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紙の本

外国人学校 インターナショナル・スクールから民族学校まで

外国人学校を網羅的に取り上げているが、記述は浅い。

5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:越知 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 日本で外国人の通う学校というと、小島信夫の小説のタイトルにもなっているアメリカン・スクール、インターナショナル・スクール、或いは朝鮮学校などが思い浮かぶ人は多かろう。しかし日本に現在外国人学校がどのくらい存在するか知っている人は少ないのではあるまいか。その数が二百校以上にも及ぶと聞くと、私を含めてほとんどの日本人は驚くだろう。本書はその外国人学校を概観した書物である。
 本書の長所を挙げておくと、網羅的なことである。アメリカン・スクールやフランス人学校、ドイツ人学校といった欧米系の国別・民族別学校、インターナショナル・スクール、或いは朝鮮学校を初めとするアジア系学校など、あらゆる方面の外国人学校を取り上げて紹介しており、またそうした書物は現在日本では他に出ていないそうなので、とりあえず外国人学校の基礎知識を得るには便利である。
 実際、読んでいくと、へえ、こんな学校もあるのかと思うことしばしばである。例えばブラジル人学校である。しかもその数が2007年現在で95校におよび、日本の外国人学校では最多と聞くとびっくりしてしまう。こんなにブラジル人学校が多いのは、言うまでもなく近年日本が労働者不足を南米日系人移入で補おうとしているためだ。昨秋からの不況でその日系移民も苦労しているわけだが、ともかくそのためもあってブラジル人学校の歴史は浅く、最初にできたのは1995年だという。南米日系人のための外国人学校としては、他にペルー人学校が3校ある。
 典型的な外国人学校というとアメリカン・スクールの名を想起する人も多いだろう。では日本にアメリカン・スクールはいくつあるだろうか? 日米関係の緊密さや、日本に米軍が駐留していることを考えれば、かなり沢山ありそうな気がするのだが、実は1校(調布市)しかないのである。ただし、駐留米軍の子弟のための学校はこれとは別に20校あまりあるそうだが、アメリカ国防総省の管轄下にあって一般の学校とは別扱いされているらしい。
 ヨーロッパ系の外国人学校としては、フランス人学校とドイツ人学校が2校ずつ、英国人学校が1校存在するほか、欧米系の子供が通う学校としてインターナショナル・スクールがある。インターナショナル・スクールといっても基本的には欧米系の教育が主体なのだ。また、生徒本人だけではなく保護者の英語能力も問われるという。教員と保護者が子供の問題で十分にコミュニケーションを取れないと困るという理由からである。その意味で、日本に生まれ育った日本人でもインターナショナル・スクールに通う場合があるわけだが、エリートの子弟が行きやすいという性質は否定できない。
 一方、アジア人の学校としては朝鮮学校(および韓国学校)と中華学校のほか、インドネシア人学校、インド人学校、フィリピン人学校がある。
 さて、以上のように網羅的であるのが本書の長所だが、同時にそれが欠点にもなっている。一校ごとの記述にあまりページを割けないので、どうしても概略的になる。それはやむを得ないとは思うものの、私が疑問を覚えたのは著者の調査法である。校長に取材してその学校の特徴を教えてもらうという方法をしばしばとっているのだが、これだとどうしても手前味噌的な説明になりやすく、きれい事の羅列に堕してしまう。もう少し多面的な取材法が望まれる。
 類似の疑問を、特にアジア人学校についての記述に対して感じた。アジア人学校、特に朝鮮学校(および韓国学校)と中華学校は、欧米系の国別学校やインターナショナル・スクールとは根本的に異なっている。なぜなら、欧米系の学校の生徒は大部分が日本に永住するわけではなく、親の仕事の都合などで一時的に滞在しているのであり、将来は欧米に戻ることを想定している。これに対して、朝鮮・韓国学校や中華学校に通っている生徒は基本的に日本に永住することを前提にしている。つまり外国人学校と言っても、単に欧米系かアジア系といった区別で済む違いではなく、生徒がその学校に通う理由が根本的に異なっているのだ。
 急いで付け加えるが、以上のような違いを著者は認識しており、本書でも明記している。しかし、であるならば、例えば最初のあたりで外国人学校の特徴を概略的に説明している部分で、欧米系の学校と朝鮮学校とを同一次元で比較するといったやり方自体に問題があるのではないか、といった洞察にまで達していただきたいのである。ついでに言えば、著者自身が朝鮮学校出身のせいか、欧米系とアジア系を比較するときアジア系ではいつも朝鮮学校だけが取り上げられるのも気になった。生徒数から言っても中華学校にもう少し言及があって然るべきだろう。
 こうした疑問は、多文化主義を無条件で讃美する著者の根本的な認識力にまで及ぶ問題である。すなわち、著者は外国人学校で生徒が各国・各民族の文化を学び身につけることを一点の曇りもなく善だとする。たしかに欧米系の学校なら、上述のように生徒は日本に永住するわけではないのだから、多文化主義万歳でも構わないだろう。しかし日本に永住するつもりの在日朝鮮・韓国人や中国人が通っている学校は違う。そこでは多文化主義か同化主義か自体が問題になるはずだ。これは日本に限らない。紙数の関係でここでは論じられないが、『移民と現代フランス』についての私のBK1書評をごらんいただきたい。
 また、在日朝鮮・韓国人なら朝鮮学校ではなく日本の普通の学校に通うという選択肢もあるし、朝鮮学校の民族主義を批判する立場もあるわけだが、著者はその方面の議論にも触れていない。これについては、李青若『在日韓国人三世の胸のうち』(草思社)をごらんいただきたい。

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