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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2000.6
- 出版社: 東京書籍
- サイズ:22cm/351p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-487-79437-4
- 国内送料無料
紙の本
バッハへの旅 その生涯と由縁の街を巡る
我が国ではまだ紹介されていないバッハの足跡を、最新の現地取材をもとに、数多くの写真と、その人間性の深い理解に基づいたエッセイでたどる。バッハ入門者にもバッハを極めた人にも...
バッハへの旅 その生涯と由縁の街を巡る
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商品説明
我が国ではまだ紹介されていないバッハの足跡を、最新の現地取材をもとに、数多くの写真と、その人間性の深い理解に基づいたエッセイでたどる。バッハ入門者にもバッハを極めた人にも、知らないバッハが見えてくる。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
加藤 浩子
- 略歴
- 〈加藤〉1961年生まれ。慶応義塾大学大学院(音楽学)修了。音楽評論家。現在、慶応義塾大学、早稲田大学、洗足学園大学講師。著書に「今夜はオペラ!」がある。
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紙の本
バロック音楽の巨匠が生きた場所を経巡り、名曲成立の舞台裏を探る
2000/09/06 00:15
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木力 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヨハン・セバスティアン・バッハといえば後期バロック音楽の巨匠だが、わが国から地理的にも精神的にも距離的にはるかに離れたドイツのアイゼナッハに1685年に生まれ、ライプツィヒで1750年に死んだ。没後ちょうど250年になるわけである。そういったバッハには、どういうわけか日本にもファンが多い。バッハの全曲を詳細な解説付きでCDに収めた『バッハ全集』が小学館から刊行され終わったばかりだ。私も、そのなかの一巻に、「バッハの音楽と数学」という「ピクトリアル」を担当するという名誉ある役割を与えられた。西洋数学史とバッハの音楽との関連を美しい写真付きで綴ったのであった。かなりの高額な全集であり、また内容も高度なものであったが、数千部の予約があったという。近年の出版不況に照らし合わせれば、破格の売れ行きといってよい。
高名であり、地理や時間を飛び越えて生き続けるバッハではあるが、あまり動き回らなかった。ドイツのごく限られた土地に、音楽職人としての生涯をおくった。ルター派プロテスタントとして実に深い宗教性をたたえた音楽を創造し、それほど長いとは言えない生を終えているのだが、それで、永遠の芸術家としての生を享受しえているのである。まさに、「人生は短し、芸術は長し」、の感が深い。しかし、このようなバッハも啓蒙主義的世俗主義の時代がやってくると「時代遅れ」の烙印を押されずにはいられなかった。どうして、バッハは現代に復活したのだろうか? それは、あらゆる流行を拒絶する芸術の高さのゆえであろう。
このようにバッハの音楽は普遍的だが、このことはバッハが地域性と歴史性を超越していたことを意味しない。深く土地に根差し、強く時代と結びついていたがゆえにこそ普遍性を獲得しうるという逆説的な運命をバッハの芸術はもっているのかもしれない。それだけに、バッハが生き、卓越した音楽を創造した、さまざまな土地を訪れてみたいファンは少なくないに相違ない。本書は、バッハの音楽に通じた加藤浩子が訪れた土地にちなむエッセイを書き、それに若月伸一が美しい写真を添えて出来上がった。文章は軽快で、カラー写真は輝いている。それにバッハに関連して選りすぐられた歴史図版も貴重なものばかりだ。
バッハの音楽はさまざまに演奏される。そして、その曲はさまざまに聴かれる。それなら、バッハゆかりの旅もさまざまにたどられて悪いはずはない。本書を携えてドイツへの旅に出たらどうだろう。バッハの音楽を聴く耳もまた、別のものに成長しているはずだ。『バッハ全集』、多様なバッハ伝、種々のバッハ事典の書棚に、本書をも加えられることをお勧めする。 (bk1ブックナビゲーター:佐々木力/東京大学教授 2000.09.06)