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驚きの介護民俗学
  • みんなの評価 5つ星のうち 4.5 50件
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  • カテゴリ:一般
  • 取扱開始日:2012/05/18
  • 出版社: 医学書院
  • サイズ:21cm/233p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-260-01549-3
  • 国内送料無料

紙の本

驚きの介護民俗学 (シリーズケアをひらく)

著者 六車 由実 (著)

大学をやめ、老人ホームで働きはじめた気鋭の民俗学者は、そこで何を聴いたのか。老人ホームの利用者の語りに寄り添いながら、介護民俗学の可能性に迫る。『看護学雑誌』『かんかん!...

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驚きの介護民俗学 (シリーズケアをひらく)

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商品説明

大学をやめ、老人ホームで働きはじめた気鋭の民俗学者は、そこで何を聴いたのか。老人ホームの利用者の語りに寄り添いながら、介護民俗学の可能性に迫る。『看護学雑誌』『かんかん!』連載に書き下ろしを加えて書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】

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みんなのレビュー50件

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評価内訳

紙の本

生活に密着した民俗学

2012/08/19 17:16

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:もんきち - この投稿者のレビュー一覧を見る

シリーズとしては介護の本ですが、介護に興味のある人が読むケースと民俗学に興味のある人が読むケースとどちらが多いのでしょうか。

私はどちらかと言えば後者ですが、親もそろそろ介護の対象になってきてケアの現場に関する情報としても興味深く読めました。文中にもたびたび筆者の行っている聞き書きが介護の効果は不明、とあり、ひょっとするとこのような介護担当者がいたら「おしゃべりばかりして仕事をほっぽりっぱなし」と文句を言う人も居そうだな、と感じました。そういう方はより明確に現状への課題意識と聞き書きの意義が書かれている「おわりに」を先に読むとよいかと思います。

民族学といえば伝承や祭りの研究が代表的ですが、ここで描かれているのは自分たちの知らない歴史的な「日々の暮らし」です。これまでは一部の「自分で書ける人」「書ける人に興味をもたれた人」からしか知られていなかった事実と出合うのはまさに驚きの連続。こういう研究が積み重なると、いままで特別な事例と思われていたことが普遍的だったり、その時代の常識と思われていたことが限定的だったり、と言うこともわかって来そうです。これまでもマンガや都市伝説への民俗学的アプローチもたくさん読んだので、個人的にあまり違和感はありませんが、アプローチ自体への驚きもあるかもしれません。

さらに共感したのは、忙しい中でも思わず利用者の行為の「意味」を考えてしまう著者です。利用者の行為に意味づけができたときの楽しさが利用者への興味、話への興味になっているのでしょう。日々の業務には邪魔になりそうですが、そういう気持ちが学問や技術の進歩を支えているんだろうなあ、とか、考えながら読んでしまいました。

ここに書かれているのは介護施設という特定の状況で集められたケースですが、教育や近所付合いといったいろいろな場面で同じようなことが起こっているようにも思えます。まあ、それでこそ民俗学、ということでしょうか。

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紙の本

「忘れられた日本人」と出会える介護の現場

2016/05/22 10:06

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ナンダ - この投稿者のレビュー一覧を見る

著者は気鋭の民俗学者として一時脚光を浴びたが、しばらく姿を消していた。大学教師をやめ介護の現場にいたとは驚かされた。何が彼女をそうさせたのか。介護現場の何が魅力なのか--。
 民俗学の調査対象は、伝統的な社会規範のなかで生きてきた人が多い。そんな人たちから「なぜ結婚しないんだ」と問われつづけ、筆者は「私の生き方は間違っているのか」と戸惑った。
 ところが介護の現場には、看護婦、電話交換手、旅館の仲居、布団の技術者、蚕の鑑別嬢など、仕事に生きてきた女性、民俗学の対象とされなかった「一般コース」ではない女性がたくさんいた。それが救いになったという。
 民俗学は農村文化が対象であることが多いが、介護現場では、高度成長時代に飯場を渡り歩いた人や、村に電線をひくため家族とともに各村に1週間から10日滞在して仕事をした現代の漂泊民……といった「忘れられた日本人」に出会えるという。
 逆に介護現場にとって民俗学の聞き書きの手法は、今までの「傾聴法」「回想法」とは異なる効果をもたらす可能性がある。
 傾聴法は、専門家であるスタッフが「利用者」の話を聞く態度を示すことで、生活やコミュニケーションのレベルを引き上げるという上からの目線がある。それに対して民俗学の聞き書きは、お年寄りが「先生」であり、「聞かせていただく」という立場の逆転がおこる。上下という権力関係にある施設の人間関係を一時的にせよ逆転し、お年寄りがその場の主人公になれる。
 また傾聴法は「聞いている」という身振りが大事で、老人も身振りや様子で満足感を示すとされるが、聞き書きはあくまで「言葉」にこだわる。認知症のお年寄りでも、断片の言葉をつなぐことでその人の人生を再生することができるという。
 回想法は、だれもが活用できるように方法論化が進んでしまったがゆえに、利用者の複雑な人生を見据えるまなざしを曇らせてしまった。個々人の「顔」に向き合わなくなり、個々の人生への「驚き」が失われてしまった。民俗学は、1人の人間総体をまるごととらえる目を介護現場にもたらしてくれるのだという。
 認知症の老人の幻覚や幻聴の位置づけかたも興味深い。
 認知症の女性が語る架空の物語と、カッパや狐が出てくる「遠野物語」などの民話と何がちがうのか、と筆者は自問する。
 遠野の老人たちは、かっぱや狐も含めた世界のなかで生きてきた。「昔はそういう狐がいたもんだ。今はいなくなったな」と語る。そうした人々と、死者の声がきこえるという認知症の老婆との間に差があるのだろうか。昔から、子どもと老人は死者(神)の世界に近いとされてきた。「大人」には見えない幻想や物語とともに生きてきた。
 ユークリッド幾何学や近代哲学が否定されつつあ状況を踏まえると、物理的な現象だけを信じる「大人」の世界だけを「現実」とする世界観に疑問を突きつける必要もあるように思える。

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2012/07/28 18:35

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2016/02/23 06:56

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2012/07/13 11:13

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