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電子書籍

戦後和解 日本は〈過去〉から解き放たれるのか みんなのレビュー

  • 小菅信子 (著)
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紙の本

戦後和解 日本は〈過去〉から解き放たれるのか

中尾知代なる「学者」が書いた批判本より遥かにバランスのとれた出来ではある

24人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る

中尾知代なる「学者」を名乗るものが書いたこの本を最近読んだが、読んでわかったのは、中尾の本は本書をまるでストーカーよろしくいちいち些細なポイントをあげつらっては批判し攻撃していたということだ。そして、悲し中尾の「批判」は、その大半が「中尾の勝手な思い込み」による根拠薄弱な批判に終始しており、本書の論理展開のほうがはるかにバランスがとれているということだ。以下、ポイントごとに検討してみる。。

【大衆紙サンを選んでお詫びを載せた橋本首相は馬鹿?】
中尾は故橋本首相が「日本の戦争責任をお詫びする記事」を寄稿したことを大失敗であるかのごとく書いている。確かにサンは三ページめにヌード写真が載っているタブロイド紙ある。中野が付き合っている英国の大学関係者は、こういう下層階級向け新聞の日本の首相が寄稿したことがそもそも気に入らないらしくぼろくそにけなしている。問題はそれを真に受けている中尾の態度だ。中尾は得々と「英国で新聞の宅配といえば高級紙が中心でタブロイド紙は駅の売店で買うのが圧倒的だ」などと言っているこれは大いに疑問だ。今から30年前、私がケンブリッジに留学した際、最初にホームステイした家庭は失業中のトラック運転手だったがサンを購読していた、宅配で。中尾は自分が付き合っている中上流階級の学者の言い分を鵜呑みにしているようだが、もう少し英国の新聞事情を調べてから書くべきだったのではないか。それに本書を読むと、そもそもサンに橋本首相の記事を載せるようアドバイスしたのは英国政府であると書いてある。サンは日本でいえば夕刊フジとか日刊ゲンダイのような新聞ではあるが、これらの新聞よりも英国のような馬鹿は徹底的に馬鹿な階級社会では、はるかに社会的影響力のある新聞であるのだ。それに反日感情をいつまでも引きずっているのは無教養で分別が無いが下層の労働者階級が中心であることを考えると、彼ら貧乏な英国人が多く読んでいるサンを敢えて日本の首相のお詫びを載せる決断は的を得ていたといえるのではないか。私は中尾の「評価」とは裏腹に、橋本首相のお詫びがそれなりに効果があったとする英国政府並びに日本政府の評価、さらにはそれを伝える小菅の評価のほうがはるかにバランスが取れているように思えるのだが。
【民間和解外交】
中尾が力をこめて批判する日本人の民間による和解外交も、私は、これは中尾本の書評にも書いたことだが、やらないよりはやったほうがはるかにマシだし、それなりに「和解」「癒し」の効果を持っているとする小菅の評価のほうがはるかにバランスがとれている。中尾はあくまで「捕虜」「対日戦争経験者」という「当事者」にこだわって取材を続けている。しかし、英国における最大のポイントは、英国にとって戦争といえば対戦相手はドイツであり、アジアにおける日本との戦いは大半の英国人にとって「どうでもいい戦争」「忘れられた戦争」であり、それがゆえに、いくら当人が騒いでも、周囲の英国人がほとんど同情してくれないがゆえに、元英国人捕虜らは益々大騒ぎするというスパイラルがあるのである。逆に言うと、英国ではそれだけ日本との戦いは「水に流しやすい戦争」でもあるわけで、この点についても中尾の力みかえりよりも小菅の観察のほうがはるかにバランスがとれているといえよう。「日の丸を焼いたジャック・カプラン」に至っては、まあ変人の類である。「日本は反省しる」という看板を掲げて日本で笑いものになった「反省シルおじさん」を思い出した。
【中国との『和解』は可能か】
和解とは何か。生身の人間でいつまでも憎しみを持続することは、ものすごくエネルギーを要することで、憎しみを持続しようとするとかなり当人を消耗させるものである。それがゆえに、普通は「和解」を通じストレスを解消しようとするベクトルが働く。しかし深い深い傷を受けた場合、これは不可能であり、その場合、実は何をやっても和解は難しい場合が多い。早い話、娘や息子を殺された場合、その両親に犯人と和解しろいわれても、それはできない相談なのである。これが人間の限界であり、それは心に傷を負った当人の「自然死」という形の整理を待たない限り憎しみは解消しないのである。人間の憎しみ悲しみは、普通、世代を超えて「共有」されたりはしない。人間は経験していないことを経験することはできないのであり、世代が代われば記憶も変わるものなのである。本書にも書いてある通り、近代以前の戦争の傷は忘れることで和解するという形を欧州でもとってきたと書いてある。ところが政治がこれに絡んでくると、民族の記憶は世代を超えて記憶しうる。国家が「戦争被害」を国をあげて教育という形で次の世代にも憎しみを植え付けるよう洗脳を行えば、戦争被害を経験していない世代でもかつての加害国を「憎む」ことは可能になるのである。これを実践しているのが悲しいことにわれわれの隣国中国である。だから我々日本人が肝に銘じておかねばならないのは、日中関係に幻想をいだかないことである。向こうは小学校から大学まで日本を民族の敵として位置づけ憎しみの拡大再生産を国をあげて行っている国なのだ。こんな国との「友好」など、成り立つはずがない。日本ではアメリカが嫌いで、日米同盟に反対で、なんとかこれを解消したがっている人々がいる。こういう連中に限って、反米の反作用として親中であったりするのだが、これは中国の現実を無視した空想的外交選択である。そもそも中国人の大半は日本人に親近感なぞ抱いていないことを知るべきだ。

結局「和解」とは政治の延長線上にある。憎い憎い日本でも、日本と友好関係を演出することが中国にとって「得」であると相手政府に思わせれば、中国政府はころっとその態度を変える。現に「日中国交回復」のときは中国はそういう選択をした。もっと著しいのが米国の態度だ。米国こそが日本を「猿」と憎み「日本を石器時代に逆戻りさせろ」を合言葉に日本全土に容赦ない絨毯爆撃を仕掛けた張本人である。その米国が戦後冷戦がはじまると日本への態度をころっと変える。冷戦という現実を前に、日本を石器時代に戻し、フィリピンよりも貧しい状態に追い込んで共産主義陣営に追いやるよりも、アジア最大最強の工業力を持つ日本を再興させ、アジアにおける米国の反共の防波堤として再生させ協力させたほうがアメリカにとって得になるから、アメリカは日本への態度を変えたのである。日本への復讐に燃える英国、オランダ、豪州、カナダを抑え、日本を国連に復帰させ、GATT(WTO)に加盟させ、日本の高度経済成長を後押ししたのはアメリカである。アメリカの後援なしに、日本の今日の繁栄はなかったのである。重要なポイントは、日本がアメリカに謝罪したからアメリカが日本を支援したのではなくて、日本を支援すること自体がアメリカの得になるので「戦争の傷」「戦争の記憶」は現実政治の要請の前に、二の次三の次となったのである。このことをわれわれは肝に銘じておくべきであろう。

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