家族だとしても、きっと「家族」はかっこわるくてかっこ良くて、厳しくて優しくて、そしてあたたかい。
そんな家族の支えがあるから、大好きな彼(彼女)のためにひたすら一途にも懸命にもなれる。
人は誰かを愛さずにはいられない。けれど愛することは不器用になることだったり、辛かったり苦しかったり、切なくなっては涙してしまうどうしようのないものでもあるのだ。
そんなときは家族を少しでも思い出してほしい。
そしてもしかしたら家族になるかもしれない彼(彼女)のことをもう一度ゆっくり考えてほしい。 そんなメッセージがきこえてくる。

本書には何組もの男女が登場し、大人のくせに不器用ですれ違ったりぶつかったり、どうにもうまく行かずに悪戦苦闘している。似たような経験を私の周りにもしている人はいるだろうし、亮と智子のように切ないほどひたすらで、まっすぐなだけに不器用なカップルだっているだろう。
けれど人を思うこと、本音をぶつけることを諦めるのはきっとまだ早い。

もしかしたらそれは相手を傷つけることになるかもしれないけれど、それが信じているということなのだと 本書は一つの答えを出してくれた。

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