９割の腰痛は自分で治せる イラスト図解

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つらい腰痛をスッキリ消せる方法を解説した書籍である。腰痛を自分で治せるとの主張は腰痛に苦しむ人々にとって魅力的である。

しかし、治す方法以前に驚かされたことがある。もむなどの腰痛に効きそうな方法が逆効果と指摘する。「緊張した筋肉を誤った方法でもむことで、炎症が起こります」（58頁）。逆効果になるという情報は、治す方法以上に多くの人々に知られる価値があるだろう。

また、湿布や痛み止めも逆効果になる。「痛みは軽くなりますが、その場しのぎで、さらに筋肉を硬くして痛みが増します」（60頁）。注射や血行促進剤も否定している。薬漬けへの批判は様々な医療分野で指摘されている。腰痛の分野でも該当する。

胸を張って背筋を伸ばすという昭和の村社会的価値観の良い姿勢が健康面で良い姿勢ではない。「胸を張ると腰の筋肉に耐える力が働き、腰の筋肉はさらに緊張して、これを長時間続けると、痛みが出てきます」（128頁）。昭和の集団主義的な管理社会がメンタルヘルスを損なうことは広く認識されているが、腰にも悪い。

本書は「鍛えるよりも先に、筋肉を緊張させない、また、筋肉を軟らかくすることが、腰痛にならない秘訣です」と指摘する（136頁）。この姿勢は好感が持てる。前向きに良いことをしようというよりも、負担になることをしないという発想である。右肩上がりの発展ではなく、成熟した時代に合っている。