紙の本
自分の脳の働きを過信してはいけない
2018/03/06 21:16
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投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
様々な日常的な錯覚を紹介し、自分の脳の働きを過信してはいけないという警鐘の本でした。
具体的には、注意の錯覚、記憶の錯覚、自信の錯覚、知識の錯覚、原因の錯覚、可能性の錯覚のほか、モーツアルト効果やサブリミナル効果の嘘等を暴いています。脳は自分を過大評価し、自分に都合良く機能することが分かりました。例えば、目の前にあって見えるはずのモノが見えなかったり、自分に都合良く記憶を書き換えるようなことが悪意なく起きます。さらに自信満々で語られる情報は、間違った情報でも信用する傾向があり、注意しなければいけません。
ところで、過去の出来事の細部の記憶が、他人の記憶と異なることは、たまにあります。自分の記憶の方が正しいと思うのですが、そうではないかもしれません。自分に都合の良いように脳が書き換えている可能性があるのかと思うとゾッとします。
紙の本
理系志望の学生必読!
2015/03/22 01:29
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投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
実際に人間が「見た」事象と、脳が「見たと思った」像にはずれがある(視覚の錯覚)、事実と人間が記憶している内容との間にはずれがある(記憶の錯覚)、自分が実際に理解できている内容と「自分で理解できていると思っている」内容との間にはずれがある(記憶の錯覚)、人間は物事に因果関係を見つけたがる傾向がある(原因の錯覚)など、脳が周囲の状況をいかに認知するのかというプロセスにどのような「ずれ」があるのかということを主に6つの「錯覚」に分類して解説します。昨今の「脳トレ」ブームや、モーツァルトを妊婦が聴いたら子供の知能が高まるなどの通説が実は脳機能の発達にほとんど寄与していないなど、心理学や脳科学分野を扱ったバラエティー番組の内容がほとんど科学的根拠に乏しい通説であるかを指摘する痛快な科学的読み物です。特に「相関関係と因果関係との違い」についての章は理系の学生さんや、技術者の方には是非、読んでいただきたいと思います。
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文春のこのシリーズはいつも楽しみ。読みごたえがかなりあるのでうれしい。本書は6種の錯覚に関する科学調査のまとめを、日ごろ出くわす状況と絡めて説明する。相関関係は示せても因果関係を示すことにはならない、という記述にはっとする。しばしばやってしまっていた!さらに逆の状況(因果関係まで把握したのに、相関関係にすぎないと結論づけて、別の実験や設計に鞍替えしてしまったり・・・)も発生させている!気づきと修正したい点がたくさん思いつく本。
と思っていることも「錯覚」か?という、典型的落ちで、しめたい。
※参考文献が70pもリストアップされているのもすごい。しかもちゃんと一言コメントがついている(ただの羅列ではない)。
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錯覚は能力の限界に対する誤った判断から生じる。そして錯覚は財産、健康、命を奪う。回避方法としては
1、錯覚の存在に気づく
(注意の錯覚、記憶の錯覚、自信の錯覚、知識の錯覚、原因の錯覚、可能性の錯覚)
2、認知能力をトレーニングで鍛える。但し方法を間違えてはならないし、限界もある
3、テクノロジーの活用。但し知的能力の限界は補うが錯覚は防げない。人間よりも機械の判断が正しいと信じられるか?
知っている内容も多かったが、錯覚についてよくまとまっていて、整理できた。但し、諸々の実験については文章よりも映像で見た方がよりわかりやすいかも。
<その他気になった事>
・マルチタスクに男女差はない
・人は自分を過大評価し、能力が弱い人間ほど自信は強い
・何かを覚えたては自信過剰になりやすい
・相関と因果の関連性は実験でしか証明できない
・原因の錯覚はパターン、相互関係、前後関係によって生じる
・個人の体験は迷信を作りやすい
・自分には能力、才能、可能性があるという過大評価
・それらを簡単に開発、実現できるという思い込み
(モーツアルトを聞いても頭はよくならない、脳トレしてもボケ防止にならない、脳の10%しか使ってないもインチキ)
・サブリミナル広告には効果はない
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錯覚という現象に焦点をあてた一冊。
目の錯覚という馴染み深いものから、記憶の錯覚、認識の錯覚というあまり馴染みのないものも紹介されている。
錯覚とは、注意深く物語を認識していれば防ぐことができると考えているのならば、一読の価値がある。
過去に行われた実験から、人間の記憶、認識はかなり曖昧であるということがわかる。
一方でこのような科学的事実、つまりいくら注意を向けても錯覚という現象は不可避であるという事を知った場合に我々にできることは何か?
それは、いついかなる時でも人は錯覚に陥るということを理解し、知っておくことが重要なのであろと思う。
意思決定が必要な場合、すぐに過去の事実から決めるのではなく、過去の事実を錯覚していないかをよく検討してみることが重要である。
余談であるが、上記のように過去の事例、経験を踏まえれば正解率が上昇するようなケース(つまり論理的な推論により正解に到達できるようなケース)では錯覚を排除するため、検討する時間をとると良い結果になりやすく、逆に得られり情報が限定的な場合(つまり論理的な思考を必要しない、もしくはそれが無意味な場合-例えば、ワインのテイスティングで高価なものを当てるという「味」以外の情報が取得できない場合-)は即決するほうが良い結果を得られる可能性が高いようである。
このように、錯覚という事象を受け入れること、そしてそれをうまく利用する方法を知っているのと、知らないのとでは大きく結果が異なる可能性が高い。
一読の価値あり。
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これまで効果があるとわたしも認識していたモーツァルト効果や、脳は10%しか使われていないなどの通説を科学的かつ明確に否定している良書。ビジネスや日常生活でも、慣例や常識をバランスを持って批判的に疑いを持つ必要性があると改めて感じた。大学生に読むことをお勧めする。
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結局、錯覚だらけなんだよな、と言うのが読了後に思ったこと。
眼から鱗という実例が多く、笑いながら読めました。Twitterの発言する人にも当てはまる人がいるよなーっと。
しかし、ここまで錯覚で説明されると、現実とはなんだろうか?、と考えたりしてしまいます。
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私たちが見たり聞いたりして信じていたことが、実は思い込みで「錯覚」している可能性があると言うことを様々な角度から、心理学的実験結果を列挙して説明している。
モーツァルト効果も、脳トレも、効果を錯覚しているだけだったなんて衝撃でした。
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人間は錯覚するものであることがよくわかる。
注意の錯覚、記憶の錯覚、自信の錯覚
知識の錯覚、原因の錯覚、可能性の錯覚
今まで何となく思っていたことが実は錯覚だった
ことが大いにありうることに気付かされる本。
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読み終わった後、今まで見えていた世界が違って見える。
記憶が思うほどあてにならない、ということに不安を感じた。錯覚を意識して生きていこう。
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この世界は錯覚に満ち溢れている、ってね。
目の錯覚とかそういう類の、脳が勘違いしましたみたいな話が好きだから、この本を手に取ってみたわけで、実際読んでみたら、いろいろと面白いことが書いてあって、とても為になるんだけれども、どうにも情報量が多すぎて読んだそばから忘れてしまう。
いつも思うんだけれど、ノンフィクションを読むにはオレの脳ミソの容量は全然足りない。
巻末の膨大な参考文献然り、1995年1月25日ボストンのハンバーガーレストランで~とかそういう情報、一つも覚えれらない。
どうせ読んでも覚えてないなら、読む意味ないんじゃないか。とも思うんだけれど、本書を読む限りでは、バッチリ覚えているぜ!って記憶でも、思い込みやら、その時の状況やらで記憶が歪められてしまうらしいので、だったら覚えてなくても良いかって気になり、ちょっと救われたり。
高校の時の同級生と飲むときに、良く高校時代の話とかをするんだけれど、みんなが盛り上がっている中、自分だけ覚えていなかったりして、とても寂しい気分になる時が良くある。
でもまぁその昔話ですら、本当にあったことなのか分からないんだなぁとか思うとちょっと救われたり。
お前は話が二転三転する。とか、前と言ってることが違う。とか良く言われるんだけれど、その二転三転ですら、本当に二転三転しているのか怪しいもんだなぁとか思うと、ちょっと救われたり。
以下、本書の見出し的なやつ。
実験1 注意の錯覚
見えているはずのものが見えない的な。
有名なゴリラの実験とか、えひめ丸沈没事件とか。
実はこの実験1だけ読めば、あとは読まなくて良かったかも。
実験2 記憶の錯覚
衝撃的な出来事ほど、人の記憶に鮮明に残るように思われるが、それこそが錯覚なのだ。みたいな。
9.11の事件を例にして、皆の記憶がいかにあいまいなのかを調査。
日本で調査するなら3.11の地震発生時、何をしてた?って感じかな?
オレは職場にいて、レジを打っていたと思うんだけれど、本書を読む限りではオレの記憶も相当怪しい。
実験3 自信の錯覚
自信ありげな医者とかは有能に見えるけど、実は無能なやつほど自信過剰なんだよね。みたいな。
レイプ被害者が犯人の顔をバッチリ見たぜ!そうコイツ!って証言したにもかかわらず、犯人は別のやつでした。って事例には度胆を抜かれた。
実験4 知識の錯覚
トイレは知ってるがその仕組みについては知らない。自転車は知っているがやはり、その仕組みについては知らない。
あなたの知識、実は上っ面だけなんじゃぁありませんか?みたいな。
実験5 原因の錯覚
セックスで若返る、アイスクリームが売れる日は水難事故が多発する。 様々な物事に相関関係こそあれ、必ずしも因果関係があるわけではない。みたいな。
日本でいうなら、アニオタ=犯罪者みたいな最近流行りのやつね。
実験6 可能性の錯覚
人間は普段脳ミソを数%しか使ってないから、今こそあなたの中に眠る力を解放しましょうみたいなやつ、あれ全部ウソなんで!みたいな
この章はちょっと反証がこじつけっぽかったかなー。
なんだかもうお腹いっぱいです。
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2014 10/6パワー・ブラウジング。
認知系の実験をやるにあたって読んでおくか、と思って買ってみておいた本。
いかに人の感覚があてにならない部分を含んでいるか、そのことに気づかず自身の感覚を信じていることで、自分自身すら信じられないようなミスや失敗をしたりするか(悪意なく)ということを、様々な研究成果を持ち出しながら丹念に紹介していく本。
丁寧に、繰り返し指摘しているので、多くの研究を参考できるのは良い。反面、ややしつこくも感じる。
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【文春文庫サイエンス&ビジネス第二弾!】ハーバード大学の俊才たちが、最先端科学実験で次々に明らかにする、あなたの記憶のウソ、認知の歪み、理解の錯覚。科学読み物。
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[ 内容 ]
「えひめ丸」を沈没させた潜水艦の艦長は、なぜ“見た”はずの船を見落したのか。
ヒラリーはなぜありもしない戦場体験を語ったのか。
―日常の錯覚が引き起す、記憶のウソや認知の歪みをハーバードの俊才が科学実験で徹底検証。
サブリミナル効果、モーツァルト効果の陥穽まで暴いた脳科学の通説を覆す衝撃の書!
サブリミナル効果などというものは存在しない。
いくらモーツァルトを聴いても、あなたの頭は良くならない。
レイプ被害者は、なぜ別人を監獄送りにしたのか?
脳トレを続けても、ボケは防止できない。
「えひめ丸」を沈没させた潜水艦の艦長は、目では船が見えていたのに、脳が船を見ていなかった。
徹底的な追試実験が、脳科学の通説を覆す。
[ 目次 ]
はじめに 思い込みと錯覚の世界へようこそ
実験1 えひめ丸はなぜ沈没したのか?―注意の錯覚
実験2 捏造された「ヒラリーの戦場体験」―記憶の錯覚
実験3 冤罪証言はこうして作られた―自信の錯覚
実験4 リーマンショックを招いた投資家の誤算―知識の錯覚
実験5 俗説、デマゴーグ、そして陰謀論―原因の錯覚
実験6 自己啓発、サブリミナル効果のウソ―可能性の錯覚
おわりに 直感は信じられるのか?
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]
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実際に人間が「見た」事象と、脳が「見たと思った」像にはずれがある(視覚の錯覚)、事実と人間が記憶している内容との間にはずれがある(記憶の錯覚)、自分が実際に理解できている内容と「自分で理解できていると思っている」内容との間にはずれがある(記憶の錯覚)、人間は物事に因果関係を見つけたがる傾向がある(原因の錯覚)など、脳が周囲の状況をいかに認知するのかというプロセスにどのような「ずれ」があるのかということを主に6つの「錯覚」に分類して解説します。昨今の「脳トレ」ブームや、モーツァルトを妊婦が聴いたら子供の知能が高まるなどの通説が実は脳機能の発達にほとんど寄与していないなど、心理学や脳科学分野を扱ったバラエティー番組の内容がほとんど科学的根拠に乏しい通説であるかを指摘する痛快な科学的読み物です。特に「相関関係と因果関係との違い」についての章は理系の学生さんや、技術者の方には是非、読んでいただきたいと思います。