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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2000.3
- 出版社: 東洋経済新報社
- サイズ:21cm/292p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-492-52109-7
- 国内送料無料
紙の本
レバレッジド・バイアウト KKRと企業価値創造
著者 G.P.ベーカー (著),G.D.スミス (著),岩村 充 (監訳),日本債券信用銀行・金融技法研究会 (訳)
1990年代アメリカの企業社会に多大な影響を与えている企業買収手法LBO(レバレッジド・バイアウト)を精緻化した金融会社コールバーグ・グラビス・ロバーツについての記録と分...
レバレッジド・バイアウト KKRと企業価値創造
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商品説明
1990年代アメリカの企業社会に多大な影響を与えている企業買収手法LBO(レバレッジド・バイアウト)を精緻化した金融会社コールバーグ・グラビス・ロバーツについての記録と分析をまとめる。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
日経ビジネス2000/5/22
2000/10/26 00:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:平井 岳哉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本著は、1988年のRJRナビスコへの314億ドルをかけた企業買収で世界的に名をはせた投資専門会社KKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)社の創業からの歩みを記録したノンフィクションストーリーである。ビジネススクールで教鞭を執る2人の学者による、社内資料とインタビューを駆使した企業史・ビジネス解説書という性格も有する。
レバレッジド・バイアウト(LBO=買収先資産を担保にした借金による買収)は、買収資金の大半を外部借り入れに依存。これを手掛けるのは、いわば企業再生のプロ集団だ。
資金調達や事業売却などの派手な再建手法に目をとらわれがちだが、最も重要なのは、人間の心理を巧みにつかんだ経営手法にある。買収後の経営者には、外部スカウトや内部昇格を含め適任の人物を選任するが、その際相当額の個人資産を出資させ、経営者と所有者を同一化させるスタイルを取る。このため自己の資産と報酬がかかった経営者は、企業価値の指標となる株価を高めるため、埋もれた資源の発掘や無駄な資源の放出などリストラに邁進するのである。最近日本でも見られるようになった、従業員が自社の株式を購入し、自ら経営者となって再建に取り組むMBO(経営陣による企業買収)は、この手法と同一である。
今日のアメリカ経済の盛況の前史には、70年代における長い低迷があった。この時期、アメリカの大企業では資本と経営の分離の下、経営者は誰からも規制を受けない野放しの状態にあり、これが無責任な経営を引き起こした。経営者の暴走を抑えるために株主の立場を強化し、ストックオプション(自社株購入権)のようなインセンティブを付与しながら首のすげ替えを頻繁に行うといった緊張感を経営者に植え付けたことが今日の活況の一因とも言われている。KKRの開発した手法も、コーポレートガバナンス(企業統治)の考え方に沿い、ビジネスモデルとしてどの業種の企業でも適用できるように仕立て上げた点が先駆者たるゆえんである。
成功・失敗を含めてKKRの代表的な投資案件の処理を通じて、アメリカ企業社会の強引だが強靱なダイナミクスが浮かび上がる。日本ではKKRの行う「利ざや稼ぎビジネス」の評価は高いものではない。しかし、我が国の大企業の中には、バブル時の経営責任をいまだ明らかにせず、トップの地位に居座り続けている経営者もいる。その多くが株をほとんど持たないサラリーマン経営者であることを考えれば、経済再生のカギもこのビジネスに隠れているのかもしれない。
Copyright (c)1998-2000 Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved.
紙の本
企業再生アメリカンウエイ
2003/03/19 17:44
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本は世界第2位の経済大国になったが、いまだにインテリの
間では金銭を卑しむ風潮が残っている。金銭について、あるいは
金儲けについて公然と語ることははしたないことと学校で教える
からそうなるのである。元々日本の学校は江戸時代の武士教育の
流れを汲んでいる。だから産業再編という日本経済の重要課題に
ついても、「金儲けを目的としない公的機関・第3者機関が
公平な視点から弱者救済に目を配りながら行うこと」が良しと
されている。米国流の企業買収は「ハゲタカファンド」なんて
おどろおどろしいレッテルを貼られ忌避されている。しかし
産業再編企業再生という大変な大事業を、何の報酬もなく
ただただ「社会のため」「弱者の為」に奉仕するようなおめでたい
人がこの日本にいるだろうか?実はそんな人はいないのである。
だから日本は何時までたっても企業再生も産業再編も遅々として
進まないのだ。その点アメリカは全てを「個人の欲望を満たすこと」
を通じて解決しようとする。「強欲な人間たち」を誘い込み、彼ら
に莫大なエサを提示して彼らを大金持ちにしながら、その過程に
おいて産業を再編し企業を再生しようとする。日本の基準からすると
動機たるや極端に不純な「卑しい」ものなのだが、それが結果として
素晴らしいものを生み出す。一見「公平無私」で「清潔」な高級
官僚に「それがエリートの義務」「ノーブレスオブリージュ」なんて
自分なら絶対やらないような無理難題を押し付け、ひたすら無償奉仕
を要求する日本では何時までたっても物事は前に進まないが、強欲
な金儲け主義者が前面に出てくるアメリカでは、極めてダイナミック
な変化がものすごいスピードで行われ結果として社会も国民も
益々ゆたかにハッピーになっていく。非常に考えさせられる
人間のパラドックスがここにある。そろそろ高級官僚に無償奉仕を
もとめ自分は社会へのぶら下がり健康法を決め込む日本国民に
カツを入れる時が来ているように思えてならない。