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電子書籍

外務省革新派 世界新秩序の幻影 みんなのレビュー

  • 戸部良一 (著)
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みんなのレビュー1件

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紙の本

外務省革新派 世界新秩序の幻影

城山三郎という「作家」がいた。彼は「落日燃ゆ」という作品の中で宰相廣田弘毅を、あたかも最後まで軍に抵抗した反戦平和主義者のヒーローであるかのように描いたあいつだ。城山は戦前の日本の歴史を「横暴な日本帝国陸軍」vs「これをいさめる良識ある外務省」という極端に単純化された構図で描いたが、これが大ウソであることが、本書を読むと、よく理解することが出来る。

16人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る

鳩山由紀夫という稀代の暗愚宰相をいただいたお蔭で、わが日本国の存立にかかわる安全保障政策が、根底から揺さぶられたことは我々の記憶に新しい。日本は、自国の安全のほぼすべてを外国であるアメリカに依存するという稀有な安全保障政策を敷いている国である。GDPの2%から3%を防衛費として恒常的に支出するのが世界の常識であるが、日本はアメリカに軍事的に従属することの見返りに防衛費をたかだかGDPの1%前後に抑えるという奇態なことを戦後50年間ずっと継続してきた。この防衛政策の手抜きの対価が、米軍への基地の提供なんだから、日本国民は「基地の提供くらいで済むなら安いもんだ」と考えるのが普通だが、そうは考えず、これを「屈辱の証」であるかのごとく騒ぎたてる馬鹿がいる。ご存じ、全共闘世代のなれの果て、寺島実郎、孫崎享以下の反米論者たちである。鳩山由紀夫の外交政策が破綻した最大の原因は、寺島・孫崎ら全共闘反米主義者を取り巻きとして官邸に迎え入れたからとされているが、本書を読んで、実は日本には戦前から連綿と続く反米の系譜というものが存在することが分かった。

本書の帯に言う。「曰く、西洋の世界観から脱却せよ」。これは寺島が繰り返しわめいた「アメリカ中心の冷戦思考から脱却せよ」「世界の重心はアメリカから中国へと大きくシフトしている」と瓜二つのフレーズだ。そう、寺島実郎は、戦前の日本を滅亡へ追いやった反米反アングロサクソンの主張「皇道外交」の紛うかたなき直系の子孫なのである。

戦争開始直前は、外務省もその中枢を親ドイツ・反米反アングロサクソンによって乗っ取られ、「東亜新秩序」建設を目指し、ナチスドイツと手に手を取って喜び勇んで滅亡に向かって走り出していたことが分かる。この外務省の「主流派」こそ、本書の主人公「外務省革新派」であり、その中で大きな役割を果たしたのがA級戦犯白鳥敏夫その人である。彼ら曰く、「何時までも落ち目のアングロサクソンと連携していても日本の明日はない。世界の構造は満州事変を境に根本的に変わった。これから始まるのは世界秩序の再編だ。没落する現状維持国たるアングロサクソンを尻目に、勃興する全体主義国家ドイツ、イタリア、ソ連と組んで、世界秩序の再編に乗り出そう」。まるで寺島実郎が語る世界観そのものだが、その後の歴史をたどれば、世界はドイツによって再編されることもなければ、東亜新秩序が建設されることもなかった。勝ったのはアメリカであって、国土を焦土と化して敗北したのはドイツであり日本であった。

なぜ、反米主義者どもは間違ったのか。それは彼らのアメリカの実力に対する見積もりが、現実とは大きく異なっていたからに他ならない。世界における日本の位置、世界各国の実力の冷静な評価をきちんと行っておれば、日本とドイツ、英国、アメリカのどこと利害を共有し、どこが一番強いかを見極められた。喧嘩に勝つ最大のコツは「自分より強い奴と喧嘩しないこと」である。これは古今東西変わらぬ不変の定理である。

ドイツは冷徹に日本を騙し、日本を利用した。宿敵英国、フランス、ロシアを打倒するため、日本を巻き込んで地球の裏側から英仏露に圧力をかけ、ドイツの利益を増進しようとしたのがドイツの狙いだ。彼らに日本と利益を共有するという発想、日本との連帯感、日本の歴史文化に対する共感なんか微塵もなかった。ドイツを友だと錯覚したのが親ドイツ派の最大の失敗だった。

あと、アジアに帰れと言いながら、アジア諸国、中でも中国が日本をどう見ているかについて最後まで一顧だにしなかったのも、今に続く反米アジア主義者が持つ共通の欠陥だ。そもそも中国は他の国々と自分を対等だなどと考えていない。中国はその歴史を通じて一貫して「自分が世の中で一番偉いと信じ込んでいる自惚れの強い国(吉田茂)」であり、彼らは日本含むすべての周辺国を見下している。中国との間に友情や連帯など存在しようが無い。このことがアジア主義者は全く分かっていない。自分を好きになれば中国も日本を好きになると子供みたいに信じ込んでいる(奴が多い)。「もはやアメリカの時代ではない。中国の時代だ」などと寺島は言うが、中国の経済成長はアメリカ向けの安価な製品輸出(しかもその大半はアメリカ企業の中国工場製)でなりなっているのであって、一言でいえば中国はアメリカの経済奴隷であることを寺島は全く無視している。これと同じような自己チュウぶりが外務省革新派のアジア主義者にもある。

アジア主義者の精神構造は以下の通りだ。まず彼らはアメリカ、イギリスに限らず白人全般が嫌いだ。そして白人全部と喧嘩しても構わないと考えている。しかし、白人と喧嘩するには一人では寂しいので「アジアに帰れ」と有色人種同士で徒党を組もうとする。しかしアジアの有色人種同士で徒党を組む際、問題になるのが、日本人が必ずしも自分をアジアと同格・平等とは考えていないことだ。アジアでは当時も今も「一人当たりGDP」で考えると日本がダントツの一位だ。昨今、中国のGDPが日本を抜いたの抜かないのというくだらない話が出回っているが、あれはGDPトータルの話で一人当たりのGDPの話ではない。その国の豊かさは一人当たりGDPの多寡で決まるのであって、国全体のGDPは、その国の規模感の指標にはなっても豊かさの指標にはならない。アジア主義者はアジアからの白人追放、白人の植民地特権剥奪を主張するが、同様の植民地特権をアジアで持つ日本については口をつぐむ。彼らの本音は「出来の悪いアジアの弟たちを白人どもの搾取から解放し独り立ちさせねばならないが、それには時間がかかる。そこでアジアで唯一先進国の仲間入りを果たした日本のみがアジアを撫育指導する崇高な義務を負っている」というものだ。なんだか黒人だのアラブ人だのインド人だの黄色人種を撫育指導することは人類の霊長たる白人様に神から課された崇高な義務(ホワイトマンズ・バードゥン)みたいな話である。問題は日本人に撫育指導される予定のアジア人、特に中国人が、この日本独特の皇民思想をどう考えているのかということだ。日本人は上から目線で文明開化に失敗した中国人を見下ろすが、四千年の歴史という神話で自分のプライドを辛うじて維持している中国人に日本を兄と慕ういわれはない。そもそもアジア人が日本人をどう見ているかという視点がアジア主義者には全く欠落しているのだ。

それに、日本のアジア主義者たちは日本のアジア支配を「八紘一宇の皇国思想の発露であり、その根本は善意であり慈愛の施しだ」などと強弁するが、中国人にすれば、なーに、白人の真似をした日本人が白人に替ってアジアを支配しようとしているとしか映らない。それに中国人にそもそも日本と手を取り合ってアジア人のアジアを共同で作ろうなんていう発想はない。傲慢な中国人にとって、アジアはもちろん世界は中国のものであり、日本なんか、所詮、小日本、東夷のひとつにしか過ぎない。中国人と対等な関係を取り結ぼうなんて考えること自体、如何に中国人という政治的冷血動物を理解していないかを白状しているようなものだ。

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