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紙の本
ナチス機関誌「女性展望」を読む 女性表象、日常生活、戦時動員
著者 桑原 ヒサ子 (著)
【女性史青山なを賞(第36回)】ナチス・ドイツ期、社会的・文化的領域で“理想的な”女性像を伝達する有力なプロパガンダメディアだった『女性展望』。戦後ドイツの記憶から消えた...
ナチス機関誌「女性展望」を読む 女性表象、日常生活、戦時動員
ナチス機関誌「女性展望」を読む
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商品説明
【女性史青山なを賞(第36回)】ナチス・ドイツ期、社会的・文化的領域で“理想的な”女性像を伝達する有力なプロパガンダメディアだった『女性展望』。戦後ドイツの記憶から消えたナチス機関誌を掘り起こし、ナチス政権下に生きた女性たちの実像に迫る。【「TRC MARC」の商品解説】
「女性展望」は、社会的・文化的領域で「理想的な」女性像を伝達して戦争に動員する有力なプロパガンダメディアだった。戦後ドイツの記憶から消し去られたナチス機関誌を掘り起こして解読し、ナチス政権下に生きた女性たちの実像に迫る。図版270点を所収。【商品解説】
目次
- はじめに
- 第1部 「女性展望」が描く女性像と日常生活
- 第1章 表紙から明らかになるジェンダーとその揺らぎ
- 1 「女性展望」の表紙と人物像
- 2 男性表象
- 3 女性表象
- 第2章 多様な母親表象とナチ女性団の「民族の母」という概念
著者紹介
桑原 ヒサ子
- 略歴
- 〈桑原ヒサ子〉1953年東京都生まれ。学習院大学大学院博士課程修了。敬和学園大学人文学部教授。専攻はドイツ文学、ドイツ現代文化。
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紙の本
第三帝国下の女性のレーベンスラウムLebensraum
2021/02/15 21:11
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kapa - この投稿者のレビュー一覧を見る
ナチス期女性は、ナチ幹部の妻とかヒトラーに心酔し、ナチズムに熱狂した淑女たち、そして自殺直前に結婚式を挙げたエヴァ・ブラウンやヒトラーの姪で謎の死を遂げたゲリ・ラウバルのような、後世スキャンダラスに見られた女性などナチ・レジーム、ヒトラーらとの関係で扱われるものが多い。しかし、セレブ以外にも、例えばニュース映画の総統演説にうっとりとする女性、また、車列のヒトラーに右手を嬉々として右手・花束を差し出す女性のように、市井の普通の母、娘、少女もいたが、男性社会であったナチス社会では、彼女たちはその脇役、添え物という扱いである。
ナチス期の女性雑誌『女性展望』Frauen Warteは、社会的・文化的領域で「理想的な」女性像を伝達して戦争に動員する政府公認のプロパガンダメディアだった。本書は、この雑誌の写真・文章等を解読しながら戦後ドイツの記憶から消し去られたナチス政権下に生きた女性たちの実像に迫ろうとするもので、これまでのナチと女性とは異なるアプローチをしている。
ある研究者によると、戦後のナチ・レジームにおける女性史は三段階になるという。第一はナチスは家父長制の極端な形態であり、女性はその中でつねに「犠牲者」であった、という1970年代から80年代半ばにかけての主張、第二は女性的なものとドイツ的なものを自覚し、それによって夫、ナチ体制とイデオロギーを支えた「担い手」であったという1980年代半ばからの主張。第三は女性といっても、いろいろな場面で様々な役割を(男性的な役割をも)果たしており、一概に「犠牲者」か「担い手」のどちらかだったのかを決めることはできない、もしくは「女性」という一括りの集団を想定することはできない、という1990年代からの主張である。
本書は、この「三段階」説をなぞるように構成されている。第一部は「民族の母」として家族を支える存在。第一段階の「犠牲者」フェーズ。次いで第二部は総力戦体制の中、「女性の戦時動員」「国防軍女性補助員」という銃後から前線までを支えざるを得なくなった女性。第二段階の「担い手」フェーズである。
男性中心社会であったナチ社会では、女性「担い手」の存在はイデオロギー的には矛盾をはらむものであったが、これに折り合いをつけたのが、男性と女性のそれぞれの主たる活動・活躍の社会を分けるレトリックであった。第三部では、このドイツ人女性の社会進出と女性領域の拡大を、その中心人物であった全国女性指導者ゲルトルート・ショルツ=クリンクに焦点をあてている。この女性指導者の名前は、これまでのナチ本で目にしたことがあるが、どのような人物で何をしたのか、戦後どうなったのか、など初めて知ることが多く、本書で最も得るところが多かった。彼女は、女性の社会的領域を早くから「生存圏」Lebensraumと呼んでいたのには驚いた。ナチスの「生存圏」にはいろいろな負のイメージ・含意があるが、彼女はまさに女性の活躍できる領域の拡大と保全という認識で使ったのだ。このような女性指導者に注目したところに本書の意義は高い。
本書によれば、かつてのナチス期は第二帝政・ワイマール期の女性差別の時代への「後退」というほどのものではなく、その延長線上にあり、むしろ近代主義と伝統主義とが特有な形でせめぎあったきわめてアンビバレントな時代であった。これは戦後も続き、1989年家族とドイツに住んでいた頃にも、ドイツ人女性の伝統的な価値観念としての3K、教会・台所・子供Kinder, Kueche, Kircheが生き残っていた。壁崩壊後の1990年代に入って死語となり、ドイツの女性の戦後が終わった、という著者の説明に納得できるもの感じた。
紙の本
重厚な一冊
2022/04/22 14:37
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
ナチスドイツで最も読まれたという女性誌「女性展望」についての研究書。ヒトラーの時代の女性について知るにはとても良いのではないか。
ただ研究書であり、気軽には読めない。一般向けに、もっとかみ砕いたバージョンがあるといい。