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ルポ貧困大国アメリカ(岩波新書 新赤版)
  • みんなの評価 5つ星のうち 4.2 346件
  • あなたの評価 評価して"My本棚"に追加 評価ありがとうございます。×
  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2008.1
  • 出版社: 岩波書店
  • レーベル: 岩波新書 新赤版
  • サイズ:18cm/207p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-00-431112-6
  • 国内送料無料
新書

紙の本

ルポ貧困大国アメリカ (岩波新書 新赤版)

著者 堤 未果 (著)

【日本エッセイスト・クラブ賞(第56回)】【新書大賞(2009)】貧困層は最貧困層へ、中流の人々も尋常ならざるペースで貧困層へと転落していく。急激に進む社会の二極化の足元...

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ルポ貧困大国アメリカ (岩波新書 新赤版)

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商品説明

【日本エッセイスト・クラブ賞(第56回)】【新書大賞(2009)】貧困層は最貧困層へ、中流の人々も尋常ならざるペースで貧困層へと転落していく。急激に進む社会の二極化の足元で何が起きているのか。この流れに抵抗しようとする人々の「新しい戦略」とは何か。現状を報告する。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

堤 未果

略歴
〈堤未果〉東京生まれ。ニューヨーク市立大学大学院国際関係論学科修士号取得。ジャーナリスト。「報道が教えてくれないアメリカ弱者革命」で黒田清・日本ジャーナリスト会議新人賞受賞。

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みんなのレビュー346件

みんなの評価4.2

評価内訳

紙の本

社会問題

2016/11/16 18:41

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る

アメリカ寄りになっていく日本でこの本は他人事ではないと警告する。経済大国での深刻な貧困問題、医療、実質徴兵制度など様々な警告が身震いさせる。

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紙の本

自由の国アメリカ、その影の一面

2017/01/07 13:56

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:アルファ - この投稿者のレビュー一覧を見る

自由の国、世界一豊かな国……アメリカといえば、そういうイメージがある人が多いと思います。

しかし、その一方で、アメリカの国民の間には大きな格差があり、何億、何兆もの資産を持つ人がいるなかで、その日を生きるのもやっとな人々もいます。
この本は、そんな貧困に生きる人々の暮らしの実態をまとめています。
貧しい人が金儲けの道具にされること、肥満や家の購入と貧困との関係など、知らなかった貧困の姿が見えてくるはずです。

厚さはそれほどなく、内容も堅苦しくないので、抵抗なく読むことができます。
あまり貧困問題に興味がない人でも、読んでみることをおすすめします。読むことで世界を見る目が変わるでしょう。

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紙の本

名もなき兵士たち

2017/04/22 22:44

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:るるかん - この投稿者のレビュー一覧を見る

民営化によって責任の所在が曖昧になる…
この本を読んでオバマ元大統領のオバマケアがいかに国民を助ける政策だったのかがわかる。
憲法9条のしたで、自分がのほほんと生きていることに…がんばろう…

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紙の本

新自由主義のアメリカは反面教師である。

2008/02/07 19:12

29人中、20人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:越知 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 新自由主義の浸透によってアメリカで貧富の差が拡大し悲惨な状況が広がっていることはわりに知られてきているし、私自身もBK1書評でエーレンライク『ニッケル・アンド・ダイムド』を紹介したが、日本人にはやはり日本人ジャーナリストが書いた本のほうが分かりやすい。このたび岩波新書から格好の書物が出たので紹介しよう。
 本書のすぐれているところは、具体例を挙げて貧困の実態を分かりやすく提示すると同時に、データを示してアメリカの悲惨さがどれほどの広がりを持つかを有無を言わせず納得させてくれるところである。
 例えば、「貧困」の定義。4人家族で世帯年収2万ドル(220万円)以下なら「貧困」、そしてその家庭の子供が「貧困児童」、というアメリカ国勢調査局の定義を用いている。それによれば、2005年度の貧困児童率は実に17,6%、つまり児童の6人に1人が「貧困児童」ということになり、しかも2000年度に比べると実に11%も増えているのである。おまけに2006年度には6000万人のアメリカ国民が1日7ドル以下の収入で暮らしているのだ。この数値を見て異常だと思わない人がいるとしたら、それは「異常」という語彙と感覚を知らない人間だけだろう。
 それに対して、アメリカは移民の国であり、現在ならヒスパニックなど不法に流れ込んでくる人間が多いから貧困も当然だという見方もあるかも知れない。ところが不法移民が多いのはなぜかというと、実はこれが新自由主義のせいなのである。アメリカは一方で農産物の自由貿易を唱えながら、自国の農業には補助金を出している。このいわば二枚舌の政策によってメキシコ農民はアメリカから入ってくる安価な農作物に市場を奪われ、職を失い、やがて土地をも手放さなくてはならなくなる。挙げ句の果てにアメリカに密入国する羽目になるわけだ。ヒスパニックがアメリカに向かうのにはそれ相応の理由があるのである。
 しかも、そうして何とかアメリカで暮らすようになったとしても、アメリカの医療システムは金持ちだけのことを考えて作られているので、おちおち病気にもなれない。アメリカが先進国の中で唯一、国民全体をカヴァーする医療保険を持たない国であることは、先ごろ映画『シッコ』が公開されてよく知られるようになった。本書でもそこから生じる悲劇が紹介されている。共産主義キューバからやってきた家族の1歳の子供が医療保険がないために医者にかかれず死亡したという。キューバなら助かった子供が、アメリカに来たばっかりに助からなかったというわけだ。ちなみにアメリカの乳幼児死亡率は1000人中6,3人で、先進国中では第1位という不名誉な数値も挙げられている(日本は3,9人)。
 医療についてはこれ以外にも種々データが示され、いかにアメリカがこの面で後進国であるかが鮮明に浮かび上がってくる。例えば盲腸で手術を受けて入院すると、都会だと1日入院しただけで100万円以上、ニューヨークなら200万円以上とられるが、日本なら4、5日入院しても30万円を超えることはない。病院は株主の利益を上げることを第一に考えて運営されているため(これまた新自由主義イデオロギーの浸透のためだ)医療過誤も非常に多い。なおかつ医療保険は個人が自分の判断で加入することになっているので、貧乏人は加入できず、無保険者の数も増大している。現時点で4700万人もの無保険者がいるという。WHOが2000年に出した統計では、アメリカの医療サービスのレベルは世界で37位にすぎない(日本は10位)。超大国の内実がよく分かる数値であろう。
 こういう悲惨な現実を見れば、新自由主義とは何であるかは明らかだ。新自由主義アメリカの後追いを推奨するのは物事を考えない人間のやることである。悲惨さを自ら招来するような真似はただちにやめるべきだ。
 本書でも言われていることだが、医療と教育に関しては「民営化すればうまくいく」という理論は破綻している。健全な競争社会を作るためには、健康を守り、自分の能力を向上させる手段を平等に保たなければならないのである。そのためは、医療と教育は公的なシステムで行うことが前提となる。
 本書で惜しむらくは、最後のあたりで憲法9条を守れ式の左翼的なイデオロギーが出てくることだ。アメリカの軍隊に入った日本の若者を紹介する箇所でのことだが、赤木智弘くんの例(『若者を見殺しにする国』についての私のBK1書評を参照)を見れば分かるように、食いつめた人間は何だって考えるし何だってしかねないのである。平和を守るのは憲法の条項やお説教ではない。厚みのある中流階層を基盤とした、最低限の医療保障や教育保証のある社会こそが、長期的に見て平和を保つのに寄与するのである。左翼の人たちにはそのことを肝に銘じてもらいたいものだ。
 ちなみに、新自由主義者とは対極にある立派な日本経済人のあり方が、以下のサイトで紹介されている。足立誠之氏の「ある日本人が西半球で投じた一石」であるが、「自分さえよければ」という醜悪な新自由主義者とはさっさと縁を切り、このような立派な経済人をめざせ、と日本の若者には言いたい。
http://www.nishiokanji.jp/blog/

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紙の本

内容に疑義あり!ただの思い込みと事実を混ぜるな!危険!!

2008/03/06 15:39

42人中、24人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る

反米本である。アメリカが嫌いで憎くて仕方なくて「なんとかあの憎い憎いアメリカの欠点を突き止めてぎゃふんといわせてやろう」と思っている人たちのために、事実を都合よく切り取りつつ、さも「アメリカをこの目で取材してきました。事実をありのままに報告します」というスタンスを取りながら、その実、極めて偏った、歪んだアメリカ像(というより、自らの思い込みを投射したバーチャルな堤流アメリカ像)を描いた、まあ、とんでもない本である。

例えば冒頭の13ページに「福祉政策重視だったニクソン大統領と対照的にレーガン大統領は効率重視の新自由主義政策を次々と打ち出し、アメリカの中流階級の基盤は大きく揺らぐこととなる」などという事実誤認というより、もう「真っ赤なうそ」がぬけぬけと書いてある。私はこれを見て「この本は読むに値しないクソ本だ」と確信してしまった。なぜならアメリカの中流家庭が崩壊したのは、レーガンの登場が原因ではなく、ケネディ・ジョンソン政権が推進したベトナム戦争が原因だからだ。世界のGDPの50%以上を占め、空前の繁栄の真っ只中にいたアメリカは、それこそ向かうところ敵無しであって、ベトナム戦争(もとはと言えばフランスが始めた植民地回復戦争)にのめりこんで膨大な戦費を費やし、莫大な財政赤字を抱えるようになる。これがインフレを引き起こす。当時の世界経済はブレトンウッズ体制といって固定相場制だったから、世界の通貨体制の中核にいたアメリカでインフレが起きると、それはストレートにアメリカ製品の値上げ、アメリカ人賃金の値上げを意味した。こうして莫大な貿易黒字を計上し続けていたアメリカの輸出産業は急速に国際競争力を失い、アメリカの産業の空洞化がはじまる。生き残りを模索するアメリカ企業は工場の海外移転を大規模に展開する一方、国内賃金の抑制を図った。そのため、それまでは一家に稼ぎ手は一人が当たり前で、女性は専業主婦が当然だったアメリカで共稼ぎでなければ生活できないという状況が出てくる。これすべてジョンソン政権下で始まったことである。これに追い討ちをかけたのがオイルショックだ。米国のインフレは極度に悪化する一方、米国産業の花形だった自動車産業が大打撃を受け、アメリカは行き詰ってしまうのである。これには安い円と高い品質を武器に彗星のごとく登場した日本の挑戦も大きな役割を果たしたことを付記しておこう。米国はいまでもそうだが税金が非常に安い。その中で福祉を充実させようとすれば財政が破綻してインフレが起きる。それは嫌だからと登場したのがレーガンであり、彼の掲げた新自由主義なのである。本書に書いてあることは事実の順番が完全に逆転しているのだ。

英国でも同じことだ。「ゆりかごから墓場まで」という福祉国家を掲げて登場した戦後の英国労働党内閣の福祉政策や産業政策は完全に破綻した。国営企業の行き詰まりと莫大な赤字、高失業とインフレでにっちもさっちも行かなくなってサッチャーが登場し、国民に苦い薬を飲ませることを決意し、英国は復活を遂げたのである。

本書では「新自由主義」が目の敵にされれている。諸悪の根源は「自由主義」「民営化」であり、「公」こそが救世主であるかのごとく語られている。じゃあ、大きな政府にして公の組織が教育にしても医療にしても引き受ければ全て上手くいくのか。上手くいかないというのが我々が経験を通じて学んできたことではないのか。英国の公的医療システム(NHS)の現状が如何に悲惨なものかは緑ゆうこ『イギリス人は理想がお好き』に書いてあるし、極左暴力集団に乗っ取られた労働組合支配のもと日々52億円の赤字を垂れ流し続けていた国鉄が、民営化で如何に素晴らしい企業になったかは山之内秀一郎『JRはなぜ変われたか』に克明に書いてある通りだ。人間と言うものは度し難い存在であって、自分で汗して得た金は後生大事に抱え込むが、他人からもらった金は「どうせ他人のカネ」ということでゴミ同然に乱費する癖があるものなのである。米国人が増税と大きな政府、公的機関を嫌悪するのは、人間のこのダークな一面に注目するからであって、それは理由のないことではないのである。

そもそも米国の大統領は米国民の多数の支持を得て選ばれている。そんなに新自由主義が悪いなら、そんなに多数の米国民がこの悪政で虐げられているのなら、とっくの昔に大統領は落選し、高福祉高負担政策を掲げる政権が登場しているはずである。しかし事実は逆で、米国民は終始一貫して大きな政府を拒否し続けているのである。この理由は何かにスポットを当てないと片手落ちであろう。

そして、そんなに米国がひどい国で、移民は差別され苦しんでいるならとっとと祖国に戻るか別の国に行くかするはずなのに、「アメリカ人になりさえすれば道は開けるんです」(59ページ)とメキシコ人が言う理由は何なのかをもっと考えるべきだろう。

アメリカからの安価なとうもろこしの流入でメキシコ農民の生活基盤が崩壊したのが移民増大の理由だなどと書いてあるが、関税引き下げの遙か前からメキシコ人は祖国を捨てアメリカに向かっていたことを意図してなのか本書は書いていない。そして農業含む関税引き下げを条件にメキシコはNAFTAに加盟することが出来、その結果、米国、日本、欧州の企業が陸続とメキシコに進出し膨大な雇用機会を創出し、メキシコ人の生活水準が大幅に上昇したことも書かないと片手落ちだろう。メリットのほうがデメリットより遙かに大きいからこそ、メキシコ政府はNAFTA入りを決断したのである。

新自由主義は一部の金持ちだけ潤す「搾取の手段」なのか。バカも休み休み言え。中国の山奥で今まで誰も見向きもしなかった「マツタケ」が莫大な金額で取引され、山奥の僻地に「マツタケ御殿」が林立していることも書かないと、私はフェアな議論ではないと信じる。

農産品に輸出補助金をつけているのは米国よりもEUのほうが遙かに多いことも知っておいて損はない。

154ページには左がかった人たち御用達の「劣化ウラン弾」話も登場する。

この手の本は、昔から日本では良く売れている。小田実、本多勝一など「週刊金曜日」に関係している連中の系譜がそれだが、こうした「運動」に参加している人が読むのは勝手だし止めないが、一般の学生、それもまだアメリカに行ったこともないし住んだこともない「無垢」な人たちは「読んではいけない本」であると断定して良いだろう。

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紙の本

ルポルタージュ的マーケティングリサーチ

2008/03/08 16:02

12人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kc1027 - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書で読む内容と、最近のメディアによく出てくる「米大統領候補者の
演説に熱狂する人々」の映像がどうもしっくりこない。大変な状況に
なっているから選挙が熱狂的になるのか、それともメディアによって
何かが覆い隠されているのか、きっとコトの真相はその中間あたり
だろうとは思うけれど、本書のホラー的なインパクトは、既存の大手
メディアが発信する情報に、だいぶモレがあるということなのだろう。

本書がなぜホラー的に感じるのか、それは「苦痛に晒されるカラダ」が
随所にあるためだ。逆らい得ないものを前に、悲鳴を上げる体。
高度に発達した資本主義社会では、恐怖の源泉も表情のない金銭が入り
組むことで見えにくくなり、降りかかる脅威はテロリストだけではない。
正体の見えない恐怖は偏在し、武器を持たない小市民は脅えるしかない。
意図せぬきっかけで、いつの間にやら貧困のサイクルに入ってしまった
市民は、これまたいつの間にやら自分自身が商品となって「現場」に
派遣され、消費される。カフカの悪夢がここにある。

著者はあとがきで、危機が訪れたときに真っ先に気をつけるべきことは
「ジャーナリズム」を殺さないことだという。何が起きているのかを知る
こと、現場や市場(あるいは戦場)で起きていることの底辺を掬うこと、
それは資本主義社会の基本戦略であるマーケティングの第一歩でもある。
既存のメディアさえも資本の論理に組み込まれた現代において(何しろ
大手メディア企業の方はたいがい裕福だし)、切実な声を持って真相を語る
ことが出来るのは、生活という現場に身を置く人間であり、戦争という
生活を生きる市民だ。

今の世界システムの中で「よりましな生活」の実現を夢見るなら、本書を
ただのルポとしてより、マーケティングリサーチのひとつとして読みたい。
世の中どうやら経済の操縦だけではどうにもならずに、季節はめぐって
政治の季節になっているようだが、アメリカでも日本でも、選挙なんて
待っていられない。本書の終章が提示するように、市民は五感でカラダと
相談しながら日々の購買という投票行動でもって企業組織に意思表示し、
持てるモノたちが机上で計算するマーケティング戦略に揺さぶりを掛ける
しかない。それが、なんでも市場に組み込まれる21世紀に生きるわたし
たちの流儀なのだ。

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紙の本

極端な民営化の果てにアメリカが陥った惨状を曇りない眼でレポート

2008/03/17 13:28

12人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ブルース - この投稿者のレビュー一覧を見る

私が生まれた1950年代は、アメリカは憧れの国であった。テレビのスイッチをつけると、「ウチのママは世界一」「パパは何でも知っている」などといった明るいアメリカのホームドラマが放送されていた。そこには、頼りがいのある一家の主人、優しく賢明な妻、素直なこどもたち、芝生のある大きな白い家・・・などが映し出されていた。敗戦に打ちひしがれていた当時の日本にとって、そのようなアメリカの姿は理想郷そのものであった。
本書は、そうしたアメリカの半世紀後の現状を曇りない眼で伝える衝撃的なレポートである。この書を読むと、アメリカが、かって憧れの国であったことが想像するのが難しい程の状況に陥っていることが分かり慄然とさせられる。

著者は、まず、2005年にアメリカ国内で飢餓状態を経験した人が3510万人(全人口の12%)もいるという驚くべき事実を明らかにしたうえで、病気に罹り入院を余儀なくされた中間層が世界一高い医療費によって次々と破産していることや、学資ローンの返済に行き詰まった学生たちを経済的に援助することで巧妙な経済的な徴兵が行われていることや、民間の派遣会社に雇用された貧困層が明日の糧を得るためにイラク戦争に行くことを余儀なくされ生命や健康の危機に晒されている現状、などを次々に明らかにしている。

著者は、アメリカがこのような事態に陥ったのは、見境の無い新自由主義政策の導入にあるとしている。導入当初は、行政が担ってきた業務の無駄を省き効率的な運用が期待されていた新自由主義だが、利潤追求を第一義的に進めるあまり利潤に合わないものは切り捨てられることになり、数々の弊害が生じることが明らかになっている。そして、最大の問題は、「教育」「暮らし」「いのち」という行政が責任をもって行うべき分野が民営化され、その恩恵に与れる人とそうでない人に二極化され、取り残された人たちは益々下層化する途しか残されていないという点にあると著者は明確に指摘している。

本書を読むとまことに暗澹たる気分にさせられるが、アメリカが陥っている現状は決して対岸の火事ではなく、我が国も無関係ではないことは明らかである。昨今、我が国で大きな問題となっている救急医療態勢の不備や、医師不足で病院の閉鎖が相次いでいること、正社員の途を閉ざされワーキングプアに陥った若者たちのことなどの社会問題は、アメリカ流の新自由主義政策の導入に端を発していると言っても過言ではない。このまま行けば、我が国もアメリカの二の舞になることは火を見るよりも明らかである。そうならない為にも、私たちは著者の勇気ある警告に謙虚に耳を傾けるべきであろう。

最後に、本書の第4章「出口をふさがれる若者たち」から、インタビューイの印象的な言葉を引用しておこう。
『仕事の意味とは、ただ生活費を稼ぐ手段ではないのです。若者たちが誇りをもって、社会の役に立っているという充実感を感じながら自己承認を得て堂々と生きられる。それが働くことの意味であり・・・将来に希望をもてる若者を育ててゆくことで、国は初めて豊かになっていくのです。』

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紙の本

ルポによって新自由主義がもたらす負の側面をわかりやすく示す

2008/03/19 14:08

12人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:( ^ω^)おっおっおっ - この投稿者のレビュー一覧を見る

具体的な例をあげることによってわかりやすく新自由主義の負を側面を描き出した力作。新自由主義批判、金融資本主義批判の本は、他にも出ているようだけど、この本は経済学者が書いたようなものとはちがって、実際に新自由主義政策によるしわよせを食らっている人の具体例を示しながら、それを説明している感じだ。とてもわかりやすく、怖さが書かれている。そういう主張の本だとわかって読むぶんにはとても良い本だと思う。
これ以下は自分の勝手な意見だが、さらに絶望的だと思うのは、この流れを止めるための方法がほぼなくて(この本ではビリー牧師の例をあげてかしこい消費者になること-「浪費するアメリカ人」という本がお勧めです-や、メディアの責任の重さ-「デモクラシー・ナウジャパンに動画があるジョン・ピルジャーの講演」がお勧め-を挙げているが)、結局は新自由主義の波に日本もこれまで以上に呑み込まれていくだろうと感じることだ。
そうなる理由は、誰もがこの仕組みを知ることはないこと。一部の人間がこっちに進むとやばいことになると認識していても、選挙では少数派でしかなく、結局メディアの影響によって新自由主義を推し進める側が勝ってしまうこと。グローバル経済の仕組みから逃れる方法が現時点で見つかっていないこと、をあげてみる。
アメリカにしても、貧困層が増え不満が高まっていても、その不満・怒りは政権を民主党に与える程度のことで、アメリカ国民の生活は、実際にはそれほどよくならないだろう。民主党でさえも、いわゆる大企業の呪縛からは逃れられない仕組みになっているだろう。あえて強引にやろうとしても大統領がなぜか死ぬとか・・・(「エコノミック・ヒットマン←専門は国外だけど」なんてのがいるぐらいだし!)。それにどこの国でも言えることだが、大衆は無知だ(自分も例外ではなく-後から色々読んで知ることが多い。事後にわかる)。アメリカじゃ、なんせ国民皆保険制度と言うと共産主義者だと言われ批判されると聞く。スポーツやバラエティ番組、ファーストフードやスナック菓子漬けにして貧困層(大衆)は洗脳され、教育を与える機会を減らされ、考えることをやめさせられる。あとはこの本にも書かれていた新兵のように都合のよい情報を与えられそれに従わせるのみだ。まさに飼育だ。人間牧場だ。
さらに絶望的なのは、さっきも書いたようにグローバル経済から逃れる方法が未だに見つかっていないことだ。新自由主義経済が進んだあとの悲惨さ、それに対する批判は結構色んな場所で指摘されていて、見ててそれなりに説得力はあって怖いと思うが、その代案がない・・・。グローバル経済に代わるものが発明されてない!
高負担高福祉社会を目指すにしても、大企業がスポンサーになって高給を得ている人間の集合体であるマスコミはわざわざそれに抗わないし、抗えないだろう。提灯記事、ネガティブキャンペーンによって大衆は操作されるだろう。完全に詰んでいる。\(^o^)/オワタ
こういう情報を得て、少しでもそれに抗う声を上げる人間が出てくるからいいじゃないかという主張もあるだろうが、それにすらあえて絶望感を持っている。結局爆発するところまで、静かにそして巧妙に追い詰められるのだろう。爆発が何十年後に来るかは知らないが・・・。怒りのガス抜きのやり方も巧妙化してるから爆発すら起こらないようにコントロールされるかもしれないけど・・・

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紙の本

アメリカの裏側

2008/03/26 11:26

11人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:カッツー - この投稿者のレビュー一覧を見る

 アメリカの現状がよく伝えられていて驚きだ。アメリカ国内がこんなにひどいとは思わなかった。大リーグで活躍する日本人やアメリカ大統領選挙のことは連日報道されていることと対象的だ。加工されたニュースをどんなに眺めても駄目だというのが分かる。アメリカの大企業は儲かる仕組みを自在に作り出しながら、下層民は収奪されていく。アメリカの圧力で日本もアメリカと同じ運命をたどろうとしているのか。他の書評にもあったが、どうすれば、この状態を避けられるのか。処方がほしい。

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紙の本

アメリカはまさに貧困大国、日本も?

2008/04/19 01:09

16人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:りっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 著者は堤未果さん。川田龍平さんのパートナーになられた方です。ご聡明な方ですね。
 プロローグでは、サブプライムローンがやはり2重の詐欺であったことが語られています。
 「その利率は一般のプライム(優良顧客)と比べ非常に高く、最初の二、三年は利子が低いがその期間を過ぎると急激に一〇~一五%に跳ね上がる」。
 セールスマンの口上は、「あなた方が国境を越えてやってきたアメリカという国は、不可能を可能にする場所なんですよ」。さらに、「住宅価格は上がり続けますから」
 「アメリカの住宅ブームが勢いを失い始めた時、業者が新たに目をつけたターゲットは国内に増え続ける不法移民と低所得層だった。自己破産歴を持つ者やクレジットカードが作れない彼らでも住宅ローンを組めるという触れこみで顧客をつかむやり方だ。
 ・・・英語のできないヒスパニック系には、あまりきちんと説明をせずに契約させるケースが非常に多く、利率も同じ所得層の白人と比べもともと三割から四割高だったという」。
 「この債権を担保としたサブプライム担保証券は一般の住宅ローンを担保にした証券よりリスクは高いものの金利自体が高いために利回りが大きく、ヘッジファンドや銀行が飛びついた」。
 まぁね、金融業界が飛びついたのはアホとしか言いようがない。そのあおりを食らう日本って、いい“かも”だわね。結局不動産屋は儲けたわけだ。リスクを上手に回避して・・・しかし、空き家がもったいないなぁ。ずらりだもの。もやいの事務局長湯浅氏が「貧困ビジネス」と呼んだそうだけれど、貧乏人からカネをふんだくって、借金だらけにさせて、セールスマンの心は痛まないのだろうか。いや、彼自身も追い立てられているのだろう。ノルマを果たせなければ自分が喰えなくなる。貧すれば鈍する。心も貧しくなる。まさに貧困大国。
 『まるでハゲタカです。・・・こういう人たちの個人情報が金融機関に出回っているんです。それを見ながら地図上に印をつければ「カモ」の分布図ができあがる。金融機関の営業マンたちはそれを見てピンポイントで勧誘に回るというわけです』
 「貧しいために大学に行きたくても行けない、または卒業したものの学資ローンの返済に圧迫される若者たちや、健康保険がないために医者にかかれない人々、失業し生活苦から消費者金融に手を出した多重債務者、強化され続ける移民法を恐れる不法移民たち……こうした人たちが今、・・・束の間の「夢を見せられ」、暴走した市場原理に引きずり込まれているのだ。」
 未果さんの文章は、詳細なデータと、的確な分析、そして生の声。この3点セットで問題を追っていく。だから、わかりやすいし、納得できる。
 なぜ貧困児童に肥満児が多いのか・・・なんと、校内にジュースやファーストフードの自販機があるのだ。「無料ー割引給食プログラム」という制度はあるのだけれど、予算削減のため、人件費を削減し、調理器具も整えず、メニューがジャンクフードのオンパレードとなる。マクドナルドやピザハットなどの大手ファーストフード企業と契約する学校も増えているそうだ。
 アメリカ国内の飢餓人口・・・「2006年度に全米でフードスタンプを受給したアメリカ人は2619万5449人で、2000年から5年間に930万人増加している。」 『イラクや北朝鮮で非常な独裁者が国民を飢えさせていると大統領は言いますが、あなたの国の国民を飢えさせてるのは一体誰なの?と聞きたいです』
 人災だったハリケーン・カトリーナ・・・単なる人災と言うよりも、大量殺人という印象だねぇ。『移民対策』としてカトリーナの被害者が増えるようにしたとしか思えない。さらに、私が知ることのできかったその後では、「二〇〇七年の時点の報告では、たとえばニューオーリンズ市の四六万人の住民はうち半数以下しか帰還しておらず、住民の六〇%は今も電気が使えず、病院は半数が閉鎖したままで、再開した託児所は被災前の二三%。緊急支援と瓦礫除去費用に数十億ドルが費やされたと発表されているにもかかわらず、ニーオーリンズの町には洪水時に出た瓦礫の三分の一が二〇〇七年現在もまだ放置されたままだ。
 ブッシュ政権が民間企業の一つであるバリバートン社の子会社、ケロッグ・ブラウン&ルート社に委託した復興予算の五億ドルは一体どこにいってしまったのだろう?」
 旅費もなく、援助も打ち切られた避難民。「人影の消えた瓦礫だらけの居住区では、昔からあった低所得者用の公共団地が取り壊され、高級コンドミニアム群とショッピングモールが建設された。」被災地再生計画は怒りの声をあげる避難民の間で「民族浄化計画」と呼ばれている。」
 アメリカ国内の格差問題を追っていくと行き着く先は軍隊。そのシステムが見事すぎて怖い。その軍も民営化されて、世界の格差問題にもつながっている。
 日本もすでにアメリカ並になりつつある。なんとかならないか。そのキーワードは、やはり日本の憲法第9条にあると思う。
 「何が起きているかを正確に伝えるはずのメディアが口をつぐんでいるならば、表現の自由が侵されているその状態におかしいと声を上げ、健全なメディアを育て直す、それもまた私たち国民の責任なのだ。人間が「いのち」ではなく「商品」として扱われるのであれば、奪われた日本国憲法二五条を取り戻すまで、声を上げ続けなければならない。」
 9/11以降のアメリカのマスメディアの動向を見て、自身がジャーナリストになることを決意されたそうだ。その選択に拍手を送ります。

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新自由主義批判で何が生まれるか

2008/06/29 22:07

28人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書から、アメリカが貧困に喘ぐ人々がいかに多いかは明らかである。しかし、本書および一部評者には論理の飛躍がある。アメリカに貧困が多いのは事実だが、だからと言っていわゆる新自由主義を否定して日本が別の道を歩めばそれで済む・・などと単純な話ではない。
 そもそもアメリカは何故に新自由主義の舵を取ったのか。それはアメリカという国家がそもそも歴史が浅く、巨額の金が稼げる夢をちらつかせる以外、国家としてまとめあげることができなかったからである。大リーグをはじめ、研究者もそうだが、人より優れた業績をのこした者には、世界の対づ意を許さないくらいの巨額の金が手に入る。だからこそ、インド人や中国人もシリコンバレーに集うのである。日本の発光ダイオードの中村教授も金に釣られたことは自明である。島図製作所の田中さんの様な素晴らしい技術者は稀有極まる存在である。松井もイチローも金に釣られた。美談を言えばいえるが、やはり3億から100億になればそれは移籍する大きな原動力になったはずだし、FAについて詳しい友人の弁護士の話を聞くと、もう野球など見る気しなくなる。
 何が言いたいかというと、新自由主義をアメリカが採る以上、競争相手としては新自由主義に背を向けては勝てないということである(だからといって米国を模範にせよなどとは話が違う)。現にプロ野球は大リーグに負け、いま、技術者の流出が始まり、就職戦線では一番優秀な東大生や早慶の首席クラスはGSなどに流れている。もはやあこがれの職場は官界ではなく外資証券の時代である。そりゃ、年棒7000万などと聞いたら無理もない。
 で、負けるとどうなるか。日本は特に資源もないので、企業が国際競争に負ければそれだけで雇用がなくなり、やがては円が安くなり食料も資源も買えなくなる。当然、社会保障など瓦解する。
 そうすると必ずある反論が、「ノルウェーやスウェーデンはうまくやっているではないか」というもの。しかし、まずノルウエーは石油資源が輸出の4割近くを占める大資源国家であり、それを貯蓄して将来に備えている国なのである。また、スウェーデンは給料の60%を税金で持ってかれる。消費税は25%。また、治安対策への費用が賄えず、国内は犯罪があふれ返っている。日本の数倍の犯罪率というのは知られざる真の姿なのだ。そしてもちろん優秀な人材は次々国を出ており、早晩この体制は崩れる日が来る。高福祉政策の国が良いことばかりというのは、左翼が大好きな大ウソであり、事実は甘いものではない。フィンランドはいくらかマシだが、事情は同じだ。
 アメリカへの理解も平等とは言えない。移民が貧困だなどというが、構造的差別が残るフランスなどよりよほど懐が広いし、多くの移民や政治難民にとってもアメリカは希望の星なのである。日本はそんな懐の広さは持ち合わせていない。ヒスパニックや黒人、中国人など幅広く受け入れた結果、貧富の差が生じるのは当然ではないか。しかも、彼らは働きモノばかりではない。
 そして、そもそもイギリスがかつて教育やら福祉やらで大失敗した結果、舵を大きくアメリカ寄りに切り、大復活を遂げたのである。
 要は、新自由主義を批判してノルウエーになれば全部解決なんてことは絶対ない。逆に、新自由主義というのは今を生きる個人一人一人にとっては実に苦しい体制である。競争に負けたら最後、競争に参加しなければそれなりの生活しかできない。下手をすれば野垂れ死にである。日本では甘アマだが、一流大学に行かなければその時点で大体未来が見えてしまうというのも辛いものだ。そうして国民を常に走らせ、経済を潤滑するのが要するに新自由主義の行き着くところである。だが、そうした資本主義に共産主義が絶対勝てないことは、怠けという人間の性質からして、歴史も証明している。
 貧困が日本で生まれていることは事実だが、例えば、派遣というシステムを企業から単純に奪えばどうなるか。実は、派遣というのは労働市場の新自由主義であり、もし派遣がなくなれば日本の労働者はその市場を中国やらベトナムに盗られて終わりである。
 本書もそうだが、新自由主義批判はいいが、どうも動機がアメリカ嫌いに由来している者が多すぎる。アメリカは一つの成功例であり、日本は学ぶところはこれからも学ぶしかない。法律の世界では事前規制から事後規制の流れに大きく変わってきているが、これもアメリカ式である。今でもアメリカは自由経済の盟主であり、貿易で生きる日本にとってWTOを牛耳るアメリカが内向き経済になっては困るのである。日本だって車を売って随分貿易黒字を稼がせてもらっている。これだってアメリカ式新自由主義の購買力の高さによるものであろう。
 現実からすれば、新自由主義を批判しても何も生まれない。まず問いたいが、成長しなければ高福祉なんて不可能である。では、新自由主義に背を向けて成長できるか。税収が増えるか。貿易黒字が増えるか。東証に金が流れ込むか。大きな政府にして無駄が無くせるか。すべての答えはNOである。新自由主義に軸足を置きつつ、内需喚起をしなければ日本は立ちゆくまい。日本の究極的な課題はイデオロギーよりなにより金を貯めこむが使わない故に不審な内需である。逆に潜在的内需は日本の大きなポテンシャルの一つだ。
 反米材料を探している人には本書はおあつらえむきである。だが、アメリカを悪者にしても何も生まれないことを知っている人にはお薦めできない。フィンランドにもアメリカにもイギリスにもそれぞれ問題はあり、長所もあるのだから。

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紙の本

もう少し手を入れればもっと良い書になったと思う

2008/11/08 08:49

8人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る

【刮目すべきところ】
(1)貧困が肥満を生み出すからくりを、事例をもとに説得力もって描いている点。
 アメリカに肥満体の人が多いのは高カロリーの食事を無批判に食べている人が多いから、という単純な話ではなく、経済的条件によって高カロリーの食事をとらざるをえない一定階層が生み出されているという構造を浮き彫りにしている点は大変興味深く読みました。

(2)貧困層の若者を狙い撃ちにした軍隊への勧誘活動のおぞましき実態を明らかにしている点。
 国家による大規模な詐欺行為がまかり通っているアメリカの実態は恐怖に満ちたものです。またそうした詐欺行為に対して貧困層があまりにも無力であることにやりきれなさを感じました。

【読む上で注意が必要なところ】
(1)構成にムリがあったり舌足らずだったりする点。
 58頁で貧困層の子弟が高校を卒業したら軍隊に入るというくだりがありますが、なぜそういう選択になるのかが、アメリカ社会の仕組みが分からない読者には不明だと思いました。ようやく100頁を超えたところで、軍へ入ることで学費免除が得られ、市民権取得に有利な場合があるようだということが言及されます。ここは構成を逆にしなければ、理解が進まないと思います。
 なぜこういう分かりにくい構成になっているのでしょう。本書が別々の媒体で発表された論考の寄せ集めであることが一因ではないでしょうか。一冊にまとめる上で加筆修正したとありますが、十分ではなかったと思います。

(2)行政サービスの民営化に反対する上で必ずしもアメリカの貧困が好材料とはいえない点。
 日本の過去30年の経済史を振り返っても行政サービスの民営化によって効率化・低価格化が進んだ事例はいくつもあります。本書は盛んに民営化の弊害について触れていますが、それは是々非々でやるべきことであって、何が何でも民営化反対という論調には必ずしも賛成できませんでした。

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紙の本

なぜ教育や医療は国が行うべきなのか

2009/08/17 12:53

8人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:るーく - この投稿者のレビュー一覧を見る

災害対策、教育、医療が民営化され、格差が広がり貧困層が増加、固定化していくアメリカ。
貧困層の行きつく先の一つとして戦場(兵士としてであれ、民間人としてであれ)が挙げられている。

筆者は教育や医療は国が行うべきものであることを前提としているが、なぜ教育や医療は国が行うべきなのだろうか。
なにをバカなことをと笑う人もいるかもしれない。
教育や医療は国が行うべきであることは当たり前ではないかと笑う人もいるかもしれない。
でも、それが当たり前ではないから、民営化するべきだと考える人がおり、実際に民営化されて(されそうになって)いるのではないだろうか。

民営化するとアメリカのように悲惨な結果になるから民営化してはいけないのだろうか。
私はそうではないと思う。
結果が悪いからではなくて、もっと根本的な理由があると思う。

根本的な理由を考えていないから、根本的な理由について理解がないから、根本的な理由について社会的合意がなされていないから、ぶれが生じ、隙間につけこむ輩が現われ、隙間に転げ落ちる人が出てくるのだと思う。

筆者はこの根本的な理由が日本国憲法25条にあると考えているようだ。
ただ、その論証が弱い。ないに等しい。
そこが一番大事なところのはずなのに。
それとも、読者一人一人に何が問題の出発点なのか、何が根本的な問題なのか、それについて疑問を抱き、それぞれに考えて欲しくて、敢えて書いていないのだろうか。

私は教育や医療を国が行うべき理由は憲法25条ではなく、憲法13条の問題だと思う。

日本国憲法第13条には、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と書かれている。
一方、日本国憲法第25条1項には、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と書かれている。

人は感情を持つ生き物だ。
それぞれが感情を持ち、全ての人の感情と全ての人が感情を持つことは尊重されなければならない。
例えば、奴隷制度が許されないのは、人を道具として扱い、道具とされた人の感情とその人が感情を持つことを無視するからではないだろうか。

自分の感情や人の感情を尊重する生き方、それは人格的に生きることだ。
感情は学習することで深化する。
より人格的に生きるために、学習、教育が必要なのではないだろうか。

生存が脅かされると、生きることに精一杯で、それ以外のことに関心をもったり、感情を持ったりすることが困難になる。
生存が脅かされる状況では、人は人格的に生きることができない。
だから、医療や福祉によって安心して暮らせることが人格的生存に必要なのではないだろうか。

そして、人格的に生きることは個人的な問題ではなく、国民全体の(そして人類全体の)問題であるから、人格的生存に必要な教育や医療は国が行うべきなのではないだろうか。

憲法25条に書かれてる健康で文化的な最低限度の生活は、その生活が目的なのではなく、手段だと私は思う。
だから、私は教育や医療を国が行うべき理由は憲法25条ではなく、憲法13条の問題だと考える。

貧困ビジネスや戦場ビジネス(この本に書かれている貧困層をターゲットにした軍事関連のビジネスを総称する私の造語。)が許しがたいと感じるのは、ビジネスの主体が人を金儲けの道具として扱っているからではないだろうか。
金儲けが許しがたいのではない。
人を道具としているところが最低なのだ。

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2009/01/29 11:07

投稿元:ブクログ

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2009/12/20 23:33

投稿元:ブクログ

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