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社会という神話。もう一度見つめ直すべき神話。
2011/11/21 18:45
18人中、18人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書をギリシアやローマ神話、日本の神話の解説&紹介本と思って手にした方はまるきりお門違いの本に出会ってしまった残念さよりも遥かにおおきい感動と発見と体験をするに違いない。
神話の持つ力、というより神話が存在し続ける意味を私たちの多くは知らない。
いったい世の中にどれだけ今の自分に満足している人間がいるだろう?
己に与えられたフィールドを出来る限り隅々まで駆け巡り、意思の赴くままに走り続ける。そんな素晴らしい人生をいきている人間がどれほどいることだろう??
仕事に恋愛。結婚にご近所付き合い。あらゆることに制約と遠慮と我慢を重ね、当たり障りの無い範疇で消化不良の日々をおくっている殆ど多くの現代人に向けて、人は誰もが己の中の永遠性に気がついていないだけであるということを、神の具現であるという素晴らしい生そのものを消化すべきであると教えてくれる。
とはいえ、ここでいう神はいわゆる宗教的な「神様」ではない。というのも著者キャンベル氏自身が宗教家でも、勿論クリスチャンでもなく、彼の言葉はそういった限定的な存在や思想を超えたもの、時間や場所や人間そのものを遥かに超越した存在、永遠性そのものを神と言っているのだろうから。
二人の知識人の対談によって語られるその多くは世界各国の神話と宗教の普遍性や共通項、そしてその神髄にある物の永遠性について・・・つまり生と死の永遠のサイクル、人間を含めあらゆる生が営み続けてきた永遠のサイクルとそれが「経験」によってのみ認識することが出来る、ということであった。
まず著者であるジョーゼフ・キャンベル氏について。
クリスチャンとして生まれ育ったにもかかわらず幼少期に遭遇したネイティブアメリカンの文化に感動し、青年期にはアジアの宗教/文化に触れることでヒンドゥーとインドの思想に感銘を受け、クリスチャンをやめている。とはいえ彼は宗教を否定しているのではない。もっと大きな普遍的な共通項…かけ離れた文化同士にそっくりの神話を見いだすことに情熱をもったのである。
そんな彼が本書で語る現代の神話は非常に実直で興味深い。例えばジョンレノンの暗殺、スターウォーズの英雄としての神話。大統領の演説。芸術家やアスリート(そして彼自身もアスリートとして記録保持者である)の絶頂の瞬間etc…さらにはそうした「特別」な人でなくとも、誰もが自分を形作る永遠の流れに気がつきさえすれば神話に、神に触れることが出来るのだと訴えているのである。
宗教を持っている人も、無宗教を語る人も、神話や伝説に文学的な興味しか持たない人も、一度まっさらな状態になってこういう開かれた知識に触れてみてはいかがだろうか。
いや、社会の中で生きていく我々現代社会人だからこそ、神話的儀式がいかに重要であるか認識すべきなのだろう。
人として社会の中で生きていくために、人は己の願望や可能性を犠牲にして役を演じる。古い殻を捨て新しい役のために一度「死」んで「再生」し、そうした社会的地位に対して人は敬意を払うとキャンベルは語る。結婚すれば夫や妻に、子供は父母に、生徒は教師に、平社員は上司に、国民は大統領に、患者は医者にetc…。社会的地位を獲得するために(面倒くさいお役所仕事と嫌な顔をする人が多いけれども)我々は社会的、そして神話的儀式を行う。婚姻届、任命式や就名式、入社(学)式に成人式…個々の事情から切り離され演じられるその「役職に対して」私たちは敬意をもっと払うべきではないだろうか。
社会は我々を導くものでなくてはならないと氏は繰り返し語っている。
より良い社会を作ろうというスローガンを良く目にするけれども、こういう社会を作る、という考え方こそがおこがましいのではないだろうか。
己を犠牲にして自分に与えられた地位を演じきり、他者はその社会的地位に対して敬意を払い、社会はその地位を与える立場にある神話の舞台である。
現代にも脈々と流れている神話の力をあらゆる点から語りだす氏だが、しかしそれは認識されずあやふやとなり、崩壊しつつあるという警鐘をもならしている。
社会という神話。それをもう一度誠意を込めて見つめ直すときではないだろうか。
紙の本
宗教さえも亜流に感じてしまう
2017/08/30 09:37
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hontoカスタマー - この投稿者のレビュー一覧を見る
キャンベルが研究していた神話学とは、古代の伝承、伝説、宗教の経典を比較検討することにより、その背面にある隠喩(メタファー)を抽出してその意味を研究するものだと理解しました。それは、特定の神(多くはキリスト教)を研究する神学、宗教間の関係性を研究する宗教学とは一線を画しています。仏教、キリスト教、イスラム教といった伝統的な宗教も神話学から見るとごく一部の亜流と見えてしまいます。イスラム教に関する記述は少ないのですが、キリスト教に関しては排他的で善悪二元論で、宗派の枠外は自然さえも敵として支配する対象として位置づけている側面があることを読み、アメリカを含む西欧人のイスラム教との軋轢や自然に対する無慈悲さの歴史が腑に落ちるところが多くありました。
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:jake - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドラマの本質と基礎感覚が理解できる一冊。
スターウォーズなどの映画関連で広く知られるようになったが、
根本的にはドラマツルギーにその根を持つ学術麺でも価値がある。
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象徴表現の力
2022/06/04 17:37
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:三才 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「神とは、...の擬人化です。」…宗教書は、表現しにくい概念の象徴表現として読むと、現代人にも理解できることに、この本で気付かされた。
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世界各地に伝わる神話の成り立ちや共通項を明らかにし、神話が伝えているメッセージを解き明かしている本。
正直、長いし、難しいわで読むのが大変でした。
だけど、これまでいまいち言葉に出来ていなかったような概念や考え方がまとめられていた部分もあって、得るものも多かったです。
また折を見て読み返そうと思います。
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http://d.hatena.ne.jp/mos9/20100330/1269911808
http://d.hatena.ne.jp/mos9/20100426/1272293693
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禅を持ち上げられるとにやにやしちゃう。西洋世界がメインでしたがちゃんとシャーマニニズムにも造詣があり勉強になります。進行形です。
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人の脳は物語を通して記憶する仕組みになっていること、そのため何かを伝えるには物語を通して行うと効果的なこと、民族や部族の歴史、大切な知恵は物語の形で口承で伝えられてきたこと、そして、神話のパターンはほぼ3~4種類に分類でき、映画「スターウォーズ」はその代表的なパターンを踏襲して大ヒットさせたことなど、神話や物語についてはいろいろな本で紹介され気になっていました。
著者の代表作「千の顔を持つ英雄」をそのうちに読もうと思っていたら、たまたま書店でこの本を見つけとりあえず読んでみました。
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この本は、たしかポストモダンとかニューアカとかがまだ騒がしかった頃、日本でもベストセラーになった本だったと思う。当時は結局読まなかったが、突然文庫になったので読んでみた。
人類学/神話学とは言っても学術的な部分はまったくなく、一般向け放送用に組まれたインタビューを書物にまとめたもので、ぜんぜん難しいところはない。というか、かなり通俗的な内容になっている。
著者キャンベルの主張の要点は
1.各世界の様々な神話は、かなり共通のシンボリズムを持ち、ユング風に普遍的な、通底する人間精神の根幹をものがたっている。
2.神話的な思考は、連綿と現代につながってきており、20世紀の欧米の文化事象にも変容してあらわれている。
3.神話や英雄物語のなかに、私たちは人生の教訓を見ることができる。
といったところだろうか。
しかしいずれも通俗的レベルで話は終わっていて、神話学の専門性への興味を惹起するものはない。
とりわけ最後に人生訓になってしまうところがなんとも俗っぽくて残念だった。それに、どういうわけか後半はヨーロッパの伝承や中世の吟遊詩人の話になっており、「神話学」で注目される非西洋圏の神話群は前半言及されたあと、どこかに行ってしまう。
キャンベルの学術的な著作を読んでみたらおもしろいのかもしれないが、この本にはあまり価値を感じなかった。
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最高!神話を心理分析の観点から語った対話本だけど、解釈が非常にロマンチック。たとえそれがJ・キャンベルの一考察にすぎないとしても、読者がそこから得るものは大きい。神話はあくまでも物語であり、それゆえに私たちが理解するうえでは必ず個人的な解釈が介入することになる。ただそれを前提にしないと、この本は単なる著者の夢物語としか感じられないだろう。
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神話学に激しく興味が湧いた。何度も読み直して理解を深めたくなる良書。
「人間が求めているのは、純粋に物理的な次元における生命経験が自己の最も内面的な存在ないし実態に共鳴をもたらすことで実感できる、無上の喜びである。それを助けるのが神話だ。」
古代と現代で果たす、神話の役割とはなんだろうか。今どのような神話が求められているのか。そして人類に何をもたらしているのか。
抜粋。
・「人間である限り時間と決断の領域にいる。人生の問題の一つは、その両者をわきまえて生きること、つまり、「私は何が中心であるかを知っている。善と悪とは単に時間領域における分離逸脱に過ぎず、神の目から見れば、全く同じものであると知っている」と言いながら生きることです。」
→何が正義か、何が悪かなんて主観でしか判断できない。万物を肯定することなんてとっても難しいことではあろうが。
・「永遠とは時間領域内のあらゆる思考が切り離している「いまここ」の次元です。ここで永遠を捉えない限り、他のどんなところでも捉えられません。」
→善悪や生死などの対立物は時間領域内だからこそ存在する。ここでいう永遠性っていうのは多分その対立物の真ん中にあるもっと本質的なこと。そこを常に見据えられるようにありたい。
・「最終的には人生は偶然で成り立っている。・・・そのすべてをあたかも自分の意志であるかのように思うことです。そうすることで自分の意思を参加させる。」
→自分が選択の岐路に立ったとき、本当の意味で行きたい方を選ぶことで必然化(見かけの上での)できる気がする。偶然を自分の意思で起こすということ。
・「至上の幸福を追求せよ。どういうときに幸福を感じるか分析せよ。」
→いわゆる自己分析。
以下雑感。
なんにせよ、超越的なものが神であって、それを神と言語化してしまってる時点で思考の枠にはめられているので理解などできない。神とは観念で、人間が時間と空間に制限されてるとは対照的に、完全に僕らの理解が及ばないもののことなんだろう。
神話学なんて学んだことなかったからとても新鮮だった。つまり、神話には人間が追求すべき内面の価値(本当に大切なこと)の発見を助けるものがあるということ。物質的に満たされた今の時代、僕らの求めるべきものは生きているという経験による喜びなんだろうな。
個人的に、あらゆる神話に共通のテーマがある理由は、古代から肉体の構造も精神の構造も変化ないからだっていう主張がおもろかった。内面的な部分は昔から変わらないのかもしれない。あと、この惑星と同一化する神話が必要とされているという点。宗教戦争がなくなるためも、もう一度自然と開発の関係を考え直すためにも共通の神話が必要なんだろう。
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ジョーゼフ・キャンベルを有名にした業績の一つに、世界中の英雄神話に共通する要素と構造を明らかにした研究があります。ジョージ・ルーカスがこの研究を下敷きに『スター・ウォーズ』のストーリーを構想したことはつとに有名で、ビジネス書の中でもたびたび取り上げられる挿話となっています。文化人類学や文学の世界に留まらず、エンターテイメントやビジネスの世界にまで広範な影響を与えてきた知の巨人。それがジョーゼフ・キャンベルなのです。
そのキャンベル先生ですが、冒頭、人々が本当に求めているのは、生きることの意味ではなく、<いま生きているという経験>であり、<いま生きている>という実感と結びついた無上の喜びこそが、人生で最も大切なものなのだ、と述べます。
その<経験>を得るためには何が必要なのか?というモイヤーズの問いに対し、神話を読むこと、神話にこめられた象徴のメッセージを受け止めることだ、とキャンベル先生は答えます。そして、以下、古今東西の神話のみならず、宗教の教義や映画、文学を引き合いに出しながらの、めくるめくような神話学の講義が始まるのです。
その講義の底に流れるのは、神話が、現代に生きる我々の幸福とどう関係するのかという問いです。それは、悲しみや苦しみに満ち、矛盾に満ちた世界の中で、それでも人間が人間らしく生きるためには何が必要なのか、という問いへと重なってゆきます。
「神話は、なにがあなたを幸福にするかは語ってくれません。しかし、あなたが自分の幸福を追求したときに、どんなことが起こるか、どんな障害にぶつかるか、は語ります」とキャンベル先生は述べます。つまり、神話は、幸福の追求のために、自ら主体的に人生を生きようとした時には、大きなヒントを与えてくれる、と言うのです。
そう考えると、神話に必ず英雄物語がある意味も理解できます。英雄物語は、個人を冒険へ誘い、他者のために自己を捧げる行為へといざなうからです。人は、それらの主体的で、勇気ある行動をすることを通じて、本当の意味で他者と出会い、世界と出会い、未知の自分と出会うのです。その時になって初めて、今を生きているという実感と結びついた無上の喜びを感じることができるのでしょう。
人生を傍観するのではなく、自ら主体的に人生に参加する勇気を持つこと。そうすれば、人は、社会や世界、そして自分自身とつながることができる。キャンベル先生は自らの人生がいかに至福に満ちたものであったかを語りながら、そう読者に呼びかけます。
本書を読んでいると、物凄く勇気が湧いてきます。神話が伝えてきた人類の叡智に触れることで、人は生きる力をもらうことができるのでしょう。それこそがまさに「神話の力」なのだと思います。
きっと得難い読書経験になるはずです。是非、読んでみて下さい。
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▽ 心に残った文章達(本書からの引用文)
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人々はよく、われわれみんなが探し求めているのは生きることの意味だ、と言いますね。でも、ほんとうに求めて���るのはそれではないでしょう。人間がほんとうに求めているのは<いま生きているという経験>だと私は思います。
私たちは外にある目的を達成するためにあれこれやることに慣れ過ぎているものだから、内面的な価値を忘れているのです。<いま生きている>という実感と結びついた無上の喜びを忘れている。それこそ最も人生で大切なものなのに。
神話が負っている主要な課題のひとつは、あらゆる生の冷酷な前提と知性とに折り合いをつけることです。生きとし生けるものはすべて他の生命を殺して食べなければならない、という冷厳な事実がありますね。(…)生命の基本は生命そのものを食べているというこの事実です!
人生を一編の詩と観じ、自己をその詩の参与者と見なすこと。それが私たちにとっての神話の機能です。
英雄とは、個人的な恨みや、失望や、復讐心に駆られてではなく、勇敢に、品位を持って、自然な形で人生に参加する人を言うのです。
インディアンは命あるあらゆるものを「あなた」と呼んでいました。木々も、石も、あらゆるものを。どんなものでも「あなた」と呼ぶことができる。そして、そう呼んだとき、自分の心に変化が生じているのを感じることができる。「あなた」を見るエゴと、「それ」を見るエゴとは決して同じではないんですね。
クモが美しい巣を作るとき、その美はクモの本性から来ています。それは本能的な美です。私たち自身の生活の美は、生きていること自体の美しさにどの程度までかかわっているのだろうか。
あなたにとって至福は、無上の喜びは、どこにあるのか。あなたはそれを見つけなくてはなりません。
いつも見えない手に助けられているものだから、とうとうひとつの迷信を抱いてしまいましたよ。それは、もし自分の至福を追求するならば、以前からそこにあって私を待っていた一種の軌道に載ることができる。そして、いまの自分の生き方こそ、私のあるべき生き方なのだ、というものです。そのことがわかると、自分の至福の領域にいる人々と出会うようになる。その人たちが、私のために扉を開いてくれる。心配せずに自分の至福を追求せよ、そうしたら思いがけないところで扉が開く、と私は自分に言い聞かせているのです。
子供を産むということは、間違いなく英雄的な行為です。他者の生命に自己を捧げるんですから。
自我や自己保存を第一に考えるのをやめたとき、私たちは、真に英雄的な意識変革を遂げるのです。
ダース・ベーダーは自分の人間性を発達させてなかった。彼はロボットだった。自分自身の意志ではなく、押し付けられたシステムに従って生きる官僚だった。これは今日私たちみんなが直面している脅威です。システムが私たちを押しつぶして人間性を奪ってしまうのか、それとも私たちがシステムを利用して人間の目的に役立てるのか。(…)しなくてはならないことは、自分の置かれた時代に人間らしく生きるすべを学ぶことです。(…)自分自身の理想をしっかりと持ち続けること、そしてルーク・スカイウォーカーがしたように、システムがあなたをロボット扱いしようとするのを拒否することですね。
私たちはみな、この一時の生において私たち��人間性を最もよく養い育て、開花させてくれるものはなにかを知り、それに自己を捧げなくてはなりません。
神話は、もしかすると自分が完全な人間になれるかもしれない、という可能性を人に気づかせるんです。(…)神話は、汲めども尽きぬ泉のようなものです。
生きた世界ならば、どんな世界でもまっとうな世界です。必要なのは世界に生命をもたらすこと、そのためのただひとつの道は、自分自身にとっての生命のありかを見つけ、自分がいきいきと生きることです。
人間は、自分をどう扱ったらいいかわからない動物です。その精神は多くの可能性を持っているけれども、私たちはただ一度しか生きられません。私たちは自分をどうするつもりなのか。生きている神話は、その時代にふさわしいモデルを与えてくれるのです。
私たちのひとりびとりは確実にかけがえのない存在であり、もし私たちが世界になにかをもたらすとすれば、それは他人のではなく、自分自身の経験と自分自身の潜在能力の実現から来るものでなくてはならない。
凡人などという者がひとりだっているとは、私は思いませんね。すべての人が人生を生きるなかで、めいめい自分自身の幸福への可能性を持っている。その人がしなくてはならないことは、それを認識し、育て、それと共に歩むことです。
この社会でどう生きるべきかを、社会が私に指図するなんてことを許してはなりません。人は自分自身の体系を築き上げるべきです。
永遠とは、いついつまでも存在するというようなものではない。それはまさに、いま、ここにある。この地上であなたが他者と関わり合う、その経験のなかにあるのです。
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●[2]編集後記
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先週はメキシコ出張でした。土曜の夕方に帰国したところです。
メキシコに行くのは12年ぶりだったのですが、仕事で行くのは初めてでした。朝から晩までメキシコにある企業や役所の方々と議論する中で感じたのは、中南米というのが、一つの大きな経済文化圏になっている、ということでした。
中南米では、スペイン語が話せれば、コミュニケーションができるのです。ブラジルのように、ポルトガル語の国もありますが、方言の一つくらいな感じで、コミュニケーション上は大きな問題にはならないとのこと。そして、ビジネスパーソン達は、英語も上手に使いこなします。つまり、北米大陸ともつながるのです。
内戦や麻薬の問題など、どうしてもネガティブなイメージのほうが先に立つ中南米ですが、それはとても一面的な見方で、ビジネスの世界では、北米から南米までの一大経済文化圏ができあがりつつある。地球の裏側では、こんなにダイナミックな世界が胎動しつつあるんだということを知って、いかに自分が狭い視野でしか世界を見ていなかったのかを痛感しました。
英語もすっかり喋れなくなっているし、なんか本当に世界に通用しない仕事の仕方をしてきてしまったんだなとも反省。もっとも言葉の問題はさておき、本質的なことをしていれば、必ず世界ともつなが���ていくはずなので、残りの人生、広い視野と、深い洞察力をもって、世界につながっていけるような仕事をしたいものだと心を新たにしました。辺境の国に生きる偏狭な人間にならないよう、常に心していないといけないですね。
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【新歓企画】ブックリスト:「大学1年生のときに読んでおきたい本たち」
比較神話学者であるジョーゼフキャンベルさんとジャーナリストのビルモイヤーズさんの対談集です。神話伝承を調べたいお……でも、大学の勉強はハイソすぎてついてけないお……。だから入門書を読むお! みたいなテンションの人におすすめ。対談なので比較的のんびりさくっと読めます。何より良いのがジョーゼフさんの人柄。「落ち着けおっさん」と思う事もありますが、基本的に優しい気分になれます。神話を学ぶ、という事はどういう事なのかね。みたいな話から、結婚の意義とか、厨ニ大喜びのモチーフがぞろぞろ。キャンベル爺さんは87年に自宅で逝去されたそうですが、その生き方に影響を受けた人はいろんなところにいるみたい。文庫版出たので、そっちでもどうぞ。【S.O.】
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深刻で絶え間ない人間の苦悩こそ古典的な神話の主要なテーマ
あらゆる苦しみや悩みの隠れた原因は、生命の有限性であり、それが人生の最も基礎的な条件だ まし人生を正しく受け入れをうと思うなら、この事実を否定する事はできない
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スターウォーズもこのキャンベルの神話のストーリーから生まれている。すべてのストーリーの元型を求めた著者が、スカイウォーターランチというスターウォーズの聖地でおこなった対談。興味深い話が多い。