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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2000.1
- 出版社: 集英社
- サイズ:22cm/382p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-08-773316-5
- 国内送料無料
紙の本
ファウスト 第2部
【毎日出版文化賞(第54回)】人間にとって時には愛以上に魅惑と惑わしに満ちたものである金銭をテーマに繰り広げられるドラマ。錬金術の名のもとに、小宇宙と大宇宙の位相をつくし...
ファウスト 第2部
紙の本 |
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- 税込価格:6,600円(60pt)
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商品説明
【毎日出版文化賞(第54回)】人間にとって時には愛以上に魅惑と惑わしに満ちたものである金銭をテーマに繰り広げられるドラマ。錬金術の名のもとに、小宇宙と大宇宙の位相をつくし、壮大な生成と蘇りとを描く。散文体による新訳でおくる第2部完結編。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ゲーテ
- 略歴
- 〈ゲーテ〉1749〜1832年。ドイツの詩人。著書に「若きウェルテルの悩み」ほか。
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四大元素をモチーフに散りばめて、古代ヨーロッパや神話世界、中世ヨーロッパの経済をファウストが遍歴する第2部は、時空が交錯してやはり読むのに難物。訳者のガイドに大いに助けられる。
2002/01/27 12:13
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投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る
第1部、悪魔メフィストフェレスに魂を売って若さを手に入れた老学者ファウストの俗世のエピソードはあっけなく読み終わってしまったけれど、この第2部はやはり手ごわかった。2回読んでみた。数え切れないぐらいのキャラクターが登場する戯曲で、ところどころに光る箴言のようなセリフに読書の喜びは感ずるものの、個々のエピソードがどこへどうつながって全体がどうなっているかという流れや構成がしっくり頭に入ってこない。煙に巻かれたような心地する。
大いなる導きの師として感謝を捧げたいのが、訳者・池内紀先生である。既にこの方の生き生きとした訳で、私は読み通したことがなかったカフカの『城』を読了する経験を重ねた。それがサマーセット・モームの選んだ『世界の十代小説』に入っていることが、何やら嬉しく何やら誇らしい思いをしている。この『ファウスト』に関しては、高踏な文学というイメージを拭い去ってくれる調子の良い訳に加えて、巻末の解説が理解を助けるガイドとなっており、これに大いに救われた。
ギョエテ先生、第1部を刊行したのが59歳のとき。そしてこの第2部に最後に手を入れ直したのが83歳で、それが彼の晩年に当たるということである。うなりながら思弁して、結果生み出されたお話というイメージである。実際、作者本人も第1部とのつながりに難渋しながら書き次ぎ、ゲーテ学者らも難解で錯綜した注釈書を残しているという。
池内先生は、まず、金銭をめぐるドラマの流れを読み取ってみせて、そこに錬金術を位置づけている。わかりやすい。最近の魔法ファンタジーのブームでも知られているように、賢者の石を使った錬金術によって人が手に入れたいと願うのは、「永遠の生命」そして「尽きることない巨万の富」である。それにしても、これが過去数千年変わることがないのも情けない話ではある。それをブレイクスルーしてしまうのが、たとえばチベット密教のようなものなのだろうか。
永遠の生命を第1部で得たファウストが第2部で直面するのは、財政が破綻した帝国である。登場したメフィストは「金など要らない。地中の宝を担保に抵当証券を発行して、紙幣をどんどん発行するように」と皇帝に進言する。バブル経済の経験から、読者である私は錬金術のひとつの側面を理解する。
そして、物語は展開していく。ファウストの弟子が化学で造り出した人造人間が魂を求めて神話世界を遍歴したり、冥界に下ったファウストが運命の女へレナを蘇らせて結婚して子を成したり、メフィストのお陰で復活した帝国が内戦により危機に瀕したり…と。そこに、火や水、土や空気などの四大元素がモチーフとして絶妙に絡められている。ヘレナが風のように大空に拡散していくようなシーンが美しく印象的だった。
が、やはり、いろいろなエッセンスを感じはしたのだが、作家の大いなるもくろみが今一歩頭では理解できず。ちょっと悔しい気もする。
作家が宇宙を体内に感じるに至ったときの妄想が写されているのかも、という想像に終わったが…はて? 理屈っぽく頑固なばばあになったとき、もう一度読んでみようかとは思っている。