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ホンダ神話 教祖のなき後で (文春文庫)
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紙の本
企業の存続とは何なのか…
2002/01/12 08:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オウイン - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、ホンダファンのための神話本ではない。本田宗一郎と藤沢武夫の偉大さを伝える本でもない。本書はホンダ成長の記録であり、それは企業の成長に伴う社会との関わりや様々な組織上の問題に焦点を当てたノンフィクションである。そして、成長した企業はその後なにを目標に存続していくのかを問う。
戦後、ホンダは一貫して成長を続け、今やトヨタと並んで「2強」の時代を謳歌している。しかし、成長し勝ち続けた企業はこれからも成長し勝ち続けなければならないのだろうか? それは日本という国の戦後史でもあり、これからの日本を考えたときのテーマでもあろう。
本書は1995年に単行本として発刊されたが、文庫本の本書は2000年発刊であり、その間の出来事を「エピローグ」として追補している。この間はまさにホンダ快進撃の5年間でもあるが、逆にホンダの苦悩がいっそう深くなっていることを伝えている。
700ページ弱というかなり分厚い本であるが、佐藤正明氏の卓越した取材と克明な記述により、まさにその場に居合わせているような臨場感があり、一気に読めた。
紙の本
2000/3/27
2000/10/26 00:21
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:日経ビジネス - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、常に「勝利」を求めホンダを町工場から世界企業へと導いた本田宗一郎氏とその盟友藤沢武夫氏の生きざまに肉迫したルポルタージュである。さらに、両雄亡き後の「舵取り役」たちが迷走の果てに行き着く地を予測する試みでもある。1995年に単行本化され、翌年大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。本年はこの文庫版に加え、米国で英訳書が出版される予定だ。
日本経済新聞社の自動車業界担当記者としてホンダの中心人物たちを追い続けてきた著者は、高収益企業ホンダを礼賛するのではなく「ホンダを通して『会社の寿命』を探ること」に主眼を置き取材を進めた。
作家の北方謙三氏は本書の解説で「ホンダは勝ったのだろうか。それぞれの局面での、輝かしい勝利はある。オートバイで世界制覇をするところなど、ドラマチックでさえある(中略)しかし、勝ちはしなかった。ビッグスリーやトヨタや日産が上にいたということではなく、企業というものが、最終的には勝つものではないということが、実は2人(本田、藤沢両氏)は最後までわからなかったのではないか」と述べ、本書が踏み込んだ普遍的問題点を読後感とともに指摘している。
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