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さむけ(ハヤカワ・ミステリ文庫)
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文庫

紙の本

さむけ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

著者 ロス・マクドナルド (著),小笠原 豊樹 (訳)

さむけ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

1,037(税込)

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みんなのレビュー31件

みんなの評価4.2

評価内訳

  • 星 5 (8件)
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  • 星 3 (7件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)

紙の本

ロス・マクの文句なし最高傑作

2001/03/28 00:40

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:松内ききょう - この投稿者のレビュー一覧を見る

 新婚旅行初日に失踪した新妻ドリー。その行方を案ずる夫アレックス。見るに見かねて捜索に乗り出したアーチャーだが、まもなく彼女は見つかる。ただ夫の元に戻るつもりもなく、失踪の理由も謎のままという状態で。そして数日後、血まみれの両手を振って錯乱状態のドリーを目撃したアーチャーは…。
 一家の悲劇、家族という共同体が持つ残酷性は世界を問わず書かれているが、この作品が持つまた別の悲劇を前にして、他の作品と比較する術を私は持たない。現実に起こった彼の一人娘の失踪が落とした影がいかに大きなものであったか、この一作でも語るに十分すぎる。

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紙の本

真相は、箱根細工の器のなかに

2001/05/29 05:49

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:春都 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「箱根細工」という細工物を知っているだろうか。幾片かの板状の木を組みあわせてつくった箱で、側面をずらしたり、あるいは底の部分をまたずらしたりと、ある決められた手順をふまないとフタを開けることができないというものだ。
 市川崑監督の映画『女王蜂』で、金田一耕助が密室となった部屋を同じ要領で開けるシーンがあるのだが、はたしてこんな例を出してわかる人間がどれだけいるのか疑問である。

 探偵であるリュウ・アーチャーは、事件の真相を探るべく、たらい回しにされているかのようにあちらこちらへ関係者の話を聞きに行く。同じ人物のところにしつこく訪れ、真相につながるなにかを知っていないか、隠しごとをしているのではないか、あいつとあいつはどんな関係なのかをくりかえし尋ねる。他の関係者から聞きだした、新たな情報をたずさえて。

 ひとりの人物が、会った途端にすべての事実を告げてくれたら、どれだけ探偵は、そして読者は楽だろう。彼らがたんなる「情報提供者」にすぎず、物語の一駒として機能してくれるのなら、どれだけ単純な事件となるだろうか。
 しかし彼らは探偵と出会おうが出会わなかろうが各々の生活があるのであり、これまでに年齢だけの時間を過ごしてきて、背後にはそうそう簡単に人には明かせない隠しごとを持っている。
 探偵との出会いは、その人生のなかでの一瞬の接点にしかすぎないのだ。

 彼らからそれを引きだすには、喋らせるには、さまざまな情報を他からたずさえていかなければならない。箱根細工のように(ここでようやくつながる)、フタを開けるにはあっちをずらしこっちをずらしして、一見まるで関係ない手順を踏んだうえでなければ、真相という名の「中身」を見ることはできないのである。

 リュウ・アーチャーだけが、その開け方を知っている。読者はその手際をほれぼれと見守り、やがて出てくる「箱の中」にもまた驚くことだろう。まさしく、探偵のプロフェッショナルである。

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ハードボイルドを超えて

2002/03/31 22:09

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:シャーロック - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ある刑事裁判の証人として出廷していた探偵アーチャーは、一人の青年に出会った。青年の名はアレックス。実直そうなアレックスだったが、彼は打ちのめされていた。新婚旅行の初日に、彼の新妻、ドリ−が失踪したというのだ。見るに見かねたア−チャ−は、アレックスの依頼を受け、調査を始めた。ほどなくドリ−の居所をつかんだアーチャーだが、彼女は、なぜか二度とアレックスの許へ帰るつもりはないという。数日後、アレックスを訪ねたア−チャ−が見たものは、裂けたブラウスを身にまとい、血にまみれた両手をふりかざして狂乱するドリーの姿だった…。

 「ハードボイルド」という分野で紹介されるため、本書を避けて通ってきた人も多いのではないだろうか。かくいうわたしもその一人だ。ミステリは好きだが、「ハードボイルド」には縁遠い。出来たら避けて通りたい…。しかし、「ハードボイルド」だからと、敬遠して、こんなに面白い作品を見逃すのはもったいない。読んでそう痛感した。なぜなら本作は、ハードボイルドなんてことをまったく意識せずに、本格ミステリー小説として充分過ぎるほど楽しむことが出来る作品だからだ。これの一体どこがハードボイルド? と首を傾げたくなるほど。「本格推理小説」と紹介しても、なんら不都合はないと思うが。むしろ、ミステリとして名作だろう。特にラストは、ミステリの醍醐味をたっぷりと堪能できること請け合いだ。まさに仰天の結末。しかし、それでいて、「ああそうかなるほど」と、納得どころか感心してしまうほどの結末なのだ。読まず嫌いで損をするのはもったいない。騙されたと思って、ぜひ1度、本書を読んでもらいたい。

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紙の本

ラスト一行の衝撃

2004/06/17 02:34

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:風(kaze) - この投稿者のレビュー一覧を見る

登場人物たちが抱える抑圧感の重さ、その深刻なことに、ぞおーっとさせられたのが本書、ロス・マクの名作『さむけ』( The Chill, 1964 小笠原豊樹訳 )。

ドリー・マギーと、彼女の伯母アリス・ジェンクス。ヘレン・ハガティと、彼女の父親のアール・ホフマン。ロイ・ブラッドショーと、母親のミセス・ブラッドショー。
彼らの深刻な対立、一方が他方に与える重圧、他方が一方に感じる抑圧。
ただならないきしみと悲鳴を聞いているような、ムンクの「叫び」の絵がを彷彿とするような、声にならない彼ら登場人物たちの悲鳴が行間から聞こえるような気がしました。

読みながらはっとさせられたのは、ヴェルレーヌの詩が文中に出てきたことです。わが国でもよく知られたこの詩の味わいは、ロス・マクの作品の味わいと響き合うところがあるなあと、しみじみ胸に迫ってくるものを感じました。

霧が辺りを包み込む情景というのも、本書の味わいに実にふさわしい。霧とミステリというと、いまちょうど読んでいるクリスチアナ・ブランドの『疑惑の霧』も挙げておきたい作品なんだけれど。

事件はやがて、リュウ・アーチャーの丹念な聞き込みによって、錯綜した暗がりから陽の下にさらされます。ラストには、心底ぞおーっとして、戦慄させられました。

本書にずしんとくる衝撃を受けた方には、マーガレット・ミラーの『まるで天使のような』( How Like an Angel, 1962 菊池 光訳 ハヤカワ文庫HM )もおすすめします。ラスト一行のただならぬ恐さ、こ、こいつは……すげぇーと震撼とさせられるミステリってことで、本書に優るとも劣らない「最後の一撃」を感じたから。

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本当にハードボイルド??

2015/05/19 17:37

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:papanpa - この投稿者のレビュー一覧を見る

新婚旅行中に突然失踪した新妻の捜索を依頼された,私立探偵リュウ・アーチャー。
調べていくうちに,彼女が幼い頃に体験した殺人事件に行き当たります。そこへ新たな事件が・・・。事件は二重三重の殺人事件へ広がりを見せます。

個人的感想
悪くはありません。最後は「ああ,なるほど!」と思わせます。

しかし
探偵が順番に各地をめぐって,普通に情報を集めて行き,ハードボイルドってほどカッコよくもなく,ハラハラドキドキもなく,情報集めてみたら犯人わかりました。
「お遣いRPGかよ!!」って突っ込み入れそうになりました。
もう少し緩急付けてくれないと,盛り上がれません。

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これぞハードボイルド

2017/05/19 23:56

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る

じわじわと殺人者が絞られていく流れは緊張感をもって読めた。これはいい。しかし、残りページ数が本のわずかの時に、気を失ったアーチャーを見たときは、これ本当に終わるの?と疑問を持ってしまった。解決はするんですけどね。犯人はまさかのあの人だったとは……。

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2012/03/07 23:41

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