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- カテゴリ:小学生
- 発売日:2009/09/30
- 出版社: 福音館書店
- サイズ:214×160mm
- 利用対象:小学生
- ISBN:978-4-8340-3949-8
- 国内送料無料
紙の本
魔女の宅急便 6巻セット
著者 角野 栄子 (作),林 明子 (画),広野 多珂子 (画),佐竹 美保 (画)
キキのお仕事は、空飛ぶ「魔女の宅急便」。人々の思いをのせた荷物を届けながら、喜び、悩み、成長していくキキの姿は、宮崎駿監督によりアニメーション化もされ、世代を超えたたくさ...
魔女の宅急便 6巻セット
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商品説明
キキのお仕事は、空飛ぶ「魔女の宅急便」。人々の思いをのせた荷物を届けながら、喜び、悩み、成長していくキキの姿は、宮崎駿監督によりアニメーション化もされ、世代を超えたたくさんの人々に愛されてきました。第一作刊行から24年を経て、堂々の完結です。
著者紹介
角野 栄子
- 略歴
- 角野栄子
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紙の本
「引っかかりがある本」は、「大切な本」になる。
2011/01/29 00:10
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る
気の合いそうな全集モノに出会うと一気に読みたくなる癖は子供の頃から変わらない。
そして、この場所に出会ってからは、読んだら、足跡をつけたいと思うようになった。
私は、本について語る際に、
「その本と出会った時が今なのだ」という言葉をよく使う。
その本が出たばかりのとき、流行っているとき、
自分と登場人物が同年齢で最大限に共感できるときなどを
逃してしまったとしても、
きっと今この本を手にしている瞬間が、
あなたがこの本を必要とする時なのだという想いをこめて。
だが、そう言いながらも、悔しさを100%拭い去れたわけではない。
私は、読書を休んでいた時期もあるし、読むのは決して早くない。
数を今から取り返すのは難しいので、
数少ない読書だけど、児童書と絵本の深読みを楽しもうと開き直るしかないのである。
本書は、魔女のキキの少女から大人への成長の物語。
第1巻で13歳だったキキは、第6巻では35歳になっている。
第1巻は1985年、第6巻は2009年の出版なので、22年分の物語を24年間をかけて描いている。
まさに、著者の中で、キキは同じくらいの年数をかけて成長して行ったのだ。
もしも、キキと同年齢で本書に出会っていたとしたら、一緒に成長するような感覚を覚えただろう。
第一巻が出た年に出会っていれば、本当にそうなれたはずだ。
登場人物と年齢が合うチャンスだったのに。
出版年を見ると本当にリアルタイムで出会っておかなくて残念に思う本である。
スタジオジブリオによる映画作品はあまりも有名だが、それに原作があるとは長らく思っていなかったのである。
そして、気づいた頃は、もう複数冊あった。
そうなると着手するには、一気に全部読めるときじゃないと気が済まないのである。
背中を押したのは、marekuroさんの全巻制覇書評だった。
典型的なリアルタイム読書で、読んだ本に正直に書評を付けたのだろう。
ハードカバーと文庫が混じっており、第1巻、第4巻~第6巻はハードカバー、第2巻、第3巻は文庫である。
そして、新しい本が出る度に第1巻から読み直すという読み方。
まさに一緒に成長してきたような読み方である。
1冊1冊の書評は、marekuroさんがとても丁寧に書かれているので、そちらに譲ることとし、
私は、6冊一気に読んだ後追い読者らしく、全体から得た印象について記しておくことにしたい。
本シリーズを読了したのは、確か去年の秋口だったと思う。
だが、何かを書こうという気持ちがなかなか起きなかった。
キキの少女から大人への時間を一気に追いかけたからだろうか、
奇妙な寂しさを覚えてしまったのだった。
世界の少女文学の主人公が少女から大人になり、
母になり、娘や息子が物語の主役になったときに感じたのと同じだった。
自分の個性を生かした仕事も得て、それだけではなく、
普通に結婚して、母親になり、子どもを産み・・・。
それは、幸せなことではあるし、決して、主人公の苦悩や不幸を期待しているわけではない。
でも、何か置いて行かれたような気持ちになったのは、自分がそれを得られなかったからなのだろうか。
そして、またなおさらそういう読み方をする自分が悲しかった。
読むまでに時間がかかったけれど、「自分のタイミング」でそれを手にして、言葉にすることができた本としては、
『くまとやまねこ』や『ちいさなあなたへ』がある。
魔女の宅急便シリーズは、着手や読み進めるのには抵抗はなかったのだが、自分の言葉にするまでに時間を要するシリーズとなった。
でも、これは書かないでは終わりにしたくなくてずっと引っかかりがあったのだ。
このシリーズの捉え方が変わってきたのは、
2010年10月30日に板橋区で行われた角野栄子さんの講演会を聴き、
『ファンタジーが生まれるとき』を読んでからだった。
キキが著者の中でどうやって生まれて育ってきたのかを知り、魔女や魔法に何が込められていたのかを知った。
魔女は、災いを払う人で、人のために願う人で、あちらの世界とこちらの世界をつなげる人であるのだ。
そして、古き良きものを大切にするだけじゃなくて、新しいものも受け入れる人でもある。
このシリーズで成長を遂げた少女はキキだけではなかった。
キキとはあらゆる面で異なる生き方をしていく少女・ケケ。
彼女を出すことで、キキとは別の女性の生き方を表現しているように思えた。
そして、キキよりもケケに近い生き方をしている自分は、
最終巻を読み終わるに当たり、ケケがいてくれてよかったと心から思ったのである。
本シリーズを貫き通すテーマの一つとして、「魔女の血」というものがある。
キキが飛べるのは、魔女の血が流れているから、そして、女性だから。
祖母、母、キキと代々その家の女性に受け継がれてきたものを彼女は受け取ってきたのだ。
祖父や父は、魔女が行うことについては、見守る存在だった。
それは、キキとトンボさんの関係においても受け継がれていることである。
第6巻で新たに現れたテーマは、魔女の血を継ぐ者の家に、
女の子だけではなく、男の子も生まれたことである。
双子のニニ(女の子)とトト(男の子)。
魔女の業に対して興味もあり熱心なのはトトの方。
でも、男の子の彼にはどうしてもできないことがある。
彼はこのどうしてもできないことがあるが故に成長して行く。
対して、ニニは熱心さにはかけるけれど、魔女の血はしっかりと流れているというタイプ。
かつて、祖母、母、キキが通ってきた道に、自分なりに向き合っていくニニとトト。
それぞれの旅立ちを迎えることで、本シリーズは幕を閉じる。
ここで、第3巻の「終わりの扉」を思い出す。
終わりから開いていく扉。
今は昔に確かにつながっている。
子供たちに訪れた新たな旅立ちは、キキの最初の旅立ちにもつながっているのだ。
最後を知った上でまた最初から読むと発見がありそうな、
子供時代のアルバムのようなシリーズである。