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翻訳はいかにすべきか(岩波新書 新赤版)
  • みんなの評価 5つ星のうち 3.4 7件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2000.1
  • 出版社: 岩波書店
  • レーベル: 岩波新書 新赤版
  • サイズ:18cm/214p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-00-430652-3
  • 国内送料無料
新書

紙の本

翻訳はいかにすべきか (岩波新書 新赤版)

著者 柳瀬 尚紀 (著)

翻訳はいかにすべきか (岩波新書 新赤版)

778(税込)

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みんなのレビュー7件

みんなの評価3.4

評価内訳

紙の本

「翻訳は日本語の問題であ」り,「翻訳に不可能はない」

2010/09/26 12:16

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:BCKT - この投稿者のレビュー一覧を見る



やなせなおきは1943年(根室市)生まれ。早大文卒業(70年,27歳!)。同大学院博士課程中退。成城大学勤務(77年(34歳)-91年(48歳))。翻訳不能と言われたジェイムズ・ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』(河出書房新社全2巻,1991-93,河出文庫全3巻,2004)を独自の造語を用いて翻訳(日本翻訳文化賞受賞,94年,51歳)。本賞に関しては,著者は連名(共訳者)で受賞歴がある(ダグラス・ホフスタッター『ゲーデル、エッシャー、バッハ』,85年)。

序章
第一章 翻訳[旧字体]は如何様になすべきものか
第二章 小砂眼入調
第三章 翻訳の姿勢
第四章 『ユリシーズ』翻訳
第五章 無理の愉悦
余が翻訳の標準


“アクの強い,口の悪い著者の本は面白い”の法則通り,柳瀬の本は面白い。本書も面白かった。そういえば,誤訳を指摘していた別宮貞徳の本も面白かった。こういった無双の英語力を持っている人が誤訳を指摘し,範例を示してくれると,翻訳業界も引き締まっていいと思うし,地方国立大学の教授なんかも,こういった著者を読んでいるかもしれない学部生相手にならエラそーな口も叩きにくかろうと思う。

ところで,著者は「翻訳は日本語の問題である」と断言し,「翻訳に不可能はない」を実践している。実際,翻訳不能と言われた著作を翻訳しているのだから,“私はあなたには敵いません”としか私には言いようがない。私が驚くのは,著者の日本語についての,というか抉るような知識量である。例えば,本書はじめの方に「一国」という言葉を用いて著者が翻訳を論じている。私にはこれを“一つの国”という意味以外で使った経験はない。経済学部出身者の九割九分はそうだと思う(思い上がりか?)。しかし,これには“一つの国”から連想を許さないような意味があり,著者はこれを用いて論を進めているのだ。翻訳業が輸出不可能の国内産業なのだから,日本語に通暁しているのは当たり前だのクラッカーなのかもしれないが,恐れ入るほかない。

翻訳とは,できていて当たり前の評価しかもらえない。苦心惨澹の挙句,たった数語からなる一か所の翻訳を,快哉を叫びながら書きつけても,誰も褒めてくれるものはない。逆に間違っていたら,鬼の首でもとったかのように好き放題いわれてしまう。もともと仕事って,どんな業界でもそんなもんなんだよねぇ・・・。御同輩,ご一緒に努力しましょう。(965字)

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紙の本

戦闘的

2001/07/06 13:03

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:花梨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「フィネガンス・ウェイク」や「ユリシーズ」などの翻訳や、軽妙なエッセイで知られる著者が、堅い題名の本を出しました。内容も実に本格的で、さまざまな本訳書への具体的な批判、著者への反論への再反論なども含みつつ、翻訳はいかにすべきかを高らかに宣言しています。

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2005/07/15 02:07

投稿元:ブクログ

翻訳家を志す私としては避けて通れない一冊ですね。英語の翻訳を主体に書いてありますが、森鴎外や二葉亭四迷などの話も載っていて面白いです。後半は誤訳の紹介になってしまっていたのが少し残念でしたが、とても参考になった本でした。

2015/02/28 16:33

投稿元:ブクログ

考察が細かく、熱意がすごく伝わってくるが、如何せん批評の仕方に節度が感じられず、人品を損なっているように思われて残念。
言葉遊びも入れすぎると読みにくいだけ。それがおもしろくなかったり、サラリーマンの駄洒落のようにしか感じられないと最早苦痛。
同業者同士の喧嘩は内輪でやった方が宜しいかと。

2011/11/12 18:54

投稿元:ブクログ

ジェームス・ジョイスの翻訳で有名な著者ですが、本書では二葉亭四迷、堀口大學、澁澤龍彦などなどの文学者の翻訳に関する姿勢を援用しつつ、氏の独特の翻訳スタイルがどんな考えに基づくものであり、それが決して駄洒落の一言で済むものではなく、原書の精読によるものであるかを告白しています。本書では、他書の誤訳をいくつか指摘していますが、氏持ち前の駄洒落っぽさで刺々しさを中和しています。翻訳にはいかに『志の高さ』が必要かを痛感させられる一冊です。

2012/08/23 10:15

投稿元:ブクログ

翻訳された文章を如何に日本語らしく表現するかについて書かれた本。他の翻訳者がどう翻訳し、自分はどう翻訳するかを比較した文章が多く、途中で飽きてしまった。

2016/04/15 20:46

投稿元:ブクログ

 万人受けしない筆致の、翻訳についての熱い小文。


■新赤版 652
■体裁=新書判・並製・カバー・220頁
■定価(本体 720円 + 税)
■2000年1月20日
■ISBN4-00-430652-3 C0295

 明治のはじめ,翻訳事始の時代から今まで,日本の翻訳は一体どこまで進んだのか.きりっと引き締まった二葉亭四迷に引き比べ,掃いて捨てるほどの代名詞の山,時制にがんじがらめの文体,言わずもがなの迷訳・誤訳.「翻訳に不可能はない」と言いきる著者が,自らの血のにじむような苦労を振り返りつつ開陳する翻訳論の決定版.<https://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/43/3/4306520.html>


【目次】
目次 [i-iv]

序章 001
一国さを貫く
竈猫の実践
翻訳は細部に宿る

第一章 飜譯は如何様にすべきものか 011
軽快にして細心
習いたてのピアノ
辞書語と翻訳
『血笑記』――血も滲む推敲の跡
はじまえは下に居た
時制自制症の克服
彼と彼女の呼びかけ語
足と膝、全身と肩
誤植余談

第二章 小砂眼入調 053
続「あいびき」
「三人冗語」と「雲中語」
「トウコギ」と「とうこぎ」
粗漏と精細
「三人冗語」「雲中語」の翻訳批評
情實翻訳批評
小砂眼入調現代版
英和辞典語翻訳
耳にとどく文節

第三章 翻訳の姿勢 107
翻訳は不朽の業
精読の愉悦
書淫の怪物
もう一人の怪物
精読と省略

第四章 『ユリシーズ』翻訳 135
鼎訳の猫と猫訳の猫
頭黒の小用
覆いの掛った蹄訳
鼎訳と猫訳の点検
翻訳は趣味ではない
可哀そうに……
《俺》の出番

第五章 無理の愉悦 179
無理がジョイスフル
三島由紀夫のフィネガン飜譯
恩師・加藤郁乎
日本語という天才

余が飜譯の標準 206

あとがき(一九九九年十二月 柳瀬尚紀) [211-214]

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