タイ人と働く ヒエラルキー的社会と気配りの世界

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タイで働く人は絶対に読むべき本。あとがきも必ず併せて読むべき。タイ人の思考回路がかなり分かるようになった。

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　タイで働いて半年。今回の一時帰国に合わせて購入したこの本は、ページを開くごとに「ああ、なるほど」と思わされる良書であった。
　12プラス1のほほえみ、グレンチャイ（遠慮）、ハイキアット（敬意を示す）などなど、どれも職場で「？」と思った点を見事に突いている。自分の場合、企業でないからそれほど苦しむことはないけれど、とても理解を深めるのに役に立った。
　おそらく原書で読むよりも末廣氏の訳の方がよい。訳注と巻末の解説がこれまた分かりやすい。

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アメリカ人とタイ人の学者夫婦による外国人がタイでビジネスを行うにあたって参考となるタイ文化論である。90年代前半の出版だが、いまでも大いに役立つ。わかった風でわかっていないことばかりだ。タイのバックグラウンドに思いを馳せれば容易にさもありなんと納得できる。巻末の訳者解説もまたあわせて参考にしたい。

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実際に自分がタイ人と働いた事がないので、参考程度に呼んでみた。
こういのは実体験しないと、あまり深いところまでわからないのではないだろうか？

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ヘンリー・ホームズ＆スチャーダー・タントンタウィー著、末廣昭著「タイ人と働く」めこん（２０１０）
＊（１）新しい環境の中で、訪問者が見つけようとするのは何か、（２）無視しようとするのは何か、（３）目にした事柄をどう読み取り理解するか、これらた人が新しい環境に入ったときに直面する問題だ。
＊もし私達が「朝日」の美しさにあまりにこだわってしまうと、「夕日」も驚く程魅力的である事を忘れてします。初めての土地についたとき、私たちは膨大な量の新しい情報や行動様式を向き合うが、中には私たちの理解の範囲を超えてしまうものもある。そしてこれが精神的に負担になるので、私たちの心はつい入手した情報を自分の頭の中にある整理箱にいれようとする。新しい、もしくは違った行動様式や見た事がない行動様式にふれると私たちの心はその行動様式にあるレッテルを探す事になる。曰く「アメリカ人はうわべだけだ」「フランス人は横柄だ」「タイ人は責任転嫁をする」。そしてひとたびこれらの入れものをしかるべき所に納めふたを閉めてしまうとこうした考えは固定観念に転じてしまい海外での評価として定着する。
＊タイでは何世紀も前、持てるものともたざるものの格差がまだ大きかった頃、エリート層は現状維持をよしとする考え方を発展させ普及させて行った。ヒエラルキー構造に占めるボスの役割はもちろんのことそれ以上に同僚たちでつくる社会のヒエラルキー構造で彼が果たすインフォーマルな役割のほうがずっと重要になる。つまり上の人間は、指示や統制を行うだけでなく、精神的なサポートを行い、同僚やスタッフの面倒をみることも期待されている。こうした個人的な努力は、上の人間は外国人マネージャーが自国で期待する以上に、広い範囲で引き受ける傾向がある。宗教行事に出席したり、贈答をおこなったり、スタッフを慰労したり、部下の家族の状況をあれこれ知っていたりする事だ。
＊タイ人の自分の意見をはっきり主張するという態度をどれだけ（部下）から引き出し、それをのばして行けるかは管理職としての効率性の重要な用件となるし、部下とのコミュニケーションや職場の士気にも大きな影響を与える。
＊タイ人を理解するうえで最も重要かつ興味深い概念は「グレンチャイ（気遣い、遠慮）」という言葉である。タイの大学ではグレンチャイの果たす有益さと有害性について１００単位の論文が書かれている。それは抽象的なレベルだけではなくタイ人の日常行動のレベルでも重要な概念で、とりわけ、ビジネスにおける管理職にとって関わりのあるのは動機付けとしての「グレンチャイ」の使用である。
＊グレンチャイとは大まかに言って、不快な事や対立が生じる恐れのある場合、そして楽しく協力的な人間関係を保つ必要が有る場合、自分自身の関心や欲望を抑制しようとする個人の態度に関係している。
＊外国人経営者がタイで働く際になすべき課題（１）タイ人にやるきをおこさせること・・・はたして彼らを楽しく生産的に働かせる事ができるか？（２）緊急というセンスを教え、期限を守る事の大切さを認識させること・・・報告書の期限を守らせる事ができるか？（３）権限委譲と責任・���・タイ人は責任をとらないのではないか？（４）自発性を促す事・・・やることすべてをいちいちこちらから言わなければならないのだろうか？（５）より良いコミュニケーションの仕方をつくること・・・彼らが理解しているかどうかをどうやってしるのか、そして相手が理解していないことをどうやってこちらに伝えさせるか？（６）評価、批判、規律・・・どうしてあるがままをそのとおりにはなせないのか？（７）部署内部でのチームワークを育むこと・・・なぜ皆賀一緒員働く事ができないのか、同じ会社のために働いているのではないのか？（８）政府との折衝・・・なんのために彼らに税金を払う必要があるのか？
＊あるマネージャーは、タイ人には命令口調（プッシュ）ではなく、誘導型（プル）の方法を取る事を進める。つまりボスは「われわれは年間の目標は３０００個であるが、キミは今月こなせると思うか？」と本人に尋ねるのである。
＊アプローチがタイ人の場合にはまったく違う。アメリカでは人々は自分たちを個人の集まりと見なし、各自が役割分担を持っていると考える。一方タイでは人々は集団の中で働き、責任は集団自体が分かち合うものと考えている。
＊ある会社の調査では組織内部のコミュニケーションに影響を与えている主要な要因は、タイ人の部下のフィードバックの欠如であることがわかった。この要因としては、第一に英語の問題、第二に何を報告すべきかあいまいであること、第三にグレンチャイと呼ばれる抑制。
＊指示をもっと実のあるものにするためいいくつかの指針がある。（１）どんな仕事を与える場合でも相手が他の仕事に関わっておらず、聞く体制にあるかどうかを事前に確かめる事（２）指示を与えるときには小分けにし、１つ１つチェックしていくこと（３）オフィスによっては時に応じて親しみやすい文書を利用し、内部の詳細を明確にし確認すること（４）相手に理解させるための時間をもっと取る事。
＊文書によるコミュニケーション、時には話した事を文書かすることで理解を確かにする事も良い考え。
＊西欧では、仕事を指摘な生活は完全に別の世界とされ、双方の世界がお互いの領域に足をふみいれるかどうかは、あくまで本人の分別にゆだねられている。しかし、アジア諸国では、まだ農業社会の価値が一定の重要性をもっているので、社会的な生活を私的なそれを区分する環境線はしばしばあいまいとなる。
＊タイの職場の企業観を理解する上で鍵となるキーワードは３Sである。サバーイ（心がおだやか。心身ともに健康）、サヌック（心がうきうきする。楽しい）、サドゥワック（便利、肉体的な負担や苦労を軽減する）である。
＊タイ人は日本人ほど人間関係にべたべたしないし、ドライな側面もある。要はひとりひとりのタイ人との（遠近距離感）をつかむことである。

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欧米人視点で書かれているので、かえってタイ人とはどういう考え方で行動する傾向があるのかが、欧米人、日本人＝自分、タイ人を自分なりに比較できて、まぁわかりやすい。

巻末の解説が、以外と参考になる。

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アメリカ人の夫とタイ人の妻の共著。タイ人の価値観や国民性を背景に、タイ人がどのような働き方を好むのか、あるいは、タイ人と、というかタイ企業の中で外国人が働く場合、どのようなことに気配りをすべきか、といったことを整理した本。私の働く会社は日本企業とタイ企業の合弁会社であるが、日本から派遣されているのは、今のところ私を含めて２人だけであり、他は全てタイ人である。そういう職場で働き始めて、まだ３ケ月弱にしかならないので、私自身は「タイ人と働く」期間は短いのだけれども、短いなりに自分で感じていることはあり、そういった自分の感じに照らし合わせて考えてみると、この本はなるほどね、という部分もあるのだけれども、少し違和感を感じる部分も多い。少し違和感の方に焦点をあてて考えてみる。まず、この本が発行されたのが1995年であること。10年以上前のタイ企業とかタイの多国籍企業をベースに書かれている本であり、要するに少し古いのである。タイは急速な工業化・経済発展を続けている国であり、そんな中での10年以上というのは、タイ企業の経営管理のあり方や、そこで働く人たちの働き方に大きな変化をもたらしているはずであり、そういう意味で、時代が違うのではないか、という感じを受ける。もうひとつは、多様性といったことに関係する。こちらで日系企業の方にお会いして、仕事の話はもちろんなのだけれども、ゴルフに行ったり、食事に行ったりする機会も多い。で、そんな時にお互いの会社のタイ人スタッフの話になったりするのだけれども、これは企業によって、あるいは、もしかして話をしている日本人の方がどういう方なのかによって、かなりバラエティに富む話を聞くことになるのである。企業には社風というものがあったり、当たり前だけれども働く人たち個人個人に個性があったり、ということなのであるが、なかなか、「おしなべて」という話にはなりにくいのである。それは、まぁ、日本人だって同じな訳で、同じ日本人と言っても個人によって働くということに対するスタンスは大きく違うわけで、あるいは、例えば関東と関西では、習慣や価値観も異なったりすることと似ている。では、国民性といった概念は虚構なのか、本当はそんなものはないのか、と問われれば、でも、やっぱりあるような気もして、少し矛盾する。またまた、何を言いたかったのか分からなくなってしまったけれども、この本自体は面白く、かつ、示唆に富んでいる部分もあり、タイ人と働く機会を得た方には（そんな人は少ないかも知れないけれども）、お勧めの本ではある。