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商品説明
幼いとき犬にかまれて片腕が不自由な少女、月岡愛。母を亡くして居場所を失った愛は、行方不明の父を捜す旅に出る。大型犬のデンとダン、不思議な老人や同級生のサトルに助けられながら、少女は危機を乗り越えてゆく。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
筒井 康隆
- 略歴
- 〈筒井康隆〉1934年大阪市生まれ。同志社大学文学部卒業。「虚人たち」で泉鏡花文学賞、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、「わたしのグランパ」で読売文学賞などを受賞。
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紙の本
愛のひだりがわには何がある?
2002/04/17 10:28
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さとか - この投稿者のレビュー一覧を見る
あなたがもし12歳の女の子で,無一文で,しかも片手が不自由な状態で,恐ろしく治安の悪い世界にひとりで放り出されたらどうするだろうか?
この物語の主人公,月岡愛はそんな困難な状況にくじけることなく立ち向かってゆく賢い女の子。父を探す旅の道中,いろんな人物と遭遇する。
ロリータ野郎に暴走族,悪徳業者に暴力男…。こういう輩と渡り合いながらも,主人公は強く生きてゆく。
その生き残りをかけた闘いの部分が素晴らしく面白い。つぎはどうなるんだろう…?と思いながら一気に読み終えた。
途中,素晴らしい人物たちとの出会いや悲しみ。
決してあきらめない強い意志と,物語を通して主人公が学ぶ優しさに胸が熱くなった。
物語のベースに,つねに「強く生きろ」というメッセージが込められてて,読んでいる間ずっと励まされているような気がした。
とにかく面白いです。読み終ったあと元気になります。
ぜひ一度読んでみてください。
紙の本
タイトルにこめられた意味が奥深い
2002/07/15 15:10
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オオトリさま - この投稿者のレビュー一覧を見る
近未来の日本が舞台と思われる。幼い時に犬に左腕を噛まれ左腕が不自由な小学生の愛は、父が失踪、母も亡くし、天涯孤独になる。愛は、父探しの旅に出る。愛の左側には犬や出逢った老人などと旅がいつも不自由な手のかわりに守っていてくれる。
装丁は児童書のようで、ストーリー自体はわかりやすい。なのに、不思議な読後感がある。銀行破綻が心配でタンス預金とか富裕層と困窮層がわかれて暮らす社会とか、現実的な部分と犬に噛まれて以来、犬の言葉がわかるなどファンタジー的な部分がなんともいえず心にひっかかる。
将来の日本がこういう社会になって欲しくない。
紙の本
透明な強さ
2002/05/31 18:47
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投稿者:na_oooo - この投稿者のレビュー一覧を見る
父親を探すために少女が、色々な体験をし、色々な人と出会いながら旅をしていく。旅の途中の何でもない場面の描写も、なんとなく切なさを感じさせるような、きれいで透明感のある一冊であった。
少女が主人公だけれど、「多感な年の少女が旅を通じて成長していく」というよりも、始めから終わりまで一貫して主人公の少女が変わらずに、まっすぐで強くて前に進もうとしてる。人間の汚く、しかしリアルな面をこれでもかと見せつけられても、決して汚れない、少女のまっすぐさが痛々しくさえ感じる。そしてそれが、この本の全体を切なくきれいにする。
紙の本
マジック・リアリズム
2002/05/23 15:04
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投稿者:青月堂 - この投稿者のレビュー一覧を見る
筆者は大の筒井ファンである。「東海道戦争」にぶったまげ、「関節話法」に笑い転げ、「時をかける少女」や「家族八景」に胸をときめかせた。しかし、そのあまりの影響力に、しばらく読むことから遠ざかっていた。
「愛のひだりがわ」を見つけたときも、しばしためらった。ためらった後に買うことにした。ジュブナイルだったからである。これなら影響も少ないだろう、という計算だ。
ハラハラドキドキの展開は、読んでいて楽しい。月岡愛ちゃんという、左手の不自由な女の子が主人公である。その左側をかばうように、いつも誰かが付いていてくれる。愛ちゃんに両親はいない。お父さんは家出して、お母さんは心労と過労で亡くなった。愛ちゃんは父親を探す旅に出る。その旅の先々で色々な試練に遭遇し、それを乗り越えることで成長する。というお話。
でも、その試練はほとんどが自分が招いたもの。試練を受けるためにも、自分から行動しなければならない。そして、この話に純粋な善人は出てこない。皆、どこか病んでいるようで、お互いに傷つけあう。そして成長する。傷つくことによってしか、人間は成長しないと言っているようだ。そしてラスト、キリストの受難を彷彿とさせる。愛の受難。これは近未来の設定。
紙の本
賢くて強い女の子へのエール
2002/04/28 19:35
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投稿者:梅矢 - この投稿者のレビュー一覧を見る
少女・愛は事故で身体が不自由になり、両親もいなくなってしまうという、自分ではどうしようもないハンディを負って、それまで暮らしていた萩町を捨てて旅に出た。旅の間にさまざまな事件に遭うが、荒れた街中にも彼女を助けてくれる味方がいて、最後には安心して勉強しながら暮らせる環境を手に入れたのはホッとした。
愛の他にも、賢いのに不幸な女の人が何人か登場するが、皆それまでの環境を捨てて、彼女自身の知恵を使って生きられる環境に移ることになる。愛から全財産を奪った男たちに力を合わせて復讐する計画はわくわくした。
ふりがながついているし、活字の組み方も読みやすい。特に、十歳以上の女の子と、かつて女の子であったすべての人にお勧めしたい。女の子を応援したい男の子・かつての男の子にも。
紙の本
集める人と捨てる人
2002/04/28 17:55
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
父を求めて旅する少女、愛は、<愛>を集める人だ。彼女の不自由なひだりがわを守ろうとしたのは、ダンやデンといった犬だけでなく、ご隠居と呼ばれる老人も空色の髪をした少年も、虐げられていたおばさんも、暴走族の美女リーダーも、そのほかたくさんの犬たちとたくさんの人たちが、彼女の周りに吸い寄せられるように集まる。それは、彼女がいつも<一生懸命>であるからだ。だから、人はそんな彼女に集まっていく。
その一方で、最後に愛が出会った父は<愛>を捨てる人だった。捨ててしまった彼は、実の娘にも卑屈になり、目すら合わせられない。<愛>を捨ててしまった可哀相な人は、この父親だけではない。きっと近未来として描かれたこの小説の日本という国が、<愛>を捨てた多くの人に充ちている。そこにあるのは、猜疑と暴力。この小説は、<愛>を集める少女と<愛>を捨てる多くの悲しい人たちをめぐる戦いの物語といえる。
紙の本
食わず嫌いに恰好の一冊
2002/02/15 14:45
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投稿者:Chintara - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公、愛の成長を描いた書き下ろし長編小説。
現実には起こりえないほど続けざまにふりかかる困難を、非現実的な力を支えに一つ一つ乗り越えていくという、ともすれば荒唐無稽なだけに終わりそうな話にもかかわらず、マジック・リアリズムの手法できれいにまとめている。
毒が薄いため、固定読者には物足りなさが残るだろうが、「グロテスク」などと筒井康隆の作品を敬遠しがちな人にとっては、その評価を見直すきっかけとなるであろう。
前著『わかもとの知恵』で紹介された知恵が、作中でいくつか実践されるのもほほえましい。
紙の本
違和感を感じました。
2002/07/12 00:11
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投稿者:淳一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公である片腕が不自由な少女の、冒険譚、なんだろうな一応。
さすがに大御所筒井センセイの小説だけあってプロットはピシッと筋が通って
いる。が、少々感じる違和感は、ジュブナイルをそうとは知らず読んでいたか
らだった、ということに、今、気が付いた。
… まぬけな話ではあるが、たしかにそう言われると活字も大きいし、ルビが
多い。しかしではジュブナイルということを念頭に置いて評価すると、内容は
かなりスパイスが効いたものになっている。オトナが読んでも、まあ、楽しめ
る。感動するほどではないが、ジュブナイルとしてはこのくらいの毒があった
ほうが適切かな?
紙の本
バランス
2002/04/17 17:59
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投稿者:よんひゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
筒井康隆が岩波書店? と思ったら、ジュブナイルなのであった。
清潔感のある美しい文章。漢字にはある程度ルビがあるので、小学校高学年くらいから読めるだろう。だが、使ってある言葉は子供向けに手加減したものではない。
もっとも子供向けと思われるのは、主人公が美しく、賢く、やさしく強い心を持っている少女だという点。近未来の日本と思われる荒れ果てた社会の描写が、妙にリアルなのだが、主人公の持つ不思議な能力など、ファンタジックな部分とのバランスを欠いていないのはさすがである。