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みんなのレビュー2件

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評価内訳

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紙の本

経済再生は「現場」から始まる 市民・企業・行政の新しい関係

地域経済につける薬

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:後藤和智 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 地域経済再生における地域金融や産業政策の役割を論じたのが本書である。だが、本書が、一般の経済書と違うのは、著者が積極的に「現場」へと赴いて考えたことが記述の大半を占めることである。
 例えば、「不良債権処理」が必要だ、といわれる。確かに不良債権は銀行の機能を低下させる。だが、不良債権を処理すれば銀行の経営が改善されるほど、事態は単純なのだろうか。むしろ安易な「不良債権処理」は、自分で自分の首を絞めることにならないか。そこで山口氏が提唱するのが「不良債権減らし」である。著者は「不良債権減らし」の利点を論じつつ、実際に「不良債権減らし」に成功した、茨城県の地銀である常陽銀行の事例を紹介する。
 銀行が貸し付けた資金を返還できなくなった企業に対して、銀行が進んで、且つ粘り強く改善の指導をして、やがては借金を返還できるようにするのが「不良債権減らし」であるが、常陽銀行が、いかにして地域の中小企業の経営を改善させ、新たな不良債権の発生を阻止したかをたどっているのは興味深い。
 第2章は、いったんものすごい危機に苦しめられた地域が、いかにして再生したかを紹介している。この章で紹介されているのは、炭素繊維でワカサギの湖を復活させた群馬県榛名町の小さな「産学協同」や、自治体や大企業が中小企業の結束を促し、地域の活発さを取り戻した大阪市、これまでの対症療法的な考え方を切り替えて、病院の改善策に乗り出した三重県尾鷲市の病院だが、経済学が扱うような価格競争・市場競争ではないところに地域経済再生の鍵を見出すことができる、というのは確かなようだ。
 本書は3章で構成されているが、本書を貫くスタンスは一貫している。それは「現場」の意見を尊重し、また地域金融や政府・自治体が地域を活かすことが経済再生に繋がる、ということである。これまでの「構造改革論」が「不良債権処理」一辺倒に代表されるような「壊す」経済であることに対抗して、山口氏が唱えるのは「活かす」経済である。
 山口氏にとって「現場」でものを考えることは新たな挑戦だったという(あとがき)。しかし、既存の経済対立が通用しなくなった今だからこそ、市場経済学が取り扱わない部分にスポットライトを当てるという試みは、もっと評価されていいと思う。

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紙の本

経済再生は「現場」から始まる 市民・企業・行政の新しい関係

いまそこにある未来

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 いい本を読んだ。地域政策に携わる者にとっては必読書。現場が大事だということは頭では分かっていても、なかなか体感できない。現場は頭や言葉の中にあるのではない。現場は現場にこそある。現場には志と知略と実験精神をもった人がいる。本書はそういう大切なことを言葉で分からせてくれる。関満博の『現場主義の知的生産法』(ちくま新書)もよかったけれど、この本はさらに希望と知恵を授けてくれた。リレーションシップ型の金融機関とリレーションシップ型の企業、そして(以下は同義反復だけれど)リレーションシップ型自治体とリレーションシップ型市民組織、これらの四位一体でもって地域の社会と経済は再生する。そうした展望と勇気を与えてくれた。

 たとえば次のくだり。《渡辺氏[大阪産業創造館]はいった。「大阪では、みんな暇や暇やいうてんのに、みすみす注文をダメにしてしまうのはもったいない。機械や設備が余っている会社を連れて来るからおうてください」/渡辺氏の口から出た「もったいない」という言葉。これこそ「活かす」ことから始まる地域再生の基本精神を示している。》(104頁)

 ここを読んで思い出したのが、「知恵の塊、日本の村100選!」の特集を組んだ『ソトコト』6月号での辻信一と竹村真(いずれも文化人類学者)の対談「そして日本は「村」を目指す」。

 辻──「これからはなにが「ない」かではなく、なにが「ある」かを基準に未来を考えないと。そんな当たり前なことが、やっと言えるようになってきた。そのとき日本の村っていうのは宝の山、宝探しの場所ですよ。僕が好きな言葉に「懐かしい未来」というのがあって、これは去年の秋にヘレナ・ホッジがラダックについて出した本『ANCIENT FUTURES』の日本語タイトルなんだけどね。これだって思ったんです。」「オーストラリアでパーマカルチャーをやってる人たちは、日本人が体験に来ると「なんで? 僕らは君たちの文化に学んだんだよ」って言う。日本の里山とか入会のような伝統的な知恵がコンクリートの下に眠っていて、でも懐かしがっているだけじゃしょうがない。」

 竹村──「僕は徴兵制ならぬ「徴農制」をやればいいと思う(笑)。若いときに1年、農民になって村の生活をする。環境循環や生命世界の成り立ちを知るのに一番の生きた博物館であり、限られた資源をコモンズとしてうまく利用するにはどんなソーシャルウェアを構成すべきか、そこで全部体験できますよ。五味太郎流にいえば「丈夫なアタマと賢いカラダ」を育てることにもなる。」

 ──阪神淡路大震災からの復興計画の一つに「大きな町のなかにたくさんの小さな村を」といった趣旨のスローガンが掲げられていたと記憶している。20世紀初頭の「都市と農村の結婚」とは違った意味で、いまそこにあるソーシャルウェアを活かすことでもって再生する「懐かしい未来」。それは現場から始まる。

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