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福沢諭吉と中江兆民 みんなのレビュー

  • 松永昌三 (著)
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紙の本

福沢諭吉と中江兆民

福沢諭吉と中江兆民

2001/08/30 16:41

比較史的アプローチの鮮やかな実践

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:小田中直樹 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 福沢諭吉と中江兆民が同じ年に亡くなってたとは知らなかった。かたや〈天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず〉って名文句で知られる大啓蒙家。かたや〈東洋のルソー〉と呼ばれた自由民権活動家。この二人を比較すれば、たしかに面白いことがわかるだろう。この本で、著者の松永さんは、生い立ち、各々が開いた学校のカリキュラム、そして何よりも国家や文明化や西欧文明をめぐる思想について、二人を対比しながら、「新しい世紀への展望を見出」(一六ページ)だそうとした。それによれば、福沢は欲望の解放を肯定する功利主義を受け入れ、国家や個人が豊かになることを第一の目標にした。この目標を実現する方法が、西洋から実学を導入して文明化を進めることだった。中江は精紳の自由や道徳を重視して社会契約論に接近し、自然状態やアジアにも独自の道徳があることを強調した。二人がわりと対立的な立場に立ったのは当然の成り行きだったのだ。
 この本のメリットは次の二点だ。第一、比較するってアプローチが有効だってことを明らかにしたこと。この本では、福沢と中江がちゃんと比較されてるから、二人のメリットやデメリットや特徴や問題点が鮮やかに浮き彫りになる。たとえば、福沢が信奉した功利主義の説明だけを聞けば、僕なんか〈なるほどなるほど、そりゃそうだ〉って鵜呑みにしただろう。でも、中江の批判を知ったおかげで、功利主義にも色々な問題があるってことがわかった(もちろん逆もありだ)。
 第二、福沢と中江を、功利主義と社会契約論をキーワードにして、人類の思想の歴史のなかに位置付けたこと。また、二人の思想が、現在の社会を理解する枠組として、アクチュアルな意味を持ってることを明らかにしたこと。これによって、当時の日本が直面した現実に対して、先人の思想を使って立ち向かおうとした二人の苦労が身近なものになった。歴史の中に位置付けるってアプローチも、これまた有効なのだ。
 ただし、この本に不満がないわけじゃない。三つ挙げておこう。第一、松永さんによれば、「明治日本国家や日本の近代化=西欧化政策」に対する福沢と中江の姿勢には「両者の幕末体験の相違から生じる差異があった」(五ページ)。二人の間には一二歳の年齢差があるそうだから、これがちゃんと説明できれば、世代の差が思想の差につながるっていえて、面白かっただろう。でも、この点についての松永さんの説明は憶測の域を出てない。
 第二、松永さんは二人の思想から今世紀への展望を汲み取ろうとした。そして、福沢については社会問題への関心に、中江については文明化や功利主義に対する批判に、各々着目した。でも、今後を展望するときにこういった点が役に立つ理由について、十分に説明してない。さらに、福沢についていえば、功利主義っていう彼の思想の核心にとって、社会問題への関心がどれほど重要だったか、説明がない。もしもこの問題が功利主義にとって些末だったら、福沢にとっても些末だったかもしれない。その場合は、今後を展望するときには福沢はあまり使えないってことになるだろう。
 第三、福沢も中江も、文明と侵略は裏表だって考えて、二つまとめて肯定したり否定したりした。でもこの本には、文明と侵略を切り離して考えようとした久米邦武の例が出てくる。こういった、〈文明は是か非か〉って議論を土俵ごとひっくりかえすような営みもあったことを、もう少し重視してほしかった。そうでないと、文明と自然は全面対立してて、どっちかを採るしかないってことになってしまう。でも、これって不毛な選択だ。たしかに文明は侵略につながったし、自然は野蛮の代名詞だったけど、僕はどっちも捨てられない。両者のいいとこだけ取るっていうのは無理なんだろうか。[小田中直樹]

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