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皆月 (講談社文庫)
皆月
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紙の本
愛と再生のロードムービー
2002/06/10 01:35
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きすけ - この投稿者のレビュー一覧を見る
『みんな、月でした』
1000万円の貯金と共に彼の元を去った妻が書き残したのはそれだけであった。
全てを失った男が自分を取り戻す為の再生の旅はここから始まった。
ヤクザ者の妻の弟エイジの奇行に振り回されながらも、男は確実に、自分の居場所を見つけていく。
萬月作品では珍しい普通のおやじ、諏訪徳夫が主人公のこの小説は萬月特有のエキセントリックな人物にいまいち感情移入することが出来ない自分の心にも強く響いた。
情けなく、鈍感な男が本物の自分を手にする愛と再生のロードムービー。
必読。
紙の本
旨くて、すごい小説。
2001/11/04 22:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:亀豆 - この投稿者のレビュー一覧を見る
きっかけは吉川英治文学新人賞だった。同じ賞を受賞した「ホワイトアウト」(真保裕一著)が面白かったので、これもどうかな、と思って読んだら、大当たり。
中年男の再生の物語なのだが、性的描写や暴力描写も多く、クセが強い小説だと思う。なのに、不思議なほどに、読後感がさわやかなのだ。とても良いものを読めた気分。リアルでいびつ。でも、温かい話だ。
ミステリーが好きだが、最近読んだミステリーが、トリックにしか凝ってなくて、それさえもすぐに忘れてしまうようなミステリーが重なっている人に特におすすめしたい。旨いなぁ、とうれしくなれるはず。
紙の本
全てを無くした中年が
2021/10/01 14:24
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
なぜだか義弟とさ迷い歩く後ろ姿が哀愁たっぷりです。真逆の人生を送ってきたふたりに芽生える、不思議な一体感も心に残ります。
紙の本
現在の萬月さんは、ここからはじまった
2001/06/16 09:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:旅歌 - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公は40歳のパソコンオヤジ。ある日帰宅してみると1,000万円の貯金と一緒に妻が消えてしまっていた。自暴自棄になったオヤジと義弟のヤクザ者との共同生活が始まって、オヤジは自己を再発見していく、、というような物語。
読み始めたらすぐ物語に引きずり込まれるんだけど、どうも雰囲気が違う。どうしてかな? と思ったら一人称じゃないか! 萬月作品はこれが13作目だけど初体験。オヤジの視点で、しかも「私」だから困った。。冒頭からはなんだか普通の小説っぽい。感情を抑えた筆致とでもいえばいいのか。淡々としている。ヤクザ者のアキラが登場して、物語が転がり始めても変わらない。結局、最後まで淡々としていたのだ!!
考えてみれば、主人公は普通のサラリーマン。妻に逃げられて会社を退職したとはいえ、一流会社で橋梁の強度計算をしていた人間。萬月が忌み嫌ういわゆる「小市民」である。その「小市民」が最たるアウトローである「ヤクザ」と接点を持ち、自己を再発見していく。非常に皮肉たっぷりな作品といえるかもしれない。言いかえれば、アウトローと接することによって、「羞恥心」と「自尊心」に目覚めていく姿が「小市民」側から語られるわけだ。そして最たるアウトローのヤクザ者アキラを小市民が理解してしまう。これは、コペルニクス的転回と言えるんじゃないだろうか。誰もが心に隠し持っているであろうアウトロー的な部分。そこにスポットを当てたこの作品は、花村萬月という作家の間口を大きく広げたような気がしてならない。
この作品は第19回吉川英治文学新人賞を受賞した。