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電子書籍

オペラの運命 十九世紀を魅了した「一夜の夢」 みんなのレビュー

  • 岡田暁生 (著)
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みんなのレビュー3件

みんなの評価5.0

評価内訳

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紙の本

オペラの運命 十九世紀を魅了した「一夜の夢」

オペラの歴史について断片的な知識や経験を統合してくれる愛好家必読の書

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る

歌劇と呼ばれているオペラの歴史を紐解いたものである。とは言っても、単なるオペラ史ではない。著者の解説を読むと、歌劇場の雰囲気の歴史だとあった。雰囲気なんてものに歴史があるのかと疑問を持つ方もいるであろう。

 そういう点では、雰囲気とはオペラの歴史そのものといってもよいのかも知れない。オペラは王族、貴族のものであったが、次第に大衆化、民主化してきたわけである。特権階級のものであったオペラが国民のものになってきた。この間に主役は次々と交代していく。当初は王族、貴族であったが、それが台本作家の時代であったり、作曲家の時代であったり、興行主の時代であったりで、なかなか面白い。

 時代の順を追っていくと、バロック・オペラ、オペラ・セリア、モーツァルトの時代に入り、オペラ・ブッファ、グランド・オペラ、国民オペラ、ワーグナー以降と分けられて書かれている。バロック時代のオペラは浪費、儀礼、予定調和という基本的な性格がある。これらはオペラが王侯貴族のものであることから来ている。

 グランド・オペラ、国民オペラとなるに従って、オペラの大衆化傾向が見えてくる。この間、グランド・オペラの時代になると、オペラ座の経営も問題になってくるのだが、現在の環境とそれほど変わっていない。つまり、同じ問題を相変わらず抱えているのである。

 本書はサントリー学芸賞を受賞した書籍である。さすがに分かりやすい説明に感服した。断片であったオペラに関する知識や経験が本書によって見事に統合されて一貫性のあるものになったといっても過言ではない。それほど歴史について明快にしてくれた。

 オペラについて早わかりで、しかも芯を外していない書としては真っ先に推薦できるものである。10年前に著されたものであるが、当然古さは感じさせないし、切り口も斬新で読みやすい。ただし、オペラ・セリアを解説するところで、当時の台本作家であるメタスタージオが台本を書いた『皇帝ティトスの慈悲』についての記述が気になった。

 これはモーツァルトが作曲したもので、彼自身の最後のオペラである。ご存知のようにモーツァルトの傑作三大オペラなどのオペラ・ブッファはいずれも最後期の作品であるが、最後のこのオペラはどういうわけかオペラ・セリアである。著者はこのオペラの台本と音楽を腐しているのだが、オペラ・ブッファに食傷気味の私のような愛好家には、きわめて新鮮味のある作品であると思う。是非、愛好家には聴いてもらいたい曲なのである。

 オペラは台本も大事であるが、やはり評価の対象になるのは曲である。そういう点ではこれもまた傑作なのである。たしかに、ストーリーや配役の女声、男声の割り振りなどは不自然さを免れないのだが、著者は実際にこの曲を聴いてから評価しているのだろうかという疑問が湧いてきた。

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紙の本

オペラの運命 十九世紀を魅了した「一夜の夢」

オペラ劇場という『場』の歴史を描く

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:メル - この投稿者のレビュー一覧を見る

 これは、文句無しに面白い本。私は、音楽は全く無知だし、オペラなど見たことも聴いたこともないのだけど、それでも充分に楽しく読めた。たぶん、本書はオペラ入門としてけっこう優れた本ではないだろうか。

 面白いのは、オペラの歴史を作品や作曲家を中心に語っていくのではなく、オペラが演じられる場(そこにはオペラを観る観客も含まれる)の歴史を語っていることだろう。著者はこう述べている。《「オペラ劇場という『場』の歴史を辿るという主題。あえて言えば「オペラ劇場の雰囲気の歴史」になるだろうか》。

 そのような視点でオペラの歴史を見ると、オペラがもともとは王侯貴族の社交場であったが、フランス革命を経てブルジョワの台頭によって、オペラを芸術作品として鑑賞する場へと移って行く。その最高到達点としてワーグナーが現れる。その象徴として、1868年6月21日、ミュンヘンでの『ニュルンベルクの名歌手』の初演での出来事がある。そこで、《オペラ作曲家による王位の「簒奪」》と述べられているが、ワーグナーはルートヴィッヒ二世とともに貴賓席に座ったという。こんなことは、想像も出来なかったことらしい。王を差し置いて観客の喝采を浴びるワーグナーがいる。そんな劇場の様子が思い浮かぶ。ワーグナーがオペラの歴史の中でいかに大きい存在であったのか理解できるだろう。

 しかしながら、そんな絶頂期を迎えていたオペラも第一次世界大戦後に下降線をたどる。新しいメディア、そう映画の誕生がオペラの運命を変えるだろう。映画の現実性の前に、非現実的なオペラは衰退していく。だが、映画はオペラの恩恵を大いに受けていることを忘れてはならないだろう。オペラと映画の繋がりも本書では指摘されている。たとえば、グランド・オペラ。これは、七月王政時代(1830年〜1848年)にパリの王立オペラ座で上演された記念碑的な規模を持つ五幕の歴史劇のこと。この壮大の規模のオペラの工夫として、観客が見るだけで、舞台を眺めていれば筋が理解できるようになっているというのだ。それゆえ、《グランド・オペラこそは、二十世紀の映画・テレビ文化にまでつながっていくところの、ビジュアル娯楽の先駆だった》という。この指摘は、映画を考える上で非常に有益である。現在のハリウッド映画との繋がりが思い浮かぶ。

 こんな風に、本書はオペラを様々の角度から論じており、それらを合わせていくと、各時代のオペラ劇場そしてそれを取り巻く人々の雰囲気が伝わってくるようになっている。したがって、オペラって何?という初心者にも、とても読みやすいオペラ入門書となっているだろう。

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紙の本

オペラの運命 十九世紀を魅了した「一夜の夢」

オペラとは何か、そしてその魅力はどこにあるのか。この難問を独自の視点と歴史的な見透しの下で解明する。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:大笹吉雄 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 黙って座ればぴたりと当てる……だったか当たるだったか、こういう占いのコピーがあったように覚えるが、このヒソミにならうと、本書を読めばオペラがわかる。しかも記述が平易で面白く読めて、読み終えた時にはオペラのすべてがわかっている。オペラへの案内書として最上のものの一つだろう。

 一部に熱狂的なファンを持つ反面、食わず嫌いを通り越して嫌悪感をさえあらわにする人が珍しくないのが、今もなおオペラへの一般的なリアクションだと言って間違いではない。なぜそうなのか。この謎を本書は見事に説き明かしてくれる。
 著者によれば、オペラとは絶対王制(バロック時代)が始まる十七世紀に、中央ヨーロッパのカトリック文化圏において、宮廷文化として誕生し、フランス革命以後は新しく台頭してきたブルジョア階級と結合し、十九世紀にその黄金時代を迎え、第一次世界大戦後の大衆社会の到来とともにその歴史的使命を終えたところの、音楽劇の一ジャンルである。
 書き上げると仰々しいが、こういうオペラのあり方をその誕生から終焉まで、豊富なエピソードでつづっていく筆致は明快で、一気に読ませる。ことに本書の特色である単なる作品史や観客史にはしないで、オペラを支えた場、オペラ劇場の雰囲気の歴史にしたいという著書の視点が新鮮でもあり問題提起にもなっていて、並の類書とは位相を異にする。が、このことが作品への言及をカットするということではなく、二者をうまく融合させているのが著者の手腕だ。たとえば「モーツァルトとオペラの『人間化』」と題された節。

 バロック時代の宮廷祝典行事だった舞踏会や祝宴や馬上試合などの一種のイベントの、その一つの催しとして生まれ、ギリシア神話と古代の英雄をモチーフとして、カストラート(変声期前に去勢された男性歌手)の超絶技巧をフル活動させるとともに、寓意的な国王賛美に終始していたオペラ・セリアは、アリア中心主義だった。のみならず、アリアで表現される感情と音楽表現もパターンが決まっていた。
 モーツァルトも十四歳の時に『ポント王ミトリダーテ』というオペラ・セリアを作曲したが、ここではパターン通りの設定にはじめて生きた人間の感情を通わせ、等身大の人間としての表現を与えることに成功している(著者による作品分析がある)。そしてモーツァルトをしてそうさせたのは、没落する貴族階級に代わってのブルジョア階級台頭の兆しであり、社会変動の予兆であった。事実、オペラはやがてモーツァルトによってはじめて、対話する人間の登場するオペラ・ブッファの時代を迎える。その時劇場を埋めたのは、貴族に憧れる成り金のブルジョアだった。貴族社会の残映と市民社会の熱気の中で、オペラはもっともオペラらしい衣裳をまとう。

 オペラの途方もない浪費性が、ハリウッド映画に流れたという興味深い指摘もある。そう言えば『風とともに去りぬ』のあの音楽は、どこやらオペラ風でもあったと思い当たる。本書はそういう幅をも持っている。 (bk1ブックナビゲーター:大笹吉雄/演劇評論家・大阪芸術大学教授 2001.08.15)

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