紙の本
進化とは何か ドーキンス博士の特別講義
2020/03/15 15:06
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ごんちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ダウィンの進化論をわかりやすく現代の時間に置き換えて教えてくれる作品です。動植物の進化においてヒトのみがすばらしいのではなく、生き残るにはそれなりの進化があり、現代にいたることがわかります。この奇跡を大切にする気持ちがおきます。
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なによりもまず読み物としておもしろい。
そして「進化」に限らず正しい知識を身につけるということは、
その基本的な概念を正確に理解することが必要なのがよくわかった。
とくにおもしろいのが3章の「不可能な山に登る」でした。
進化を複数の頂のある山にたとえ、
ある生物が山を登るのにどのルートを使うのかによって、
進化が行き止まりになったり、
進化し続けたりするることをわかりやすく理解できました。
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1991年の英国王立研究所レクチャー。内容は全く古くなく特に眼の進化は大変面白かった。編翻訳者吉成氏のインタビュー・解説も秀逸。ドーキンスの根底にある考えが的確に引き出されていた。現代を生きる私たちはラッキーなのかも
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簡潔によくまとまってます。本を書くのと、講演をまとめるのはたぶんかなり違うスキルだと思うのだけれど、ここで講演される内容はとてもドーキンスの人柄が現れているように感じました。あとさ、キャベツとブロッコリーとカリフラワーって全部野生キャベツから進化したって知ってた?
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ファラデー『ろうそくの科学』のドーキンスver。5日間のレクチャーはこれまでのドーキンスの著作のアイディアがつめこまれている。「デザイン/デザイノイド」「不可能な山」「紫外線の庭」。
進化、それはすこしづつの積み重ねで、しかもそれは学習による積み重ねではない。ランダムに起こった幸運がわずかずつつみかさなったもの。
ドーキンスが伝えようとするのは現実の世界の美しさ。認識を遥かに超える時間をつかった「進化」の過程に今の世界があり、私たちはまったく偶然にこの世界に存在するということ。
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非常にわかりやすい進化論の入門書になっている。とくにデザイン論(創造説)批判になっている第2章と第3章が秀逸。ただし、進化論から生きる意味が導けるとまでは明確に書いていないが、そのような文章が散見されるように思えたので、この点はドーキンスの他の文献にも当たって確認する必要がありそうだ。文庫版には解説で文献紹介がなされている。
翻訳は「だ・である」と「です・ます」が混在しているので驚いたが、訳者あとがきも同じなので、訳者の方のスタイルのようだ。
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往来堂書店「D坂文庫 2017夏」からの一冊。
1991年に英国で子供向けに行われた講義をまとめたもので、いわゆる「進化論」を分かりやすい実例を使って解説した良著。リチャード・ドーキンスの他の著書では、宗教はしばしば非常に悪質な嘘である、などの刺激的な指摘もあって、科学界のピーター・ティール?みたいな感じもあるようだけれど、本書は子供向け講義ということもあって刺激は控えめ。
ドーキンスは、神による創造を信じる「創造論」を蹴散らし、あらゆるものは長い時間をかけて“自然選択”を繰り返して進化を遂げてきた、という「進化論」を展開している。もちろん、「進化論」の入門書として読むのに最適であるのは言うまでもないのだけれど、二次的な解釈もいろいろできるように思える。
例えば、眼という精巧な器官に関する指摘。文字や色などの識別ができなくとも、明るい暗いがわかる眼を持っていれば、最終的に眼の機能が進化して様々な識別が可能になり、それは眼を持たない者より圧倒的に生存率が高い、という。これは、たとえ不完全であっても、ないよりははるかにマシ、ということ。これには何か救われる気がすると同時に、どこかで聞いたことがある話を連想させる。アイディアがあればそれをすぐ形にしてしまおう、形にして世に出してから修正すべきところは修正すればいいではないか…米国のスタートアップ?「修正」を「進化」という単語に置き換えれば、彼らスタートアップのやっていることは、実は生物進化学的に見れば「進化論」に極めて忠実な行動なのではないか。
さらに、今でこそ一般名詞化した「バーチャル・リアリティー(VR)」という言葉を、なんとドーキンスは1991年の時点で既に使っている。しかも、「人間は脳内でVRを作って、それを見ているに過ぎない」と論じるという、衝撃すら覚える指摘の中で使っているのだ。
優れた慧眼と言ってしまうとあまりに安っぽく聞こえてしまうけれど、とても四半世紀以上前に書かれた本とは思えない説得力がこの一冊には満ちている。本書を読んだ今、人間の今後の進化の可能性について触れているユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』の最終章が、俄然現実味を持って迫ってくる。これはちょっとした興奮だ。
蛇足)
本書を読んで、アントニオ猪木の語録がひとつ頭にうかんだ。
「海の中で満足している魚には、陸に上がることを決めた魚の気持ちはわからない」
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ドーキンスの英国王立研究所でのクリスマスレクチャーを本にしたもの。子ども向けだからわかりやすいし面白い。
題はそれぞれ宇宙で目を覚ます、デザインされた物とデザイノイド物体、不可能な山に登る、紫外線の庭、目的の創造の5つ。
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ドーキンスのエッセンスが凝縮されていて既書と比べて格段にとっつきやすい。一日で読み終えてしまった。
時間スケールをわかりやすくするため、地球や進化の歴史を一年や一日に例えたりすることがよくある。しかし本書のように、距離で表すのは新鮮だった。
1mで1000年遡るとして、紀元0年からはじめる。
1mでダビデ王の頃、3mでピラミッド建設の少し前。
ホモ・ハビリスまでは2㎞、初期の哺乳類は65㎞、生命の起源・最初のバクテリアまでは3500㎞、とこんな具合だ。
また、第3章が白眉。
実を言うと著者の『盲目の時計職人』を読みかけのまま長いこと放置してしまっているのだが、この章で全部説明しきっているのではないかと思うほどよくまとまっていた。
「(進化途中の)半分の眼が一体何の役に立つのか」という創造論者に対する反論は実にシンプル。
「半分の眼でもないよりマシ」と。ここの証明は鮮やかだった。
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面白いので、生命の進化に興味がある人はぜひ。
感覚的に把握できないことを、例えで分かりやすく伝えるのが上手。
1000年遡るのをを1歩(1m)とすると、アウストラロピテクスの時代までは3km、初期の哺乳類までは65km、魚が陸に上がってきた時代までは500km…とか!
一歩で平安時代まで戻っちゃうのに、500km先って…途方も無さすぎる。
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進化とは何か:ドーキンス博士の特別講義。リチャード・ドーキンス先生の著書。利己的な遺伝子で知られるリチャード・ドーキンス博士。そのリチャード・ドーキンス博士が英国王立研究所で開催した子供向けの特別講義を基にしたものだから、扱っている内容は難しいけれど視覚的にも工夫されていてとてもわかりやくなっている良書です。当時、リチャード・ドーキンス博士の講義を受けて、自分もリチャード・ドーキンス博士のような研究者になりたい、英国王立研究所の研究所の研究員になりたい、そう思った子供たちもたくさんいたのでは。
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「進化は、長い時間の中の幸運の積み重ね」
高校時代に「生物」に苦手意識がありましたが、予備知識がなくてもサクサク読めました。
いまいる生物はそれぞれ自然と人為的行為によって進化しており、なお成長し続ける。
人間が大きな脳をもてたのはなぜか? 創造力、言語、テクノロジーか相互作用することで、特異な発展を遂げてきた。
生命体の生きる理由は、自分の子孫(DNA)を遺すこと。
人間だけが生態系のトップにいるのではなく、それぞれの生物が自然の淘汰にあいながら、各々の生態系のなかでトップに君臨している。
とてもイメージしやすく進化論を学ぶことができました。
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橘玲著『「読まなくてもいい本」の読書案内』で本書を知った。科学的にモノを考えることは、無神論へと発展することを理解できた。卵と鶏のどちらが先かは、進化論を理解すれば単純なことだった。『利己的な遺伝子』も『神は妄想である』も読みたい。
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わかりやすいのに読み応えもあり、おもしろかった。「デザインされたもの」や目的があるはずという錯覚についての考察が特に印象的だった。
こういう科学の本を読む動機として、面白いからで良いと言っているのも目から鱗だった。
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ドーキンス先生による、進化論の解説。
生き物は最初からデザインされた存在ではなく、進化によってあたかもデザインされたかのような機能を得たという論で語られています。
ドーキンス先生の本は「利己的な遺伝子」とこれしか読んでいませんが、こちらのほうが読み物的で平易であり、中高生にもおすすめできます。
特別講演で話されたことをまとめたものだそうです。