投稿元:
レビューを見る
マイケル・ポーターが、米国の医療を変えるにはどうすればいいかと、それぞれ異なるステークホルダー(医療提供者、患者、保険提供者、政府)が持つ課題と価値のある医療を提供する上で改善する点を書き連ねた本。
医療はコモディティーではなく、価値ベースであるべきであり、現在のゼロ・サム競争をなくすべきであるというのがメッセージ。
時間がない人は、立ち読みでP308の医療におけるバリューチェーンと、P606からのケーススタディだけ読めば、医療のあるべき姿がわかる。(各々のステークホルダーの課題やらはわからんけど。)
かなり論理立てて書かれており大変読みやすいですが、重複などあるのはいいとして、600ページくらいの厚さなのでかなり根気がいる。(それだけ☆がひとつ少ない。)
中身は文句なく☆5つです。
これを翻訳した山本先生はまじでお疲れ…
投稿元:
レビューを見る
米国の医療システムの崩壊と改善策を提言した書。選ぶ自由と公平性、どちらが良いのか。日本は従来、公平性を重視していたと思うけれど、健康保険に入っていない人も増えている昨今、日本の保健制度はどうなっていくのだろう。
投稿元:
レビューを見る
数ヶ月前から読んでたというより「挑んでた」この本をやっと読了。今の僕にはやはり難しすぎましたが、それでも得るものは大きかったです。
著者のマイケル・ポーターさんは経営学の大家とのことですが、こういう本やドラッカーさんの本なんかを読むと、勉強になると同時に勇気づけられます。
“パイを拡大するのではなく再分割するに過ぎない競争は、ゼロ・サム競争、ゼロ・サム競争では、誰も真の勝者になれず、最終的には消費者ですら勝者にはなれない。“
という部分が泣けます!本当です。ゼロ・サム競争なんて明日からやめちまおう!
この本で一貫して書かれているのはゼロ・サム競争でなく質を高める競争をすべきという事。そして思わず唸ってしまったのが、
“優れた医療提供者は、高い効率性によって高い利益幅を得るようになるだろう。利益幅が大きければ、料金を数%値上げるよりも、患者数を増やすことではるかに高い利益が得られる。なぜなら、患者数が増えることで学習の機会が増し、効率が改善することで、ますます優位に立てるからである。医療の質を追求するに当たっては、より良い医療は必ずコストが増えるものだと思いこむべきではない。“
というこの部分。僕の仕事は医療ITベンダーなのですが、この中の医療提供者をITベンダー、患者を顧客に、医療をシステムに置き換えて見ると!やはりこれはスゴイ本です。今後も時々読み返さなければ。
山本雄士先生による訳者あとがきがまた素晴らしいです。
“「腕の良い医者」と「人当たりの良い医者」どちらが良いか?「安価な医療」と「良質の医療」どちらが良いか?マネジメントの答えは「両方良い」である。“
とのこと。
投稿元:
レビューを見る
なかなか重たい本。
原著を先に読んでいたので、その補足的に読んだ。
アメリカの制度と日本の制度はかなり違うので、その辺りはちゃんと考えながら読む必要があるだろう。
投稿元:
レビューを見る
2011年に一度読んだが、もう一度読んでみたい。-----------------
マイケル・E. ポーター著書の読み応えのある一冊です。
医療業界全体の問題が書かれていますが、医療関係者でない場合は、理解が難しいです。
また、米国における医療問題ですので、日本の問題を意識できる方が照らし合わせて読むには最適かと思います。
「日本語版への推薦」と「訳者あとがき」が本全体の理解を助けます。
個人的には、ゼロサム競争からの問題点がおもしろかったです。
他業界でもある問題でしょう。
投稿元:
レビューを見る
議論の中心は患者中心の医療ケアマネジメントとケアサイクルのオープン化で市場が動き、イノベーションが促進されるというところにある印象。ケアマネジメントについては日本国内でも元来いろいろ議論はあるが、医療業界での縦割り体制が根強く、なかなか患者主体のサービスというところに目がいっていない。今後、高齢化社会を向かえ、医療の市場は確実に伸びるが、それに胡坐をかき、いつまでも自らの既得圏の中で活動する医師ばかりでは状況は何も変わらない。差別化を生み出すような構造を国が率先して生み出し(地方だと地域圏内だけでネットワークが発達しても意味がないので)、各病院、医学界も自己努力が必要だと強く感じた。
投稿元:
レビューを見る
HBSの経営学の大物が提案する崩壊していると言われる米国医療制度の改革処方箋。ひとことで言うと「患者にとっての価値を中心とした競争が医療を改善する」。「医療が指標化できてないから経営学じゃ料理できん、指標化せよ」という面もある気がするが。
疑問;
(患者中心にであっても)競争したら本当に医療は良くなるのか
→製造業だったら、A社がB社よりもいいものを安く作れるのであれば、B社は淘汰され、A社が大量に生産するだろう。でも医者Aが医者Bより優秀だからって、医者Bの患者もまとめて診ることなんてできないだろう。とびきり優秀な医者Xが、やぶ医者Yの1000倍の価値を提供できるのか。せいぜい1000倍の金を出せる人を診るだけではないのか。それがいいことなのか。
第一、指標づくりって難しいよなぁ。。。いや、重要だとは思うけど。
(米国を中心とした)医療の現状
競争の機能不全=ゼロサム競争
↓変革
医療の価値(=患者にとっての価値、単位費用あたりのアウトプット)に基づくケアプロセス全体としての競争(生産的競争)
個人の病態に合わせた医療を提供できるかが問題。診療科の数はどうでもいい
↓そのためには
医療実績の評価・好評が必須
現状では患者中心での医療実績の指標がない、抵抗にあっている
現状では、診療プロセスのガイドラインを遵守しているかばかり問題にされる→医療方法の固定化
メモ
薬・治療法の説明は、動画をとって公開しておけばいい気が。。。
投稿元:
レビューを見る
結論から言おう、医療サービスの最終利用者である我々こそ知っておくべき内容だこれは。
本書は、英語本題にある様に、「医療に対する再定義」がかの経営学の大家マイケル・ポーター氏によって紡ぎだされている。
ここで本題とは逸れるが、日本において「医療」とはとかく"Medical"という単語がよく利用されるのであるが、その多くは本来"Health Care"という単語を使うのが望ましい場面は往々にしてよくある様に感じる。
それは、医療という単語から想起されるイメージがまさに「病気を治療する」という病気になってからの急性期医療を表し、本来関知すべき健康状態の3次元的な(時間軸を含む)意味合いを提示しないからであろう。
しかしながら、生物が病気であるという状態は第三者による診断の結果を指し、細胞レベルで破壊と再生を繰り返す生物における状態としては非常に曖昧な表現である様に思われる。
つまりは、全ては健康状態(あえてこの表現を用いる)におけるベンチマークに対し正常もしくは異常であるという判断でしか生物におけるその状態を表現する以外、方法はないという事であろう。
実は、本書に書かれている事は、上記で脱線した「病気」というその定義自体の再定義から始まる様に思われる。
本書においては、「病態」という表現が用いられているのであるが、現在医療マーケットにおける差別化を図るべく行われるはずのセグメンテーションが先に触れた「病気」を軸に行われている。
しかし、想像すれば分かる様に診療、検査、診断を経て治療があり処置、介入の後に転帰を持って退院することは可能であるけれども、実際に罹患者はその後に回復期を経て、回復に至るまでは継続してその病態と付き合い続ける。
となれば、セグメンテーションはその異常を発する以前の予防から始まり回復に至るまで、つまり日本においては健康診断から回復期やリハビリ、果ては在宅療養に至るまでを一つの病態と判断すべきであろうという解釈が全うであると記されている。
これが本書における、始まりである。
これらを念頭に置いた場合に、まず競争がなされるべきセグメントがそもそもズレているし、我々が信じて止まない「疾病ごとの執刀数や患者数」は価値を生み出すはずの競争における判断基準として的が外れている場合を生じさせるのである。
簡単な言葉で説明すれば、如何に著名な大学病院において数多くの症例をこなしているというエビデンスが存在しようとも真にその医療サービスの質を問うべき回答としては未熟であり誤っているのである。
本書では、この医療サービスの競争におけるセグメンテーションのズレから生じる誤った競争とサービス提供体制(大規模な病院グループや網羅的に診療科を準備した総合病院)を定義し直し医療サービスの純粋な競争を行うことで、
先ずは現状の医療課題の多くが解決されるであろうと説く。
ここで、私を含めた読者は気づくことができる。そうだ、元々我々は通院におけるアクセスの利便性や施設利用における快適性を求めて病院へ赴いているのではないんだ。この自身を蝕んでいる病に関する転帰への正確な指針や補助を本来求めている���だと。
この始まりの再定義が終わると、全ての再定義が始まるのは言うまでもなく、保険サービスを提供する保険会社や企業、さらに製薬企業、医療サービスを提供する為のツールを提供する医療機器メーカー、当然州や国家そのものも対象と化す。
日本においては、国民皆保険が1961年以降義務づけられており無保険者なるものは定義上ほぼ存在していないが、見方を変えると国家が提供する一律の保険サービスという加護の元で、国民は一律ではないはずの医療サービスに一律の料金を負担している。
この途方もない変革を推し進めるにあたり、必要な事はなにも医療政策を決定するトップだけではない。最終利用者たる国民それぞれのボトムアップの両方が必要なのである。
国家の医療政策における課題は、われわれ国民全員の課題である。
だから、本書は専門書の部類に入る600ページ以上の書籍であっても、読むべき書籍だ。
投稿元:
レビューを見る
目次
まえがき i
日本語版への推薦 viii
序章 1
競争の機能不全 4
医療の価値に基づく競争 6
診療の実績に基づく競争 10
本書の構成 15
医療をどう再生するか 21
第一章 医療の問題点を俯瞰する 26
第二章 根本的な原因は何か 43
医療の価値に基づく生産的競争 44
医療におけるゼロ・サム競争 46
根本的な原因:誤ったレベルでの競争 60
医療における競争のレベルが間違っているのはなぜか 64
第三章 改革はなぜ失敗したのか 104
団体医療保険の台頭 105
医師や病院への支払いの制限 108
マネイジド・ケア 112
医療版の軍拡競争 115
クリントン・プラン 117
患者の権利 121
消費者主導の医療 123
医療の質と治療成績に基づく支払い 126
単一支払者によるシステム 132
医療(健康)向け貯蓄口座 136
改革にならない改革 141
唯一の回答:競争の改革 143
第四章 医療の価値を向上させる原則 144
コストだけでなく価値にも着目する 146
診療実績に基づいて競争する 151
病態を軸とし、ケア・サイクル全体で競争する 157
質の高い医療は低コストである 161
医療提供者の診療経験、診療規模、学習が価値を高める 166
地方全域、国全体で競争する 177
診療実績に関する情報を広く提供する 183
医療の価値を高めるイノベーションに手厚く報いる 211
医療の価値を向上させる競争が持つ可能性 222
第五章 医療提供者の取るべき戦略 224
医療提供における戦略の不在 226
適切な目標設定:患者にとっての医療価値を高める 234
医療の価値を向上させる競争への移行:医療提供者が果たすべき責務 236
医療提供産業の構造はどう変化するのか? 302
転換を実現する 306
医療の価値を向上させる競争に向けて障壁を乗り越える 330
早期に行動を起こすことのメリット 343
第六章 保険者の取るべき戦略 346
保険者の役割:過去と未来 348
医療の価値を向上させる競争への移行:保険者が果たすべき責務 362
保険者の役割転換に向けて障壁を乗り越える 418
早期に行動を起こすことのメリット 428
第七章 医療関連メーカー、消費者、雇用主の取るべき戦略 430
医療関連メーカーの取るべき戦略 432
保険加入者や患者など、消費者の取るべき戦略 450
雇用主の取るべき戦略 464
第八章 医療政策と医療の価値を向上させる競争 政府の取るべき戦略 491
医療政策におけるさまざまな論点 497
価値を向上させる競争への移行:医療保険と保険へのアクセスの改善 501
価値を向上させる競争への移行:標準的な医療保険の適用範囲の設定 515
価値を向上させる競争への移行:医療の提供体制の改善 520
他国の医療政策への示唆 574
結論 584
付録A 診療実��の公表 クリーブランド・クリニックの例 592
付録B 医療提供のバリュー・チェーン 602
訳者あとがき 624
投稿元:
レビューを見る
アメリカの医療は競争が激しくて最適化がされていると思ったため、この本を読んで少し驚きました。
競争は競争でもゼロサム競争で、競争をするたびに疲弊していって、全体のサービスの向上にはつながっていない。
適切な競争をするためにはどうしたらよいか。
投稿元:
レビューを見る
今思えば少し古い本だったのですね。原著、Redefining Health Careは、本書執筆時(2006年)とか書いてあったんで、 最前線の本ではないですね。オーダーメイド医療に余り触れていなかったのも、ここらに原因があるのでしょう。
まず二点。冗長で反復センテンスがかなり多いこと。そして医療システムがどうあるべきかを述べているので、ニュアンスとしては原著の方がしっくりきますね。医療戦略の本質…と言うのは少し誤解を生むかと思われます。前者に関しては章ごとに読んでも大丈夫なように書かれていることも一因なのでしょう、まぁ読み飛ばせば良いです。
内容としては、米国の医療システムの問題点とその解決に向けた足取り、提案と言ったところでしょう。登場人物としては、医療提供者、保険者、雇用者、被雇用者、医療機器メーカーですね。現行の制度が如何にゼロサムのコスト削減戦争に終始しているかをその原因から述べ、数値をエビデンスにして米国医療の平均的な弱さ、医療ミスによる死因や保険料増加などの問題点について触れています。
簡単にまとめると、現行の保険システムでは、保険加入者・雇用者は保険側と契約し、その団体を束ねた保険側は医療提供者と交渉し低コストで医療を提供させます。医療提供者もこれに対抗してクラスターを作り、結果としてある保険側では契約した医療提供者クラスターでしか保険を使えなくなる。保険側の低コスト化・一人頭支払い制により、医療提供者側はなるべく低コストの医療を提供し、またクラスター外のより優れた、適した医療提供者に医療を提供しなくなる。また、医療はその課程で何をしたかに報酬を与えるため、短期的な利益に集中し、再診や医療ミスが多発し、結果として医療費が増大する。このシステムの全ての原因は患者のアウトカムに対する競争がなされていないからであり、ケアサイクル全体を見たアウトカムに対する報酬制度を確立し、プライマリ・ケア、診断に重きを置くことで、病態そのものを発生させないように予防し、それによってコスト削減を行うべきだ…。みたいな感じですかね。
単一支払者システム、医療向け貯蓄口座、マネイジドケアなどにも触れていますし、競争がどれだけ医療システムを改善するかの事例も充実しています。
あと適当に印象に残っていることは、
全ての診療科を揃えた病院は完成されていると思われがちだが、結局のところ専門病院には勝らない。他に優秀な病院があってもそこへ患者を回さない。専門病院は批評もあるが、事実として高効率化された医療システムを提供し、低コストかを達成している。専門病院同士が組んで成功している事例もあり、これからは平均以上の優れた医療を行えない総合病院は消えて行くだろう。
保険に加入していないものは、支払い能力を持っているにも関わらず、非常に多い。彼らはもし重大な病気に掛かった場合、支払い能力が無く、結局公の支援に頼る。これでは医療コストが増大するのは当然である。これは低所得者にも言える。彼らが病院に来るときにはかなり症状は申告で、医療コストが多大である。彼らも含めたプライマリ・ケアこそが医療コストを下げる最大の方法である。
保険側は医療提供者の敵対者ではなく、患者と彼らの良きパートナーになり、平均以上の医療が受けられる病院への斡旋、患者のアウトカム評価情報の提供を行うべきである。医療コストは基本、高い医療レベルを持っている病院の方が高効率化されていおり、安い。このことを認識し、競争を促し、保健システムになるべきだ。
長くなりました。本当にまとめます。医療提供者に情報提供を促し、病態を中心としたケアサイクル全体とそのアウトカムを評価するシステムを作り上げることで、競争させろ。競争によって力が付けば、低コスト化する。優れた医療提供者、特に専門病院の方がノウハウの蓄積などで低コストなのだ。プライマリ・ケア・予防を重視することで長期的なコストの削減に取り組むべきだ。
600P以上の冊子なので、全部は無理です。気持ちこんな感じです。
投稿元:
レビューを見る
マイケルポーターが医療について書いた本。医療の構造やステークホルダーが果たすべき役割を考えるにはもってこい。
投稿元:
レビューを見る
かの有名なマイケルポーター氏の本。競争の重要性や、患者の姿勢など、問題点はあげつらってあるが、じゃあどうしようがわからん。ただ、現状の問題点をさらう分には良い本
投稿元:
レビューを見る
医療関係者全員に読んで頂きたい書籍
医療とはどんなものかを深く考えさせられる書籍
ゼロサムゲームから脱し、WINWINの関係をつくる
投稿元:
レビューを見る
医療の質と効率を継続的に向上させる最適かつ唯一の方法とは?
→ 診療実績に基づいて医療価値を向上させる競争を導入すること。
診療実績とは?
→ 病態レベルで見た、経費一ドル当たりの患者にとってのアウトカム。
医療価値とは?
→ 医師でも病院でも保険者でも雇用主でもなく、患者にとっての価値であり、診療実績におけるアウトカムの質。
医療価値をどうやって評価するか?
→ 予防からはじまり治療を経て継続的な疾病管理に至るケアサイクル全体において、個々の病態レベルにおける患者にとってのアウトカムとコストの両方を比較することによって。
上記の根本概念に基づき、医師、病院、保険者、医療関連メーカー、患者、企業、政府が取るべき戦略、組織、方針を述べた本。
分厚い本だが、、第4章「医療の活を向上させる原則」まで読めば、あとは各論ですな。
アメリカの医療制度の崩壊ぶりを示す第1章「医療の問題点を俯瞰する」は、国民皆保険制度を持つ日本からすると、まるで異次元の世界。アメリカの医療制度の崩壊ぶりを示す第1章「医療の問題点を俯瞰する」は、国民皆保険制度を持つ日本からすると、まるで異次元の世界。