紙の本
『自分をコントロールする力』
2020/01/10 22:14
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
子どもの将来に大きな影響があるとして注目を集めている「非認知スキル」
そのなかでとくに大事な「実行機能」について、最新の知見をふまえて紹介する
「実行機能」(≒「自制心」)とは、目標を達成するために自分の欲求や考えをコントロールする能力
・どういう能力を指すのか
・どのくらいの年齢で、どのように育つのか
・子育てや教育・保育によって、どのように育むことができるのか
・鍛えることができるのか
ニュートラルな立場で、わかりやすく、ていねいに、ユーモアをまじえながら解説した良書
著者は京都大学大学院准教授、専門は発達心理学・発達認知神経科学
第8章の8ページだけでも読む価値あり
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非認知能力、わけても実行機能が重要であり、これこそが自分自身をコントロールする源であるとの論が展開されています。また、実行機能だけでは十分ではなく、IQなどをはじめとする認知能力との両輪となってこそ、だとも。
野球やサッカーなどのスポーツにたとえるなら、チームをひとりの人間と見立てると、個々の選手の能力が認知能力、チームとしての戦略が実行機能という対比でしょうか、個人技の優れた選手だけ集めてもうまく戦えないといったことと似ている、、かな?(うまくたとえになっているかな?)
著者は実行機能にも感情の実行機能と思考の実行機能があり、これがアクセルとブレーキに対応しているとしていて、特に人間の成長過程、とりわけ十代なかばではそのバランスがうまくとれないこともあるが、それも若さゆえの行動力につながる、と説きます。
実行機能の鍛え方についても言及されていまして、子を持つ世代の方には気になるところかもしれませんが、どちらかというとマクロ的なものといいますか、根本的な生活習慣に関するものが多く、小手先の取り組みやちょっとしたコツ、というものではありません。また、大人になっても鍛えることはできるものの、取り組みに比して効果が少なく、鍛えるよりも自分がどのような場面でどういった行動をとるかを把握し改善すべき行動を回避するよう備えたほうがよいようですね。
こういった能力については現代の学校教育で育むのはなかなか難しいですね、どうしても知識=IQ・認知能力に偏ったカリキュラムですから。
本の構成としては豊富なエビデンスを紹介しながら実行機能に関する説明がおこなわれており、専門家でなくても読みやすい内容になっていると思います。
ただ本作のなかで紹介されているエビデンスを読む限りでは、著者のいう実行機能の”差”は、生育環境が異なる個人間や属する集団が異なる個人間の差であって、生育環境が類似している、あるいは同一集団に属している個人間における差を説明しているわけではないと考えられます。この点、留意のうえ本作を読み進める必要があると思います。なぜなら、読者の多くは自らが生活するうえで属する集団において抜きん出たいという想いを抱えているケースが多いはずだからです(とはいえ本作の内容が価値を失うものではありません)。
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<目次>
はじめに
第1章 実行機能とは?
第2章 自分をコントロールすることの重要性
第3章 実行機能の育ち方
第4章 自分をコントロールする仕組み
第5章 岐路となる青年期
第6章 実行機能の育て方
第7章 実行機能の鍛え方
第8章 非認知スキルを見つめて
<内容>
「実行機能」=「目標を達成するために、自分の欲求や考えをコントロールする能力」。心理学で有名な「マシュマロテスト」などで確認することができる(が、このテストも含めて「再認性」が難しく、必ずしも正答ではないらしい)。
ストレートに説いてくれるので分かりやすい本である。が、「だからどうなの?」という気もする。
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今話題の非認知能力の概要についてよく分かる本です。
科学的なエビデンスをしっかりと示しながらも、それら全てを鵜呑みにしないよう、読者に呼びかけているのが素敵。
さて、非認知スキル
•思考の実行機能
•感情の実行機能
の2つに大きく分けることができます。
特に思考の実行機能ら学力との相関性もあることが確認されており、近年注目を集めているそうです。
さて、こういった実行機能の鍛え方として、今のところ
ゲーム、運動、マインドフルネスなどがあげられています。
モンテッソーリ教育なども注目されていますね。
学校ではテストなどのIQ重視の教育ばかりに赴きをおかれますが、実行機能を鍛えるという観点からどのような教育を
行っていくべきか?という視点をもっと持つべきだと思いました。
本書では触れられていませんが、
つまり、それが主体的•対話的で深い学びで育む資質•能力とはこの非認知スキルのことだと言えます。
まずは、教師がこういった研究結果を学ぶことから始めないといけませんね。
具体的な研究例がたくさんのっているので、学校関係者の方が研修会などで使うのも良さそうです。
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目標を達成する力「実行機能」の発達と育成について書かれた本。
筆者は実行機能研究の専門家なので、記載されていることに対する科学的な正確さに対するこだわりと謙虚さが好ましく感じられた。
ただし、実行機能の大切さは分かったが、それを育成するためのコツは一般的だなぁ…という印象であった。
しかし逆に今の幼児教育は結構理に適っているんだなぁということが分かった。
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実行機能の発達
ブレーキが後から発達
アクセルが突出する思春期
具体的な実行機能の鍛え方?
⇒テニス経験と実行機能の関係という論文が面白そう
素質よりも環境
虐待と実行機能
話題が豊富で,特に親が知りたい(ような)具体的な育て方や環境と実行機能について,そんなに専門的な内容に掘り下げないので読みやすいのでは。
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2020.5 記。
日経書評欄に載っていたのでミーハーに読み始めた。
ざっくり、「ガマンする力」と「やり抜く力」(グリッド?)は表裏一体で、それらを総称して「実行機能」と心理学領域では呼んでいるらしい。
実行機能=「目標に向かって自分をコントロールする能力」。
面白く読んだのだが、読む前に想像していたセルフコントロール=要するにストイシズム、という予断は誤解だったっぽい。
有名なマシュマロテスト。小さい子の前にマシュマロ一つを置いて、しばらく我慢できたら二個あげる、と約束して一人にしておいて我慢できるか。
他の実験もチョコをガマンさせたりプレゼントを盗み見るのをガマンさせたり、なんか要するにおなじに見える。
どれも将来のより大きなリターンのために今我慢しているだけで欲望そのものを抑えているわけではない。異時点間の最適化の問題という気もするのだ。もちろん、より大きな「目標」達成のためには、年単位でこの視座を持てるようにならないといけないのはわかるのだが。
例えば禅などは、何かを達成したいという欲望そのものを相対化する試みと理解している。
今我慢すればより幸せになれるよ、という考え方自体から解放されようという取り組み、というか。
「成功」か「平安」か、目指すものによって訓練の仕方も変わってくるのかもしれない。
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IQより大事かもしれない非認知スキル。
人生の成功を左右すると言われたら、つい気になってしまう。ここで語られているのは実行機能という自分をコントロールする力。従来のいわゆる頭の良さを示すIQなど認知的スキルに対して、将来の目標のために誘惑や困難に立ち向かい、打ち勝つ力を非認知スキルの実行機能として紹介している。いわば自制心か。
マシュマロテストなど心理学の有名な実験なども参照して、実行機能の説明、育ち方、その仕組み、育て方や大人になってからの鍛え方(鍛えられるのか)を、順番に説明している。教育関係者や育児にかかわる人は一度読んでみてもいいかも。
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知能指数(IQ: Intelligence Quotient)と実行機能(EF: Executive Function)の比較で、実行機能はその人の経済力や健康状態を将来的に左右する重要な指標であることを丁寧に説明した好著だ.実行機能はIQに比べてあまり知られていない.IQは人生の中で変化しないが、実行機能はやり方を工夫すると向上する由.感情の実行機能と思考の実行機能があり、数多くの事例を紹介しているが、それぞれ参照文献を例示しているのは、研究者の常道だと感じた.実行機能に留意した教育が実際に始まっていることも紹介されており、この用語がポピュラーになることを期待している.
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非認知スキルの話。一般向けの新書なのでこのような書き振りになると思うが、もう少し深掘りして欲しかった。
自分には「自分をコントロールする力」が劣っていることははっきりわかった。
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自分をコントロールする力を非認知スキルや社会情緒的スキル、実行機能と呼ぶ。主に子どもの実行機能の発達について書かれている。
特にヒトにおいて発達している実行機能だが、これが高い人ほど社会的な成功や健康を手にしやすい。日本ではまだ実行機能への一般的な関心は低いが、世界ではマシュマロテストだけでなく様々な研究が進んでいる。そして青年期は実行機能の発達の大きな岐路であり、人生を大きく左右する。要因としては遺伝的なものもあるが環境的なものがより重要。
なお、大人の実行機能を鍛えるのは困難であり、実行機能が低下するような環境に備えたり誘惑を避けたりといった技術的なことが手段が必要。
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p84
・ヒトは突発的に起こったことに対して、思考の実行機能を発揮することは難しい。しかし、あらかじめ準備していたら、思考の実行機能を使うことができる。
→「準備」とこれから起こる「予測する力、想像力」が大切
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ADHDグレーゾーンの可能性のある子どもに対し、感情や衝動のコントロール方法をどう教育すれば良いか悩んでいた中手に取った1冊。
感情・思考の実行機能の重要性を痛感した。
感情や気持ちを切り替えるのはそう簡単なことではないが、小さな頃からその能力を鍛えることができれば、(特に発達に課題のある人にとって)生きていく上でとても楽になるだろう。
参考になりました。
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・実行機能は自制心と似た概念で、目標達成のために誘惑を跳ね除ける力
・目標達成に主眼を置いている点において、自制心とは異なる
・実行機能の重要性を裏付ける研究:ダニーデンの長期縦断研究
・実行機能が低いと、健康面・経済面・家庭面で起こす可能性が低くなる
・半年後の学力に影響を与えるのは、IQよりも実行機能
・実行機能には、①感情の実行機能(ラーメンを食べたいけど我慢してサラダランチにする)、と②思考の実行機能(環境が変わった際に無意識の行動を制御せる)がある。マシュマロテストは感情の実行機能を調べたもの
・大人でも実行機能は伸びるが幼児期に比べるとその伸びはわずか。大人は実行機能を伸ばすことよりも、自分がどのような状況で実行機能を働かなくなるかを把握してその状況を避けるなど外部環境を整えるアプローチが有効。簡単な例だとアルコールが好きなら、居酒屋の前を通らないようにするなど。
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自分のだらしなさはどこからきているのか、それをコントロールするにはどうしたら良いのかが気になって手に取ってみました。
大人の実行機能はなかなか上げられないのですね、、。
でも、自分の親が子供の時にしてくれていたことの意味は考えさせられました。