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電子書籍

物語 チェコの歴史 森と高原と古城の国 みんなのレビュー

  • 薩摩秀登 (著)
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紙の本

物語チェコの歴史 森と高原と古城の国

個人の目線からの歴史

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:king - この投稿者のレビュー一覧を見る

チェコの歴史の入門書だけれど、政治史を中心にするのではなく、ある時代のなかで特定の人物にクローズアップして具体的にその行動を追うことで、個人の目線からの歴史をつないでいく構成を採っている。何故この構成なのか、を説明する「まえがき」は一国の歴史を書くということについて、きわめて示唆的な議論がなされている。

今でこそチェコはチェコ人が多数を占めるチェコ人の国となっているものの、近代以前は多数のドイツ人やユダヤ人が居住する多民族国家だった。国の歴史を、一民族による歴史として叙述する歴史観は、国民国家を根拠づけるものとして近代になって生まれたものだ。だから、今の国民国家の枠組みによって歴史を遡ろうとすると、そこでは多民族国家だった事実が無視され、今のような民族概念がなかった時代の歴史までが現在の民族観によって解釈される弊害をもたらす。

民族中心史観をとるのではなければどうするか。中世チェコ王国から現代のチェコ共和国にはつながりがないわけではないので、そうした政治史として通史を書くこともできるけれど、それでは現実に生きた人々の姿が見えない、として著者が選択したのが、各時代ごとに特定の人物を追っていく本書の方法となる。

著者は従来の通史とはその分違うものになっているだろうと言う。確かに、中世史が専門のためか近現代が手薄になっているのと、各時代でずいぶんマイナーっぽい人物が取り上げられている。さらにある章ではプラハにやってくるモーツァルトの行動をたどるなど、国外の人物も選ばれている。大学の管轄権をめぐる騒動を扱ったり、チェコの内国博覧会について書かれた章などもあり、バラエティに富むとともに各章具体的な叙述なので、退屈せずに読める。

チェコからいなくなった人々をまとめた最終章では、ドイツ人追放の補償問題に触れたところが興味深い。第二次大戦では、チェコの国境地帯に多く住んでいたズデーテン・ドイツ人の自治要求の強まりから、分離主義的な主張を持った党が結成され、党がヒトラーに接近することによってナチスドイツの介入を招き、チェコスロヴァキアがドイツ主導の元に解体、併合される事態を招いた。このことから戦後ドイツ人への報復が起こり、大統領令において財産没収、強制移住等の追放政策に帰結する。社会主義政権崩壊後にこのことについての和解が進み、「ドイツ側はナチスによるチェコ支配がドイツ人追放の要因となったこと、チェコ側はドイツ人追放が不正なものであったことを認め、双方が謝罪した」という。両者異論はありつつも、一応の解決をしたらしい。戦後補償の問題について、ひとつの興味深い事例。

多民族が居住していた地域が、次第に一民族のものとして主張されはじめ、様々な事件をきっかけに他民族の排除が巻き起こる。そもそも、国境と民族分布がそうそう合致するわけもなく、他国に住む自民族保護、という形でズデーテン・ドイツ人問題のように領土的野心のぶつかりあいを招いてしまう。

だからこそ「まえがき」で論じられたように、本書では民族史観を拒んだ歴史叙述を選択することになったのだろう。

とまあ、一風変わった視点から辿られるチェコの歴史で、「物語」と冠されたように具体的な人物の行動から語られる歴史は楽しく読める。

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