サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

修正:全商品20%OFFクーポン(1215-17)

修正:全商品20%OFFクーポン(1215-17)

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー2件

みんなの評価5.0

評価内訳

  • 星 5 (1件)
  • 星 4 (1件)
  • 星 3 (0件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
2 件中 1 件~ 2 件を表示

紙の本

イギリスのいい子日本のいい子 自己主張とがまんの教育学

甘いタイトルに似合わぬ、正統派の比較教育心理学研究の産物

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:小田中直樹 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ちょっと前から、イギリスは良いぞって主張する本が目に付くようになった。そんなわけで、へそ曲がりな僕は、『イギリスのいい子、日本のいい子』ってタイトルを見ただけで、しばらくこの本を敬遠してたけど、もったいないことをした。比較教育心理学者の佐藤さんは、この本で、イギリス人と日本人の対人関係の違いを説得的に論じてるのだ。
 佐藤さんによると、基本的な対人関係として、日本人は自己抑制(がまん)を重視し、アメリカ人は自己主張を尊重するってよくいわれる。でも、自己主張と自己抑制は対立しあうものじゃない。イギリスみたいに両方とも高いこともある(もちろん両方とも低いこともある)。佐藤さんは、このような対人関係の違いは子供時代のしつけや教育に影響されてるんじゃないかって考えて、日本とイギリスのしつけや教育を比較した。そうすると、イギリスで重視されるのは自発性、能動性、言葉を用いた自己主張、人格の一貫性、他者との距離、ルールの遵守などだったのに対して、日本では協調性、情緒、他者への思いやりなどだったことがわかった。また、日本の母親のしつけには、子供の自己主張について明確なビジョンがない、しからない、という二つの特徴があった。でも、これじゃ子供は自己主張していいか否かわからないし、しかられないので自律しない。自己抑制ばかり強いられてる子供は、限度を超えると極端に攻撃的になるって問題もある。しかも、日本の社会や文化のシステムも、自己主張を求める方向に変化しはじめてる。だから、しつけや教育も、適切な自己主張と適切な自己抑制を組み合わせたイギリス型の対人関係を育む方向に変化する必要がある。そう佐藤さんは結論してる。
 この本のメリットは次の三点だ。第一、専門的な内容なのに読みやすい(読みやすいけど内容がしっかりしてる)こと。これって、新書の理想的なかたちだと思う。第二、しっかりした調査研究にもとづいて、しつけや就学前児童(つまり幼稚園)教育について、はっきりした提言を打ち出してること。とくに〈自己抑制の日本型か、自己主張のアメリカ型か〉っていう二分法を否定したことと、自己主張が強い子供は他者に対する思いやりも強いっていう(日本の通念を打ち破るような)事実を明らかにしたことで、佐藤さんの提言は説得力を増した。第三、日本とイギリスをちゃんと比較してること。二つの国で調査するっていうのは、なかなか大変なことだ。しかも、〈イギリスは日本のモデル〉とか〈二つは全くの別物〉とかいう立場じゃなくて、〈学べるところは学ぼう〉っていう柔軟なスタンスだから、議論に無理がない。
 もちろん不満が残った点もある。三点だけ挙げておこう。第一、イギリス人が自己主張も自己抑制も強い対人関係を築ける理由がはっきり書いてない。これがわからないと、日本人が(自己抑制を弱くすることなく)自己主張を強くするにはどうすればいいかもわからない。この本からは、イギリス人は自己抑制を自己主張の手段とみなしてるっていう重要なヒントが読み取れるけど(七〇、一五〇ページ)、この点についてもう少し論じてほしかった。第二、今の日本の子供が抱えてる問題(いじめ、引きこもり、指示待ち症候群)を自己主張のあり方と関連させて考えてるけど(一七、一八ページ)、ちょっと単純化しすぎてる感じがする。ついでにいうと、この関連があるからといって、自己主張が強くなれば問題は解決するとはいえない。因果関係の存在証明が必要になる。第三、この本は佐藤さんが自分でやった調査を元にしてるけど、それをどこまで一般化できるかって問題をはっきり論じてない。たとえば第四章の元になった調査のサンプル数は二百人弱だけど、これで十分なんだろうか。まあ中心の議論が面白かったからいいけど。[小田中直樹]

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

イギリスのいい子日本のいい子 自己主張とがまんの教育学

帯の文句「どこからがわがまま?どこまでが自己主張?」に惹かれて買ってしもた。価値観を試される子育てへのユニークな指針。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 子育てに関しては真剣に悩んだことがほとんどない。
 お通じが数日間なかったときに、さて、人為的に手を加えるかどうかと考えたことがあるぐらいである。
 育児雑誌や育児書はパラパラめくって参考にしたことはあるけれど、何か新しい事態が発生したときには、じっと子どもを眺める。すると、たいてい子どもが答を授けてくれた。

 4歳ぐらいから難しくなってきたのは、叱ったり教えたりするたんび、自分の価値観が大いに反映されることに気づいたからである。何をがまんさせ、何を解放させるべきか。子どもより、ことごとくが親である自分たちに突きつけられてくる感じがする。

 この本は、子どもの成長過程でうまくバランスをとることが大切な「自己抑制」と「自己主張」について、日本・英国・米国の間で国際的な比較をした研究論考である。
 子どもの言動について多くのサンプルをとって、親にもまた「しつけ」について口頭のアンケートを施している。それを分析して色々なチャートにまとめる科学的方法をとっている。

 子育てやしつけを対象として限定した教育学のようでありながら、文化がパーソナリティに与える影響を論じるという心理学的側面がある学際的な研究であり、社会学や文化人類学的な広がりもあって興味深い。

 著者自身がオランダ、英国、米国で暮らして教育を受けた経験がある。教育や家庭でのしつけに内包される文化の価値の差異が人の成長や生き方に与える影響を、経験として豊富に持っていることが理論を血の通うものにしている印象だ。
 また、「自己主張」と「自己抑制」は一本の綱を引き合うように、片方が強ければ片方が弱くなるという一元的尺度でとかく考えられがちであるが、それを二つのベクトルに分けて、どちらも強くできるしどちらも弱くなる可能性があるのだという指摘が独自の着想で、研究に大きな意味を付与しているように取れた。

 簡単に言ってしまえば、「自己主張すべき場面でも抑制すべき場面でも自己主張するアメリカ」モデルより、「自己主張すべき場面でも抑制すべき場面でも抑制する日本」は、「自己主張すべき場面では主張し抑制すべき場面では抑制するイギリス」モデルに習い、バランス感覚を身につけていくといいのではないかということになる。

 集団のなかに個を埋没させるのをよしとする日本のしつけでは、対人関係における葛藤もすべて行き過ぎた抑制をしてしまうことにより、それが限界に達したときに一気に感情の流出や攻撃的な言動を伴って破綻をきたす−−「キレる」のではないかという指摘にうなずける。
 また、「相手がかわいそうだ」と感情移入能力が重視されつつも実際に困っている人へ手を貸す援助行動が尊重されないこと、知っている人と知らない人に対する接し方の極端な違いについての言及も、ラッシュ時の通勤電車や駅構内で繰り広げられる非常識を考えれば、深く納得できるものがある。
 子どもというパーソナリティの形成という大仕事に関わる人たちにとって、自分を突き放して眺めるのに良い本であると思う。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

2 件中 1 件~ 2 件を表示