- カテゴリ:一般
- 発売日:2000/05/10
- 出版社: 勁草書房
- サイズ:22cm/456p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-326-80043-7
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紙の本
映画理論講義 映像の理解と探究のために
現代フランスの代表的な映画理論家たちによる本格的な映画理論概説書。「視聴覚的表象としての映画」「モンタージュ」「映画と物語」「映画と言語活動」「映画と観客」の5章にわたっ...
映画理論講義 映像の理解と探究のために
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商品説明
現代フランスの代表的な映画理論家たちによる本格的な映画理論概説書。「視聴覚的表象としての映画」「モンタージュ」「映画と物語」「映画と言語活動」「映画と観客」の5章にわたって解説。詳細な書誌・用語対照表も収録。【「TRC MARC」の商品解説】
現代フランスの代表的な映画理論家たちによる本格的映画理論概説書。映画および映像メディアを深く理解するために必携の入門書。
現代フランスの代表的な映画理論家たちの共著による本格的な映画理論概説書の完訳。サイレント映画時代から現代に至るまでの映画理論の基本的問題を、「視聴覚的表象としての映画」「モンタージュ」「映画と物語」「映画と言語活動」「映画と観客」の5章にわたって明快に解説する。映画および映像メディアをよりよく理解し、深く探究してゆくための必携の入門書として、学生・一般読者および教育機関・図書館に広く薦められる。巻末に詳細な書誌と索引を付す。【商品解説】
目次
- 序論
- 1 映画文献の分類
- 2 映画理論の諸相
- 第1章 視聴覚的表象としての映画
- 1 映画的空間
- 2 奥行きの技巧
- 3 ショットの概念
- 4 聴覚的表象としての映画
著者紹介
J.オーモン
- 略歴
- 〈J.オーモン〉1942年生まれ。パリ第3大学教授。映画理論家。
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紙の本
映画理論という難解な知の領域に乗りだすための最良のツール
2000/07/10 20:49
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中条省平 - この投稿者のレビュー一覧を見る
たしかスティーヴン・スピルバーグが言ったのだと思うが、「宇宙人が地球にやって来たとして、彼らがいちばん不思議に思うのは映画館の光景ではないか」という言葉がある。なるほど、真っ暗闇に大勢の人間が集まり、一斉に同じ方向をむき、光と影の交錯を見つめて、大笑いしたり、涙を流したり、手に汗握って興奮したりしている。なぜそんなことが可能なのか? この点に、映画理論の成立する本質的な基盤がある。
世に映画の本は無数にあるが、たいていは映画の提供するそうした不思議な作用に疑問などつゆ抱かず、物語がおもしろいだの、俳優がうまいだの、女優が魅力的だのといって済ませている。本書は、映画の根源的な謎に理論的にアプローチする本としては、類書にない問題意識の明確さと、記述の明解さを兼ねそなえている。
だが、明解とはいっても、映画<理論>である。具体的な映画の解説ではなく、抽象的な用語や議論の基礎をうちたてる作業なのである。したがって、ぱらぱらと拾い読みして、よし分かった、とは行かない。しかし、繰り返すが、これほど明確かつ中立的に映画理論の基礎を整理した書物は存在しない。映画に深い興味をもつ人、一歩踏みこんだ映画の見方を知りたい人には、ぜひ一読をお勧めしたい。
本書は5章からなる。第1章は、フレーム、奥行き、ショット、音声という映画の基本中の基本をなす概念にたいして、的確な定義と、そこから生じる根本的な問題の整理をあたえている。分かっているようでじつは分かりにくいのが、基本的な概念というものなのだが、たいへん手堅い叙述になっているのが嬉しい。
それと、字体の組み方が基本説明は大きめの文字、補足説明は小さめの文字にして、段落をしっかり分けているところにも、著者たちの概念把握がしっかりしていることが窺われるし、じっさい読みやすい。おもしろいのは、補足説明のほうが記述が細かい分、読んでいて楽しいことだ。
第2章はモンタージュを扱う。要するに「編集」のことである。編集がなければ一本のまとまった映画は存在しないことは誰でも知っているが、モンタージュの具体的作業から始まって、モンタージュの機能(編集がどんな効果を生むか)を解説し、バザンとエイゼンシュテインという、モンタージュに対してはっきりと異なる立場をとる最も重要な理論家の考えを明らかにする。この章も非常に見通しよく問題を整理している。
以下、3章は映画における物語的機能、4章は映画の言語的構造、5章は映画の観客の反応という、より突っこんだ問題を扱って、過不足ない。
最後に特筆しておきたいのは、訳者、武田潔の力量である。けっして読みやすくはなく、ましてや訳しやすいとはいえない原書を、これほど明晰な日本語に移植した努力は高く評価されるべきである。今後、映画の模範的な教科書のひとつとして、広く読まれるに値する訳書となった。 (bk1ブックナビゲーター:中条省平/フランス文学者・学習院大学教授 2000.7.11)