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捜神記 (平凡社ライブラリー)
幻術の名人、墓から生き返る娘、千年を生きる狐の変化…。怪異譚が流行した中国六朝時代、東晋の歴史家・干宝によってまとめられた464の霊妙不可思議な小話集。1964年刊の再刊...
捜神記 (平凡社ライブラリー)
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商品説明
幻術の名人、墓から生き返る娘、千年を生きる狐の変化…。怪異譚が流行した中国六朝時代、東晋の歴史家・干宝によってまとめられた464の霊妙不可思議な小話集。1964年刊の再刊。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
干 宝
- 略歴
- 〈干〉中国・東晋時代の学者。「晋紀」の執筆、古典の注釈などを行った。
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怪力乱神の時代を読もう
2008/07/21 00:30
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
幽霊、妖怪、神や仙術といったものが実在すると信じられていた時代でも、それが何だと聞かれると、断片の継ぎ合わせにしかならなかったろう。それも一つの真実のあり方だし、その断片を集めてみても、それは断片の集合体でしかない。ただそういうコレクションは楽しい。また集めることによって茫洋と見えてくるものもあったりする。
捜神記は六朝時代に集められた奇譚集(志怪小説)で、この種の書物で現存する中では元祖みたいなものだが、話のタイプごとに分類されているというところが優れものなのである。仙人、仁者の話、占い、妖神、前兆や夢、妖怪、幽霊、奇妙な動植物、など。そして面白いのは、それらの変異に対して、人間がどのように対処したかなのだ。多いパターンの一つは、その変異があってしばらくして漢の王朝が滅んだとか、なんとかの乱が起きたとか、その後出世したとか、吉兆、凶兆として捉え、それみたことかみたいな因果応報の口ぶりだ。語り口の端々に現れるのは、著者の気持ちも入っているかもしれないが、やはり大衆の本音であったのだろう。それらの因果論が真実であったかと言えば、そのまま信じれば漢の滅亡の理由は100にも1000にもなって、収拾がつかなくなる。その意味で「怪力乱神を語らず」とか言った偉い人の見識は妥当かもしれないし、史書の中での記述を排した人についても、ごもっともなことである。
ではこれらの伝承が偽史なのかと言えば、その時代に生きた人々の意識を表しているのだとすれば、現実の歴史に与えた影響を否定できない。「怪力乱神」は一時とりあえず横に置いておかれたとしても、単なる習俗、文化の枠を越えて、やはり歴史の一部として取り扱うのが本来の有り様だろう。
そういう視点で真剣に精読すると大変だと思うのでやらないけど、過去の王朝、支配者、英雄、奸臣といった存在に対して、人々がどのような思いを抱いていたのかはよくわかる(ついでに恥ずかしながら歴史の勉強にもなりました)。「天」について、自然に対する畏れの意識も、素朴ではあるが学ぶところも多い。優れた仙人、賢者達、正直で誠実な人々が報われる話は、清々しく気持ちいい。こういう感性は当時も現代も変わらないというのは、なにか嬉しいよ。
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古代中国
2020/09/06 19:31
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投稿者:猫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
簡潔な文章なのに、独特の世界観があり、読み始めると引き付けられる。
分厚い本なので、読み応えもある。