紙の本
苦難は続く。
2018/12/26 19:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
藩政の改革は、飢饉や御用掛で出費が減らない。一生を藩の経営と領民の安寧の為に働いた人間の物語。藤沢周平の遺作。力尽きるように終わるこの作品に、国を治める難しさと責任を問い掛けられる。
紙の本
尻すぼみ
2020/03/23 07:13
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トッツアン - この投稿者のレビュー一覧を見る
上巻が面白かったので、期待していたが下巻に入って話に進展もなく、淡々と時間だけが経過しているような感じで、上杉鷹山の功績といったものが分からずに終わった感じだ。
投稿元:
レビューを見る
未完、ということでどうしようもない部分もあるが。。やはりしんどい。上巻では活躍目覚しかった当綱に、そんなに冷たくしかもネチネチからまなくったって…と少しむなしくもあった。上杉鷹山に興味はわいた。
投稿元:
レビューを見る
藤沢さんの遺作。上杉鷹山の米沢藩改革を描き、現在の政治に通じる部分も多い。藤沢さんは時代小説家と思っていたけど、これは歴史小説。藩政治とは何か、興味本位ではなく厳しい内容を納得させられる。ただ、あくまでも武士の視点で、百姓を可哀想、仕方ないと焦点は藩士の救済となる。むしろ、それが隠れたテーマかな。あまり出てこないが、幕府の対応も興味深い。面白味には欠けるが、江戸時代の藩についての見方が変わる。
投稿元:
レビューを見る
さらなる藩政改革を初め、これからの展開が気になるところで本作は終了。著者の絶筆なのが大変惜しまれる。
投稿元:
レビューを見る
藤沢周平の遺筆となった本作だが、やはり最後が残念だった。
中身もよみやすく書いてあるだけに、続きが読みたいと思ってしまった。
莅戸氏の改革はその後どうなったのか。
今を生きるわれわれにも非常に示唆にとんだ一冊であると思う。
投稿元:
レビューを見る
藤沢周平最後の小説との事。最後のあっけない終わりは?しかし解説によると複数あるパターンのうち本作品の終わりかたをチョイスして妻に原稿を渡したとか。作者が作家人生をかけて最後に言いたかった事を考えずにはいられない。
投稿元:
レビューを見る
上杉鷹山について、名前だけは知っていたがその人生(政治)を知らなかったことと、藤沢周平の遺作ということで手に取った。場面場面で鷹山以外の重要視される人物が異なるため、ついさっきまでに重要な位置を占めていた人物が20頁ほど読み進めると重要でなくなり、また新たな人物が重要人物として描写されるという進行なので、少し読みにくいかもしれない。
上巻の半分くらいまでは鷹山が幼少で、また下巻の半分くらいで鷹山は隠居してしまうため、藩政に携わったのは、物語の半分くらいの容量しかない。また結局鷹山が行った藩政の結果(果実)が描かれぬまま終わってしまうので、中途半端な印象を受ける。
前藩主の愚行っぷりと対比させて鷹山の善政が鮮やかに描かれており、読者は多少の溜飲を下げるかもしれない。しかし、結局米沢藩はどうなったのだろうか?と思わざるを得ないだろう。
読みながら、結局上に立つものにより組織の行く末が決まって行くのだという思いを新たにした。ドラッカーなんか読むよりよっぽど思うことが多かった。
以前いた会社は、人間的にも能力的にも素晴らしい人物が多くいたが、結局経営者が無能なイエスマンばかり重用したため、上場廃止という結果になった。その過程で多くの人がリストラされた。しかし経営者の多くは上場廃止の責任をとらず、新会社でぬくぬくと活動を行っている。犠牲になるのはいつの世も農民やら社員やら、弱者の立場に置かれた者だ。
この本で米沢藩の歴史を知るにつれ、会社という組織(藩)と経営者(藩主)に思いを重ね上記のような感想を持ってしまった。
例えば『竜馬がゆく』や『坂の上の雲』といった歴史小説に比し、読後に得られる爽快感(カタルシス)は無いことを知った上で、この本をお読みになられれば良いかと思う。
組織(運営)とは何か、すなわち人間社会とは何かということについて考えさせられる本である。
投稿元:
レビューを見る
ひさびさの歴史もの。
しかも藤沢周平。
しかも、遺作だとは
まったく知りませんでした。
高校時代に「逆軍の旗」を読んで
上杉鷹山のことを知った程度だったけど
あらためて読んでみると
いろいろ興味深いもの。
歴史物を読んでるというよりは
組織物を読んでいる感覚。
なんかいろいろ参考になりました。
上下の2冊に分かれているけど
物語としては下巻の方がドラマティック。
投稿元:
レビューを見る
ええー上杉鷹山ぜんぜん活躍しないじゃん、と驚いた。だって上杉鷹山って日本史の授業でも習うし、テレビでも取り上げられる江戸時代中期の明君というイメージがあったから。
窮乏した米沢藩を再建したヒーローのイメージはとてもじゃないけどこの本にはなかった。改革を進めようとも楽にならない藩。天はまるで邪魔するように冷害を与える至難の連続に、疲れた、と思う上杉鷹山は生々しかった。さらにこれが藤沢周平の遺作の一つとなれば、晩年病に苦しんだ作者の姿とどこか重なる気がして…。
絶筆――つまり未完の作品。あの続きが果たしてどうなったのか、読めないのが惜しい。
投稿元:
レビューを見る
著者が亡くなる寸前に執筆された本と言う事です。
最後のページはもっと長く、と考えていらしたらしく、そう思うと残念です。
投稿元:
レビューを見る
藤沢周平さん晩年の最後の作品。米沢藩のフィクション、貧窮のどん底にあえぐ米沢藩。天よ、いつまでわれらをくるしめるつもりですか。改革はままならない。鷹山の孤独と哀しみを明澄な筆でえがきだす下巻。けれど漆は生長し熟しはじめていた。その実は触れあって枝先でからからと音をたてるだろう。政治とは、民を富まし、しあわせな日々の暮しをあたえることにほかならない。藤沢さんが読者にのこした遺書とでもいうべきこの長篇小説。はでさの無い淡々とした作品で落ち着いて読める。
投稿元:
レビューを見る
物語と言うより、史実を描くということに重点が置かれてるような…。
江戸時代の困窮した米沢藩がそこから立ち直ろうと苦労するさまが描かれてる。困窮から抜け出せない藩の苦渋がありありと描かれてる。
資料的な記述が多く、読むのに時間がかかった。
投稿元:
レビューを見る
為せば成る 為さねば成らぬ 何事も 成らぬは人の 為さぬなりけり。
改革はなかなか進みません。
治憲は隠居し、政務を離れ、客観的な目で改革をみていきます。
「天よ、いつまでわれらをくるしめるつもりですか。」
鷹山は孤独と哀しみに耐え、新たな改革を進めるべく、陰ながら支援していきます。
著者未完の大作。
鷹山の名君ぶりが描かれます。
投稿元:
レビューを見る
藤沢周平 「 漆の実のみのる国 」
上杉鷹山、竹俣当綱、莅戸善政らによる米沢藩の財政再建の物語。派手なドラマや奇跡が起こらないことに 産業育成による財政再建のリアルを感じる。
著者は 上杉鷹山の成功物語を描きたかったのではなく、長い時間をかけてでも 地域産業を育成する政治の姿を描いたのでは?
産業育成型の財政再建の特徴
*寛猛二つの心得による民衆養育→農民人口を減らさない
*政治と民衆が一体となった支出削減→借入返済
*領内だけでなく領外からも資金調達
*材料調達から製品化まで領内完結
序盤は まるで ヨブ記のような不幸続き。貧しさが 人間の外見や建物だけでなく、心の貧しさとなっている〜武の道も廃れ、藩を支える道義は権威を失い、金の力が権威となった社会