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電子書籍

ニューヨークを読む 作家たちと歩く歴史と文化 みんなのレビュー

  • 上岡伸雄 (著)
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みんなのレビュー2件

みんなの評価5.0

評価内訳

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紙の本

ニューヨークを読む 作家たちと歩く歴史と文化

ホイットマンの詩、O・ヘンリーの短篇、フィッツジェラルドやサリンジャー、ポール・オースターなどの小説があぶり出すニューヨークの歴史と文化。個性的で芯のあるブックガイド。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ - この投稿者のレビュー一覧を見る

「外国の小説を何か読んでいってみたいが、何を手がかりにしたら良いのか迷っている」という人、観光や商用でニューヨークへ行く用事があるのでこの街のことを少しでも知っておきたい、行く予定はないもののこの街に興味があるという人——そのいずれにも面白く読めそうなガイドブックだ。
 ニューヨークを舞台にした米国の文学作品に当たりながら、諸作品に象徴されたこの都市のブームを時系列に追っている。たとえば、資本主義の黎明期にアメリカン・ドリームの原型として現れた靴磨き少年の成功物語『ぼろ着のディック』、地下鉄で大きく変貌していく街の様子をコラージュで表現したモダニズム小説『マンハッタン乗換駅』——マンハッタン・トランスファーという題の小説があったなんて知らなかった。1920年代をジャズエイジと命名した寵児の物した『グレート・ギャツビー』、ハーレム・ルネッサンスで注目された黒人文化のパワーが生み出した諸作品。
 詩や小説の概要を紹介すると同時に、それらが生まれてきたを背景を説明して、街の成り立ちや文化の多面性をも案内する。純文学作品だけでなく、映画への言及もあって見逃せない。このように、ブックガイドとニューヨーク都市ガイドの2つの機能を備えているのが特徴だ。

 オランダ人が先住民から驚くべき安値で買い取ったマンハッタン島が、自然を抑圧する格子状の街路で埋め尽くされ、経済都市として整備されていく。セントラルパークがいかに設計されたか、船水路の代わりとなる巨大な吊り橋ブルックリン橋がスティールや電気という産業といかに結びついていたのか。摩天楼の相次ぐ建設にもまた、スティールとガラス、タイルやコンクリートという資材が必要とされ、それが米国の産業を牽引していったことがよく分かる。
 資本主義の発展とともに上流階級の名家がどのように盛衰し、新興成金がいかに認知されていったのか、下層階級の暮らしはどのようなものであったのか。機能を揃えていく都市のなかには多種多様な人種がうごめき、仕事や経済力という属性が千差万別である人びとによって街は埋め尽くされている。
 世界の先端を行く都市だけに、常に「今現在」の姿が取り沙汰されるニューヨークであるが、上記のような発展への歴史をくぐり抜けてきたわけで、今の現象へ至った歩みを知る歴史ガイドにもなっている。

 著者の上岡伸雄氏は20世紀の米国小説研究者であるが、世界貿易センタービルの写真を表紙としたドン・デリーロ『アンダーワールド』や、映画化でも大きな話題をさらったフィリップ・ロス『ヒューマン・ステイン』E・アニー・プルー『シッピング・ニュース』など問題作を次々に翻訳している。
 本書の最終章は、読み手の期待を裏切ることなく「9・11以降」という見出しで書かれている。あのテロ事件を小説の対象とするほどに事の次第はまだ落着を見ず、米国はまだまだ渦中。それどころか五里霧中であるが、『アンダーワールド』で事件を予知していたと評判を取ったドン・デリーロのエッセイ「崩れ落ちた未来にて」(初出「新潮」2002年1月号)が紹介されている。デリーロらしい冷徹ななかにも詩情あふれる感懐であり、ニューヨークへの見事な献辞となっていた。
 

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ニューヨークを読む 作家たちと歩く歴史と文化

著者コメント

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投稿者:上岡伸雄 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この本はニューヨークの歴史をたどりながら、ニューヨークを描く魅力的な文学作品を紹介していく試みです。

 ニューヨークが同時多発テロの標的になったのは、この都市が資本主義経済の中心地だからでしょう。資本主義を憎む人々にとって、ニューヨークはその悪を象徴するような都市でした。しかし経済の中心地であるために、ニューヨークは多様な民族を世界中から引きつけ、それによって雑多な文化を生んできました。多様な人々が生み出す猥雑なまでの活力、そしてユニークな文化。多くの人々がそんなニューヨークに魅了されてきたことと思います。

 僕の場合は、ニューヨークの小説にずっと惹かれてきました。フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』、J・D・サリンジャーの『キャッチャー・イン・ザ・ライ』など、若い頃から親しんできた作品です。こうしてアメリカ文学を専攻するようになり、さらに『無垢の時代』、『マンハッタン乗換駅』、『見えない人間』、『ブライト・ライツ、ビッグ・シティ』、『幽霊たち』など、ニューヨークの小説へと読み進んでいきました。ニューヨークから比較的近いところに留学し、ニューヨークをよく訪れるようになると、その都市自体の魅力にも惹かれていきました。ちょっと危ない人もいるし、危険な場所もあるけれど、いろんな民族のレストランや商店、本屋や街頭パフォーマンスなど、ぶらつくだけでもとにかく楽しい。そんなニューヨークの魅力を知るにつけ、その歴史にも興味が湧いてきました。そしてますますニューヨークの文学作品にのめり込んでいったのです。

 この本で僕が伝えたかったことは、何よりこうした小説の面白さです。中にはちょっととっつきにくい作品もあるかもしれませんが、ニューヨークの歴史をよく知り、その背景に据えてみると、また新たな魅力が浮かび上がってくるように思われます。たとえば『グレート・ギャツビー』で描かれるのは1920年代のニューヨーク、消費文化が花咲き、商品の広告がさかんに行なわれるようになった時代です。ニューヨークは広告やマスメディアの中心地でした。あの作品の登場人物たちの行動をよく見てみると、いかにこうしたメディアに影響されているかがわかってきます。また、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の時代は1949年。ニューヨークが世界の中心地になり、古い町並みが破壊されて、ガラスの高層建築が相次いで作られようとしている時代です。ニューヨークをさまよい歩く主人公の姿には、失われていくものへの愛が強く感じられるように思われます。

 多様な人種を受け入れる度量と、それゆえの面白さ。そんなニューヨークの魅力の一面をこの本から知っていただければと思っています。

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